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攻略対象者【D】の戸惑い
8 D-決意する
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いやいやいや。
デュークは部屋に入るとベッドの上にダイブした。
そのままごろごろと転がる。
いやいやいや。
なんだあの可愛い生物は。
きゅっだぞっ!
指をきゅっだぞっ‼︎
だう。って。
だう。って。
ああっ!
なんて可愛いんだろう!
思わず執事ウィレムに、
「僕の隣に部屋を移して下さい。」
と、お願いしていた。
だって遠い。
独りぼっちの夜に、泣いちゃったらどうするんだ!
ウィレムはほっとした顔で、畏まりました。
と答えた。
涙ぐんでいたと思う。
うん。
駄目なおやぢはほっといて、ユアンを幸せにするぞっ!
デュークは決意した。
ユアンが哀しい目で人を見てる事にならない様にするぞっ。
そう、ユアンが悪役令息になる引き金はいつだってデューク。
デュークが決意すれば容易くゲーム設定は覆される!はず、だ。
母様の葬儀の日。
デュークは揉まれ磨かれ伸ばされ、着せられた。
立ち会えないのならせめてもと贈られた花の渦の中で立つ幼児は。
故人とよく似ていて、僅かな参列者の涙を誘った。
機械的に挨拶をしているが、よくわからない。
この人達との関わりも。
母様の親戚なのか友達なのかもわからない。
家令のジョコモが取り仕切ってくれているので、なんとかなっているのが丸わかり。
そしてユアンは連れて来られなかった。
お披露目もまだだからそうなの?
日本でも七歳までは神の内。って言うし。
まだ世間的に認知されないのか?
説明もなくて、もやっとした。
神官様による祈りが終わり。
式が終了して参列者を送ってから。
納棺の為に馬車に乗った。
納棺堂はこの敷地にあるらしい。
敷地は広い。
馬車で移動する。
庭の奥に湖があって、そこには小さな建物があった。
どこまででかいんだ公爵邸。
5LDKの建て売り住宅で暮らしていたデュークは、腹の中で毒づいた。
小さな建物はサロンのような応接室になっていた。
そこからは湖がよく見える。
デュークが従者とそこに落ち着くと、納棺の説明を受けた。
湖の真ん中に浮かぶ島の地下が公爵家の納棺堂だそうだ。
結界が張ってあって、血筋しか入れない。
誰の手伝いも拒んで、渡守のカロンのように、おやぢが一人で舟を操っていく。
島に着いてからは魔法陣を描いて納棺堂の入り口を開いた。
そのまま棺を浮かせて入っていく。
頑なな背中が消えて行くのを、使用人一同と見送った。
……ああ、ひと段落だ。
と、思った日から、おやぢの"誰にも会いたくない病"が始まった。
朝も夕も食事に来ない。
デュークが起きてる間は帰らない。
縋って声を掛けても目を合わせない。
帰ると真っ直ぐ納棺堂に行って出てこない。
おい。
まてぃこらぁ‼︎
こちとら幼児だぞっ!
と、思ったが。
現実逃避するおやぢの心に声は届かない。
まぁ、いいか。
執事も従者もいるし。
デュークはすぐに腹を括った。
そう、頼れるのは自分だけ。
デュークは部屋に入るとベッドの上にダイブした。
そのままごろごろと転がる。
いやいやいや。
なんだあの可愛い生物は。
きゅっだぞっ!
指をきゅっだぞっ‼︎
だう。って。
だう。って。
ああっ!
なんて可愛いんだろう!
思わず執事ウィレムに、
「僕の隣に部屋を移して下さい。」
と、お願いしていた。
だって遠い。
独りぼっちの夜に、泣いちゃったらどうするんだ!
ウィレムはほっとした顔で、畏まりました。
と答えた。
涙ぐんでいたと思う。
うん。
駄目なおやぢはほっといて、ユアンを幸せにするぞっ!
デュークは決意した。
ユアンが哀しい目で人を見てる事にならない様にするぞっ。
そう、ユアンが悪役令息になる引き金はいつだってデューク。
デュークが決意すれば容易くゲーム設定は覆される!はず、だ。
母様の葬儀の日。
デュークは揉まれ磨かれ伸ばされ、着せられた。
立ち会えないのならせめてもと贈られた花の渦の中で立つ幼児は。
故人とよく似ていて、僅かな参列者の涙を誘った。
機械的に挨拶をしているが、よくわからない。
この人達との関わりも。
母様の親戚なのか友達なのかもわからない。
家令のジョコモが取り仕切ってくれているので、なんとかなっているのが丸わかり。
そしてユアンは連れて来られなかった。
お披露目もまだだからそうなの?
日本でも七歳までは神の内。って言うし。
まだ世間的に認知されないのか?
説明もなくて、もやっとした。
神官様による祈りが終わり。
式が終了して参列者を送ってから。
納棺の為に馬車に乗った。
納棺堂はこの敷地にあるらしい。
敷地は広い。
馬車で移動する。
庭の奥に湖があって、そこには小さな建物があった。
どこまででかいんだ公爵邸。
5LDKの建て売り住宅で暮らしていたデュークは、腹の中で毒づいた。
小さな建物はサロンのような応接室になっていた。
そこからは湖がよく見える。
デュークが従者とそこに落ち着くと、納棺の説明を受けた。
湖の真ん中に浮かぶ島の地下が公爵家の納棺堂だそうだ。
結界が張ってあって、血筋しか入れない。
誰の手伝いも拒んで、渡守のカロンのように、おやぢが一人で舟を操っていく。
島に着いてからは魔法陣を描いて納棺堂の入り口を開いた。
そのまま棺を浮かせて入っていく。
頑なな背中が消えて行くのを、使用人一同と見送った。
……ああ、ひと段落だ。
と、思った日から、おやぢの"誰にも会いたくない病"が始まった。
朝も夕も食事に来ない。
デュークが起きてる間は帰らない。
縋って声を掛けても目を合わせない。
帰ると真っ直ぐ納棺堂に行って出てこない。
おい。
まてぃこらぁ‼︎
こちとら幼児だぞっ!
と、思ったが。
現実逃避するおやぢの心に声は届かない。
まぁ、いいか。
執事も従者もいるし。
デュークはすぐに腹を括った。
そう、頼れるのは自分だけ。
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