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小泉先生。卓球がしたいです。
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僕が中学生の頃、ピンポンという映画が一大ブームとなった。松本大洋の代表作である漫画『ピンポン』を映画化したもので、主演が窪塚洋介、脇を固めるのが井浦新、竹中直人、夏木マリ、中村獅童、大倉孝二ら。あ。そうそう忘れちゃいけない荒川良々も。
とはいうものの、僕らが熱を沸かしたのは、映画の公開が終わり、DVD?金ローの録画?か何かで観たことが始まりだった。それからというもの、児童館で卓球をし、家に帰っては映画を見返す。そんな日々を繰り返していた。
そうなると、当然自分のラケットが欲しくなってくる。卓球には大きく分けてペンホルダーとシェイクハンドの2種類がある。大半の人はシェイクハンドを選んでいたのだが、僕はピンポンの主人公であるペコ(窪塚洋介)が使っていたペンホルダーを選んだ。(いや、本当はチャイナ:孔文革の使ってる中国式ペンが欲しかったんだけどね。そんな気軽に買える物じゃなかったからさ。)
思い立ったが吉日。当時近所にあったスポーツ用品店に駆け込む。すると入り口の横にワゴンセールのように初心者用というか、ほぼ遊び用のラケットが売られていた。僕はそこで\900のペンホルダーのラケットとラケットケースを買った。
その日から毎日のように児童館で練習に明け暮れた。最後の方は調子に乗って、プロジェクターでピンポンの映像を壁に投影しながら練習していた。なんか無駄にボトル缶の烏龍茶とかを飲みながら。(卓球=中国のイメージがあったのよね。それで打倒中国で烏龍茶を。笑)
僕の買ったラケットは児童館にあったラケットとは違い、安いながらもしっかりとドライブが掛けられた。面白いように弾が落ちていく。野球で言うフォークボールみたいに。練習を重ね、その軌道をある程度操れるようになっていた。
そんな中、ある時児童館の行事で近所のスポーツセンターで卓球をやった。他の児童館に通ってた子達も集まってきたりして。その中に明らかにずば抜けて上手い子が居た。その子は他の児童館に通っている子だった。歳は僕より少し上だろう。ウォーミングアップを終えたのか、周りの卓球台を見渡し、張り合い甲斐のありそうな子を探していた。そのお眼鏡に適ったのがまさかの僕だった。
「俺あいつと打ってみたい。」
そんな囲碁みたいな言い方しなさんな。と心の中で呟きながら、僕が放った言葉は。
「どうせ負けますから。」
我ながら最高のオマージュだった。ピンポンでスマイルと打ちたいと言うチャイナを、スマイルが軽く遇らう言葉。内心ガッツポーズの展開だったのだが、誰一人そのことに気付く人は居なかった。そして、僕が勝負から逃げた弱虫というレッテルが貼られてしまった。(当たり前だ。笑)
その日以降、僕の卓球熱はすっかり冷めてしまった。ラケットはあっという間に埃を被った。
しかしながら、その後一切卓球に触れなかった訳ではない。高校生の頃P2!という漫画にハマり、高校の休み時間に卓球をやったりした。高校に卓球部が無かったから作りたかったんだけど、認められなかった。あの時は悔しかったな。
大人になってからは、お台場のビーナスフォートにあった卓球ゲームで外国人ギャラリーを沸かしたくらいか。
「Oh! Yeah! Nice game!!」
最終的にはハイタッチまでしていたよ。
ちなみに、今僕はピンポンの映画、アニメを見返している。やっぱり卓球やりたいな。うん。やりたい。ちゃんとやりたい。でも、程よくゆるくやりたい。
「小泉先生。俺卓球がしたいです。」
スラムダンクの名言をピンポンアレンジにしたところで、今日は終わろうと思う。誰か卓球やろうぜ。
とはいうものの、僕らが熱を沸かしたのは、映画の公開が終わり、DVD?金ローの録画?か何かで観たことが始まりだった。それからというもの、児童館で卓球をし、家に帰っては映画を見返す。そんな日々を繰り返していた。
そうなると、当然自分のラケットが欲しくなってくる。卓球には大きく分けてペンホルダーとシェイクハンドの2種類がある。大半の人はシェイクハンドを選んでいたのだが、僕はピンポンの主人公であるペコ(窪塚洋介)が使っていたペンホルダーを選んだ。(いや、本当はチャイナ:孔文革の使ってる中国式ペンが欲しかったんだけどね。そんな気軽に買える物じゃなかったからさ。)
思い立ったが吉日。当時近所にあったスポーツ用品店に駆け込む。すると入り口の横にワゴンセールのように初心者用というか、ほぼ遊び用のラケットが売られていた。僕はそこで\900のペンホルダーのラケットとラケットケースを買った。
その日から毎日のように児童館で練習に明け暮れた。最後の方は調子に乗って、プロジェクターでピンポンの映像を壁に投影しながら練習していた。なんか無駄にボトル缶の烏龍茶とかを飲みながら。(卓球=中国のイメージがあったのよね。それで打倒中国で烏龍茶を。笑)
僕の買ったラケットは児童館にあったラケットとは違い、安いながらもしっかりとドライブが掛けられた。面白いように弾が落ちていく。野球で言うフォークボールみたいに。練習を重ね、その軌道をある程度操れるようになっていた。
そんな中、ある時児童館の行事で近所のスポーツセンターで卓球をやった。他の児童館に通ってた子達も集まってきたりして。その中に明らかにずば抜けて上手い子が居た。その子は他の児童館に通っている子だった。歳は僕より少し上だろう。ウォーミングアップを終えたのか、周りの卓球台を見渡し、張り合い甲斐のありそうな子を探していた。そのお眼鏡に適ったのがまさかの僕だった。
「俺あいつと打ってみたい。」
そんな囲碁みたいな言い方しなさんな。と心の中で呟きながら、僕が放った言葉は。
「どうせ負けますから。」
我ながら最高のオマージュだった。ピンポンでスマイルと打ちたいと言うチャイナを、スマイルが軽く遇らう言葉。内心ガッツポーズの展開だったのだが、誰一人そのことに気付く人は居なかった。そして、僕が勝負から逃げた弱虫というレッテルが貼られてしまった。(当たり前だ。笑)
その日以降、僕の卓球熱はすっかり冷めてしまった。ラケットはあっという間に埃を被った。
しかしながら、その後一切卓球に触れなかった訳ではない。高校生の頃P2!という漫画にハマり、高校の休み時間に卓球をやったりした。高校に卓球部が無かったから作りたかったんだけど、認められなかった。あの時は悔しかったな。
大人になってからは、お台場のビーナスフォートにあった卓球ゲームで外国人ギャラリーを沸かしたくらいか。
「Oh! Yeah! Nice game!!」
最終的にはハイタッチまでしていたよ。
ちなみに、今僕はピンポンの映画、アニメを見返している。やっぱり卓球やりたいな。うん。やりたい。ちゃんとやりたい。でも、程よくゆるくやりたい。
「小泉先生。俺卓球がしたいです。」
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