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二章
セカの街の下級冒険者2
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いつも通り朝早くからバーガーをしっかり食べて冒険者組合に向かう。
今日は遂に下級依頼を受けるのだ。
「何の依頼を受けようかな…」
冒険者組合で下級の依頼を確認していく。今までは、見習いというある意味特別な階級だったので、依頼もバリエーションが少なく迷うことも無かったけれど下級からは違う。基本的に下級冒険者とは九級から七級の冒険者の総称で、下級依頼は九級から七級の冒険者であれば誰でも受けることが出来る。勿論依頼によっては違約金が発生し、報酬額が高ければ高いほど違約金も高くなる傾向がある。
また依頼の中には階級指定依頼というものがある。これは単純に七級限定や八級以上のように依頼を受ける資格を指定するものだ。主に特定の魔獣の狩猟や、比較的稀少な物の採取、内容は特別難しいものではないけれど期限が厳しい依頼などが指定を受ける場合が多い。他にも特定の冒険者を指名して依頼する指名依頼や
、依頼側か冒険者側、もしくは両者が複数名からなる合同依頼がある。
あと単純に見習いだった頃と比べて依頼内容が格段に多様なのである。
見習いの頃の主な依頼は肉体労働か街のすぐ外で完結するような簡単な採取程度しか無かったが、下級からはそれらに加え、本格的な動植物の狩猟や採取、魔獣の討伐、商人の護衛、農場の警備、戦闘技術の指導等様々な依頼が追加される。
これらの内容や期限、報、自分に可能かどうか、道具の持ち出しは必要か、必要ならば黒字になるか等を踏まえて依頼を選ぶのだ。
下級からこの見極めを覚えて行かないと冒険者として昇級していくのは難しい…とこの前おやっさんから教えてもらった。確かに依頼を確認していくと微妙に条件が違ったりしているから気を付けていかないと。たまーにあからさまに厳しい依頼も混じってるし。
とはいえ今はまだ九級。受けようとしているのは初依頼。多少報酬は低くても違約金の無い確実に達成出来る依頼を選ぶべきだろう。少しの間悩んだ後一つの依頼書を手に取る。
・森でのヨギ草新芽採取 一袋三千エル 袋医療組合提供
※袋色 水色 参考受付にて 丸一日経つと魔量が減少するので注意
ヨギ草とは平原と森の浅い所に分布している植物で貧血対策や胃腸を整える効能があり、副作用もほとんどなく安価で庶民の味方である。依頼書によると森のヨギ草は含まれる魔力が若干多いらしくそっちを採取してきて欲しいとの事。
ヨギ草はデミ村にいた頃もよく採取していたし、この前の事前調査で何ヵ所か生えている場所を見付けていたから大丈夫だろう。
袋について色々書いてあるけれど勉強の意味も込めて受付で聞いてみよう。
受付の一つにガイさんがいたので依頼書を持っていく。
「ガイさん、この依頼を受けようか考えているんですが、この袋提供ってここで貰えるんですか?」
ガイさんは依頼書を一通り確認すると
「自生しているヨギ草を見たことはあるか?ああ、ゴートは農村出身だったか。なら問題ないな。袋ならここにあるぞ。この袋は中身の魔力濃度が一定を越すと石の部分の色が変わるからそこまで採取すれば大丈夫だ」
ガイさんから袋を三つ貰う。袋そのものは割りと小さい。新芽を集めるのだから当然か。
「ゴートなら大丈夫だと思うが野生動物や魔獣に気を付けろよ。昇級したての新人が狼や猪に襲われて大怪我をして即引退ってのも良くある話だからな」
「気を付けますし、もし会ったら逃げますよ」
狼か…はぐれならともかく群れは厄介だ。猪に関しては準備無しの遭遇戦では狩る気が全く起きない。
冒険者組合を出て八百屋に寄り、甘酸っぱい拳大の果実春リンゴを二つ買い腰のバッグに入れる。果物は手軽に糖分と水分を補充出来るから街の外に出るときはいつも買っている。備えあればなんとやらだ。
南門を出て平原を軽く走りながら森へ向かいだいぶ近くなってきた所で小休止。
春リンゴを一つ食べ水筒の水を少し飲み呼吸を落ち着かせて、森を軽く見渡して問題が無いことを確認したら森へとはいる。
ヨギ草は割りと順調に見つかった。何しろ農奴だったころ散々採取した植物だ。よく生えている場所も何となくわかり、緩い傾斜かつある程度日当たりが良い所が狙い目だ。森のなかだと条件に当てはまる場所が限られているのでむしろ分かりやすい。そのデミ村の周りと比べて量は少ないみたいだけど。個人的には袋についている石の色が水色に変わったところに凄く感動した。
太陽の位置が高くなってきた。そろそろお昼休憩だな。周りの木を確認して安定していて登りやすそうな木を選び登っていく。木の上で春リンゴをがぶり。うまい。疲れたからだに甘さとみずみずしさが染みる。塩をなめ水をのみ水分補給も忘れない。この木の上での休憩はデミ村にいた頃からやっていたことで農奴の先輩に教えてもらった。火は使えないけど森の中では比較的安全な休憩方法らしい。コツは木に登るまえに座る枝を何かで叩き虫や蛇を落とすことだ。実際魔獣はともかく狼や猪程度ならやり過ごせる。
木の上休憩も終わり採取再開。大きく元気な株からしか採取してない割には夕方には三袋いけそうだ。
「よしっ、これで三袋達成だ」
辺りが薄暗くなってきた頃ヨギ草の採取三袋を達成した。
採取に慣れてる俺が下調べをしてこの時間だから何も下調べをせずに依頼を受けたら一袋集まるかどうかって所かな。やはり下級からの依頼は一味違うようだ。
「ヨギ草三袋確かに確認しました。こちら報酬の九千エルです」
受付のお姉さんから報酬を貰う。見習いの頃と比べて倍近い収入だ。確かにこのペースを維持できれば十万エルの魔道具は割りと簡単に買えるかもしれない。ただ必要かと言われるとなんとも言えない。しかも俺は魔力放出が苦手だから買うとしたら装填式の魔道具を買うことになる。魔石代や整備費で維持費がかさむことを考えると現実的じゃないな。
それよりも重大な事がある。一日森に居て感じたけど水が足りない。今日のところは魔法で補給して誤魔化したけど明らかに手間だし隙だ。やはり早めに小型の水の魔道具を手に入れなければいけない。明日からも気合いをいれて頑張ろう。
「おっちゃん特製バーガーで!」
「なんだゴート、今日は金持ちだな!」
「今日初めての下級依頼を達成したんだ。だから自分へのご褒美なんだ。自分へのご褒美は好きなもの食べて良いって受付のお姉さんが言ってたからさ」
「なるほど、そりゃあ良いな!お祝いだ。余ったジュース一杯やるよ」
「ありがとうおっちゃん!」
特製バーガーは八百エルもする豪華なバーガーで肉も野菜もたっぷり。特製バーガーは今まで食べたバーガーの中で一番美味しかった。
今日は遂に下級依頼を受けるのだ。
「何の依頼を受けようかな…」
冒険者組合で下級の依頼を確認していく。今までは、見習いというある意味特別な階級だったので、依頼もバリエーションが少なく迷うことも無かったけれど下級からは違う。基本的に下級冒険者とは九級から七級の冒険者の総称で、下級依頼は九級から七級の冒険者であれば誰でも受けることが出来る。勿論依頼によっては違約金が発生し、報酬額が高ければ高いほど違約金も高くなる傾向がある。
また依頼の中には階級指定依頼というものがある。これは単純に七級限定や八級以上のように依頼を受ける資格を指定するものだ。主に特定の魔獣の狩猟や、比較的稀少な物の採取、内容は特別難しいものではないけれど期限が厳しい依頼などが指定を受ける場合が多い。他にも特定の冒険者を指名して依頼する指名依頼や
、依頼側か冒険者側、もしくは両者が複数名からなる合同依頼がある。
あと単純に見習いだった頃と比べて依頼内容が格段に多様なのである。
見習いの頃の主な依頼は肉体労働か街のすぐ外で完結するような簡単な採取程度しか無かったが、下級からはそれらに加え、本格的な動植物の狩猟や採取、魔獣の討伐、商人の護衛、農場の警備、戦闘技術の指導等様々な依頼が追加される。
これらの内容や期限、報、自分に可能かどうか、道具の持ち出しは必要か、必要ならば黒字になるか等を踏まえて依頼を選ぶのだ。
下級からこの見極めを覚えて行かないと冒険者として昇級していくのは難しい…とこの前おやっさんから教えてもらった。確かに依頼を確認していくと微妙に条件が違ったりしているから気を付けていかないと。たまーにあからさまに厳しい依頼も混じってるし。
とはいえ今はまだ九級。受けようとしているのは初依頼。多少報酬は低くても違約金の無い確実に達成出来る依頼を選ぶべきだろう。少しの間悩んだ後一つの依頼書を手に取る。
・森でのヨギ草新芽採取 一袋三千エル 袋医療組合提供
※袋色 水色 参考受付にて 丸一日経つと魔量が減少するので注意
ヨギ草とは平原と森の浅い所に分布している植物で貧血対策や胃腸を整える効能があり、副作用もほとんどなく安価で庶民の味方である。依頼書によると森のヨギ草は含まれる魔力が若干多いらしくそっちを採取してきて欲しいとの事。
ヨギ草はデミ村にいた頃もよく採取していたし、この前の事前調査で何ヵ所か生えている場所を見付けていたから大丈夫だろう。
袋について色々書いてあるけれど勉強の意味も込めて受付で聞いてみよう。
受付の一つにガイさんがいたので依頼書を持っていく。
「ガイさん、この依頼を受けようか考えているんですが、この袋提供ってここで貰えるんですか?」
ガイさんは依頼書を一通り確認すると
「自生しているヨギ草を見たことはあるか?ああ、ゴートは農村出身だったか。なら問題ないな。袋ならここにあるぞ。この袋は中身の魔力濃度が一定を越すと石の部分の色が変わるからそこまで採取すれば大丈夫だ」
ガイさんから袋を三つ貰う。袋そのものは割りと小さい。新芽を集めるのだから当然か。
「ゴートなら大丈夫だと思うが野生動物や魔獣に気を付けろよ。昇級したての新人が狼や猪に襲われて大怪我をして即引退ってのも良くある話だからな」
「気を付けますし、もし会ったら逃げますよ」
狼か…はぐれならともかく群れは厄介だ。猪に関しては準備無しの遭遇戦では狩る気が全く起きない。
冒険者組合を出て八百屋に寄り、甘酸っぱい拳大の果実春リンゴを二つ買い腰のバッグに入れる。果物は手軽に糖分と水分を補充出来るから街の外に出るときはいつも買っている。備えあればなんとやらだ。
南門を出て平原を軽く走りながら森へ向かいだいぶ近くなってきた所で小休止。
春リンゴを一つ食べ水筒の水を少し飲み呼吸を落ち着かせて、森を軽く見渡して問題が無いことを確認したら森へとはいる。
ヨギ草は割りと順調に見つかった。何しろ農奴だったころ散々採取した植物だ。よく生えている場所も何となくわかり、緩い傾斜かつある程度日当たりが良い所が狙い目だ。森のなかだと条件に当てはまる場所が限られているのでむしろ分かりやすい。そのデミ村の周りと比べて量は少ないみたいだけど。個人的には袋についている石の色が水色に変わったところに凄く感動した。
太陽の位置が高くなってきた。そろそろお昼休憩だな。周りの木を確認して安定していて登りやすそうな木を選び登っていく。木の上で春リンゴをがぶり。うまい。疲れたからだに甘さとみずみずしさが染みる。塩をなめ水をのみ水分補給も忘れない。この木の上での休憩はデミ村にいた頃からやっていたことで農奴の先輩に教えてもらった。火は使えないけど森の中では比較的安全な休憩方法らしい。コツは木に登るまえに座る枝を何かで叩き虫や蛇を落とすことだ。実際魔獣はともかく狼や猪程度ならやり過ごせる。
木の上休憩も終わり採取再開。大きく元気な株からしか採取してない割には夕方には三袋いけそうだ。
「よしっ、これで三袋達成だ」
辺りが薄暗くなってきた頃ヨギ草の採取三袋を達成した。
採取に慣れてる俺が下調べをしてこの時間だから何も下調べをせずに依頼を受けたら一袋集まるかどうかって所かな。やはり下級からの依頼は一味違うようだ。
「ヨギ草三袋確かに確認しました。こちら報酬の九千エルです」
受付のお姉さんから報酬を貰う。見習いの頃と比べて倍近い収入だ。確かにこのペースを維持できれば十万エルの魔道具は割りと簡単に買えるかもしれない。ただ必要かと言われるとなんとも言えない。しかも俺は魔力放出が苦手だから買うとしたら装填式の魔道具を買うことになる。魔石代や整備費で維持費がかさむことを考えると現実的じゃないな。
それよりも重大な事がある。一日森に居て感じたけど水が足りない。今日のところは魔法で補給して誤魔化したけど明らかに手間だし隙だ。やはり早めに小型の水の魔道具を手に入れなければいけない。明日からも気合いをいれて頑張ろう。
「おっちゃん特製バーガーで!」
「なんだゴート、今日は金持ちだな!」
「今日初めての下級依頼を達成したんだ。だから自分へのご褒美なんだ。自分へのご褒美は好きなもの食べて良いって受付のお姉さんが言ってたからさ」
「なるほど、そりゃあ良いな!お祝いだ。余ったジュース一杯やるよ」
「ありがとうおっちゃん!」
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