冒険者ゴートの一生

ケバブ

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三章

セカの街の冒険者達7

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「というわけで非常に不味い事態になっているようだ」

冒険者組合に戻り手当てしてをして貰いつつアークさんと一緒にガイさんに事のあらましを説明する。

「そうか…これは早急に手を打つ必要があるな。ゴート、アーク情報提供感謝する。この情報を得られたことは非常に大きい」

「なに、私は少し手助けしだけに過ぎないさ。賞賛されるべきはゴートだろう。魔狼の群れから生き延びた上、魔狼と対等にやり合っていたのだからな」

「確かにな。ゴート、本当に良くやった。お前が情報を持ち帰ってくれたおかげで何人もの命が救われる。組合を代表して感謝させてくれ。本当にありがとう」

「いえ…生きようと必死だっただけですから…」

ガイさんの真っ直ぐの言葉に思わず恥ずかしくなる。

「怪我もしているようだし、今はゆっくり休んでくれ。アーク、トール様の所に行くから着いて来てくれ」

「勿論だ。ゴート、魔狼の事は任せておけ。私が居れば魔狼の五体や十体どうにでもなる」

「お、言うねえ。そんじゃ存分に頼らせてもらうとするかな」

「任せておけ。ではゴートまたな」

全くの悲壮感も感じさせずに領主様の元へと向かう二人。その後ろ姿が心に強烈に焼き付きついた。


手当ても終わり報告も一通り終わったところで冒険者組合を出る。今はお昼を過ぎたあたりだろうか、急にお腹が空いてきた。

なぜかおっちゃんのバーガーが無性に食べたくなり急いで向かう。

「おっちゃん、お勧めのバーガー二つ頂戴!」

「毎度!二つとは大分腹減ってるみたいだなって、なんだその腕!?怪我でもしたのか?…まさかさっき冒険者組合の職員が叫んで回ってた魔狼か!?」

なんと。組合の職員が既に住民には街からでないよう注意して回っていたのか。

「まあね…。どうしても逃げ切れなくて。アークさんに助けてもらってどうにか生き延びたよ」

「そうだったのか…。よしっ!ゴート、今日はおっちゃんの奢りだ!腹一杯食いな!」

「いやいや!そんなつもりじゃ、申し訳ないよ!」

「いいから!お前さんは今うち一番のお得意様なんだ。おっちゃん特製の激ウマバーガーを食って元気を出して、また沢山バーガーを買ってくれよな!」

そう言って子供のように無邪気な笑い声をあげながらバーガーを作り始めるおっちゃん。

アークさんの時もそうだった。今まで感じたことの無い大きく様々な感情が胸の中を渦巻いていてどうすれば良いのかわからなくなる。

「ありがとうございます」

自分でも制御出来ない感情に戸惑いながらも、おっちゃんに感謝の気持ちを伝える。

「……。ゴート、一つ良いことを教えてやる」

「なんです?」

「食い寝て遊べばなんとかなる!」

「それってどこかの言い伝えかなにかですか?」

「いいや、おっちゃんの持論よ」

「えぇ…」

「いやいやこれが案外馬鹿に出来ねーもんでな、人間ってのは、たまーに腹一杯好きなもの食って、寝れるだけ寝て、好きなことして遊んでたりするだけで調子がよくなったり、ガッツが生まれたりするんだよ。騙されたと思ってやってみな?さあゴートよ食い寝て遊べだ!」

おっちゃんからバーガーを渡される。
一個目はこの店で初めて食べた店の一番基本的なバーガー。そして二個目が俺の大好物の肉たっぷりのやつ。

一個目のバーガーを頬張る。

今まで何回か食べてきたバーガーの筈なのに今日のはやけに美味しい。

まただ。また胸の中の渦巻きだ。

「いいぞゴート、その調子でどんどん食え」

嬉しそうなおっちゃんの声が聞こえる。

いつの間にか濡れる頬。

気が付くと俺は泣きながらバーガーを食べていた。



「ご馳走さまでした」

「おう、御粗末様でしたってな」

バーガーも食べ終わり涙も止まった。
今になって変な恥ずかしさがこみ上がってくる。

「美味しかった!また来るから!色々ありがと!」

「ん、またこいよ」

その感情を誤魔化すかのような大きい声で挨拶し急いで部屋に帰える。



魔狼からの逃走、そして対峙。アークさんやおっちゃんの言葉。

今日は本当に色々なことが起きた。そしてその一つ一つが俺にとっての大切な何かになった気がする。


取り敢えずおっちゃんの言う通り今日は思いっきり寝て、明日はゆっくり好きなことをしよう。色んな屋台を食べ歩くか、武器屋や防具屋をゆっくり見て回るのも良いかな。

気が付くと少し前までグチャグチャだった気持ちが不思議と落ち着いてきて、少しだけ明日が楽しみと思えるようになっていた。
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