冒険者ゴートの一生

ケバブ

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四章

旅立ちの下級冒険者9

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「良かった、どうにか間に合った」

陽が沈み、辺りが暗くなった頃、俺たちは今日の宿泊地であるヴァンの村に到着した。

ヴァンの村はオンズの村から半日と少し進んだ所に有り、オンズ村よりも少しだけ規模が大きいようで食堂兼宿屋が一軒あるようだ。

「取引は明日にするとして、今日はゆっくりしようか」

御者の二人と一緒に宿の側に荷馬車を停め、宿屋にはいる。中には受付とその裏に厨房、そして食事用のテーブルがいくつかあるだけの簡素なものだった。

「夕食を四人分と宿泊で一部屋お願いします」

ネルさんは手慣れた様子で受付と注文を済ませると、一息ついたのかドカッと椅子に座り始めた。

「ほらほら皆も座って。折角の宿なんだからゆっくりしようよ」

ネルさんに促され取り敢えずテーブルに着くと間もなく夕食が運ばれてくる。今日のメニューは野菜の煮込みに小麦粉を練ったものでどこか懐かしい味だった。

食事を進めるなか、今の所放置している荷馬車がどうしても気になったので声を潜めてネルさんに聞いてみる。

「ネルさん、村の人を疑う訳じゃ無いんですが荷馬車に見張りとか必要ないんですか?」

「ああ、それなら大丈夫さ。もしここで村の誰かが盗みなんて働いて尚且つ犯人が見つからないなんて事になればその情報は色んな商会に流れる。そうなったら困るのはこの村だし、今は商品になるようなものはほとんど積んでいないから。それに盗まれて本当に困るものは部屋に運ぶからね」

「成る程…。商人の情報網って俺が想像してるより凄いのかも」

「ははは、多分ゴート君が思ってる何倍も凄いよ。情報の早さも量も。その分膨大な情報から何が真実か判断する力が必要だけどね」

「俺に商人は無理そうだ…」

「君は良くも悪くも素直過ぎるからなー。くれぐれも新しい土地で悪い奴に騙されたりしないようにね。事買い物の事を言えば、迷ったら商人組合。これに尽きるよ」

「目利きなんて出来る気がしないのでそうします…」

「まあ仮に騙されたとしてもそれも勉強さ。色々な物を見るのは良いことだしね」

「そういうものですか。難しいなあ…」

頭を抱える俺を見て笑う三人。

その笑いは嫌なものではなく、懐かしさや微笑ましさといった感情が感じられる暖かい笑い声だった。

夕食を終え、外で体を軽く流してから部屋に向かい各々が自由に過ごす。

「そういえばゴート君はリンの街についたらどうするんだい」

「特に決めてはないですね。色々と見聞きしからにしようかと。まあどちらにしろ数日は滞在すると思いますが…」

「だったら気が向いたときにでも港の街、ポートに行ってみると良いよ。あそこは一番近い海沿いの街だからね」

「海…見たこと無いな…。うん、取り敢えずそのポートの街を目的地の候補にします!」

「因みにポートの街はリンの街の南にあって、定期便も出てるから行くのは割りと楽だね。もし行ったら海の幸を堪能した方が良いよ、絶対に。あれは庶民にとってあそこの街でしか食べられない物だからね」


明日も早いため雑談もそこそこに床に入る。

港の街ポートか。初めての海だ。ネルさんが言っていた海の幸も凄く楽しみになっている。

こういった楽しみも旅の醍醐味だろう。

何より明日は待ちに待ったリンの街に到着する日だ。一体リンの街はどんな雰囲気を持った街なのか。

今から明日が楽しみだ。
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