その香り。その瞳。

京 みやこ

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(115)SIDE:奏太

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 斗輝は僕の腰を大きな手でしっかりと掴み、何度も何度も力強くペニスを突き入れる。
 その硬さ、太さ、熱さが、僕のナカを満たし、次々と快感を生んでいった。
「はっ、あ……、ん、ふっ……」
 僕は快感による涙をポロリ、ポロリと零しながら、自分でも甘ったるいと思える声で喘ぎ続ける。
 すると、斗輝は突き入れる角度を少し変えてきた。
 どうしたのかと思っているうちに、彼は張り出しているペニスの先端で、僕の前立腺をグリッと抉った。
「ひゃ、あぁっ!」
 大きな快感を得た僕の体が、ビクビクと小刻みに震える。
 背中を反らせて喘ぐ僕の様子に、斗輝が艶っぽくクスクスと笑った。
「気持ちよさそうに喘いで、いい表情だ。もっともっと、グチャグチャに乱してやりたくなるな」
 優しさと色気を含んだ声で告げられた言葉はそれほど長くないものの、頭の芯が快感によって蕩けかかっているため、ほとんど理解できなかった。
「あ、あ……。なに……?」
 ボンヤリと彼に視線を向けると、ユルリと首を横に振る様子がなんとか見て取れる。
「奏太が愛しいと言ったんだ」
 そう告げた彼が、グンと強めに腰を突き上げた。
 おかげで、さらに激しく前立腺が抉られる。
「ひっ……」
 ビクッと下半身を震わせ、僕は掠れた嬌声を零す。
 さっき彼に言われたセリフは、実際口にしたものと違うと、なんとなくだけど気付いた。 
 とはいえ、本当のことを探る余裕が、今の僕にはなかった。
 斗輝はペニスの先端を押し当て、よりいっそう前立腺を集中的に攻め始める。
 ペニスを前後させて、ぷっくりとしたしこりをゴリゴリと刺激してきた。
 最近ではペニスよりも、前立腺で得られる快感のほうが圧倒的大きい。
「やっ、あぁっ!」
 僕は腰を連続して跳ね上げ、自身のペニスをブルンブルンと震わせる。
 そんな様子を斗輝が微笑みながら眺めていることに気付かず、僕は卑猥な動きを繰り返していた。

 やがて、斗輝は抽挿する動きを止めた。
 僕はたまった涙を瞬きして押し出し、僕の脚の間に収まっている彼に視線を向ける。
 そして、ビクッと肩を震わせる。

 斗輝が、艶やか、かつ、獰猛な目付きをしていたから。

 普段の優しい雰囲気は残っているものの、黒曜石に似た漆黒の瞳には、ギラギラとした欲情の光が浮かんでいる。 
 快感で蕩けている視界でも分かるほどにはっきりと。
 そんな彼に対して抱くのは、恐怖心ではなく期待。
 
――斗輝、かっこいい……。その顔で、僕をもっとたくさん抱いてくれるんだ……

 僕はだらしないほど頬を緩め、フッと口角を上げる。
 すると、彼は掴んでいる僕の腰をグイッと引き寄せた。
「さらにいい顔になってきたな。さて、奏太の期待に応えてやらないと」
 フンワリと形のいい目を細めた彼は、おもむろに上半身を倒してくる。 
 そして、大きく引いた腰を一気に突き入れてきた。
 真上から硬く太い彼のペニスが進入してきて、ガツンと奥を突く。
 角度と体重の掛け方によって、いきなり一番奥まで挿ってきた。
「く、うぅ……!」
 快感があまりにも大き過ぎて、僕の口からは甘い喘ぎ声ではなく、押し殺した呻き声が漏れる。
 斗輝は一瞬動きを止めたものの、僕の表情がこれ以上ないほどトロトロに蕩け切っていたのを見て、すぐさま突き入れを再開した。
 奥の奥のすぼまりをこじ開けるかのように、何度も上から逞しいペニスを突き立てる。
 彼が腰を突き出す度に、僕のお尻と斗輝の太腿前面がぶつかり、肉を打つ鈍い音がした。
 その音に、ベッドがギシギシと軋む音、僕の喘ぎ声、彼の浅く早い呼吸が重なる。
 また、今の僕は発情期ではないものの、オメガ特有のフェロモン、いや、斗輝を誘いうための香りが体からフワリと漂う。
 完全に我を忘れて快感に溺れている僕でも、なぜか自身の香りの変化に気付いた。
 同時に、斗輝から漂う香りにも気付く。
「は、ぅ……、オレンジと……、綿菓子……、んん……」
 僕がポツリと呟いたのと同時に、彼がさらに体重をかけてくる。
「ああ、いい香りだな」
 響きのいい声で囁いた彼は、僕の最奥にペニスの先端を押し当てると、グリグリと腰を捩じってきた。
 おかげで、今まで味わったことのない最深部で、彼の存在をありありと感じる。
 その感覚は、甘さと、熱と、快感と、充足感を僕にもたらしてくれた。
「はっ、あん……!」
 僕はあご先を上げ、よりいっそう甘い声で喘ぐ。
 斗輝は僕の腰を掴んでいた手を放し、完全に上半身を倒して僕を抱き込んだ。その状態で、ガツガツ腰を突き入れ、グリグリと腰を回す。
 あまりの気持ちよさに、僕の体がどこかに飛んで行ってしまいそうだ。
 その感覚が、ふいに怖くなる。
「や、あ……。斗輝……。気持ちよすぎて、怖い……。ギュッとしてぇ……」
 僕は全身から力が抜けきっているため、彼にしがみつくことができない。
 子供がぐずるような声で甘えると、斗輝は長い腕でさらにきつく僕を抱き締めた。
「奏太、奏太……」
 猛然と腰を振りながら、彼がうわ言のように僕の名前を口にする。
 どうやら、彼も限界が近いらしい。
「ん、ふ……。斗、輝も、あ、あぁ……、いっしょ……?」
 弱々しい声で尋ねると、彼は僅かに腰の動きを緩めた。
「奏太、一緒とは?」
 顔を近付けた彼は、至近距離で僕の目を覗き込む。
 僕は情欲で煌めく瞳を見つめ返しながら、震える唇を改めて動かす。
「僕、もう……、イキ、そ……。斗輝も……、いっしょに、イって、くれ、る……?」
 細切れに問いかけたら、彼の目がユルリと弧を描いた。
「まったく……、『一緒にイってくれる?』とは、随分と可愛いことを言ってくれるな」
 ますます艶が増した声で囁かれ、僕のお腹の奥がキュンと切なく締め付けられる。
「斗輝……、いい……?」
 定まらない視線で一生懸命彼を見つめると、鼻先にチュッと小さなキスを落とされた。
「こんなにも可愛くて色気のある奏太からの誘いを、この俺が断るはずがない。むしろ、俺からお願いしたい」
 どうにか彼の言葉を聞き取った僕は、フニャリと目いっぱい頬を緩ませる。
「うれし、い……」
 僕が呟くのと同時に、彼の瞳の輝きが強くなった。
「奏太、しっかり俺を感じろ」
 響きのいい低音で囁いた斗輝は、これまで以上に激しく、情熱的に抽挿を繰り返す。
 彼が僕のナカも前立腺も最奥も絶えず攻めてくるから、僕はいよいよ絶頂の瞬間を迎えることになった。
「はっ、あ、あっ……!ん、くっ、う……!」
 甲高い嬌声を零した後、奥歯を食いしめて、お腹の奥底に溜まり込んだ淫熱を解放する。
 僕のペニスの先端から、ビュクリ、ビュクリと白濁が噴き上げた。
 絶頂を迎えると、僕のナカがキュウッと締まり、いやらしくうねりだす。
 斗輝は眉間に薄くシワを刻み、その感覚に負けじと数回腰を振った。
 そして、「くっ……」と微かな呻き声を上げ、動きをピタリと止める。

――ちゃんと、斗輝もイッタんだ……

 正確にはまったく同じタイミングではなかったけれど、この程度は誤差の範囲だ。
 お腹の奥で彼が放った熱を感じ、僕はますます頬を緩めた。
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