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- 捌 -
最後の変化
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よもや、と思った。
それは、自分の願望に過ぎないのではないか、と。
それでも、訊かずにはいられなかった。
「煕佑?」
トン、トン。
蝶は軽やかに、嬉しげに、肩を弾いた。
ああ。
呪詛ではない。
おそらく煕佑もまた、『荘周の夢』の咒を使ったのだ。
そして肉体は燃えてもなお、魂は綉葩の元へと飛んできてくれたのだ。
さっきまでとは違う涙が、目に浮かんできた。
『あまり身体から遠くまで……』
『魂が帰れなくなります……』
いつかの言葉を思い出す。
そうだ。
つまりは、自分もこの身体を失くしてしまえば、ずっと蝶でいられるということではないか。
そうすれば、ずっと煕佑と一緒にいられる……。
それ以上、あまり深くは考えられなかった。
さっき蝋燭に火を点けた燭台を、寝台の下に置く。
それから、燃やすつもりだった紙片を寝台の中央に広げると、針で指先を刺した。
ぷくり、と血の玉が指の腹に浮かぶ。
それを下に向け、紙へと落とした。
布の燃える匂いが下から立ち昇り始めた。
しばらくすると、寝台は熱さに包まれる。
しかしそれが苦痛になるよりも早く、綉葩の魂は、蝶へと変化した。
それは、自分の願望に過ぎないのではないか、と。
それでも、訊かずにはいられなかった。
「煕佑?」
トン、トン。
蝶は軽やかに、嬉しげに、肩を弾いた。
ああ。
呪詛ではない。
おそらく煕佑もまた、『荘周の夢』の咒を使ったのだ。
そして肉体は燃えてもなお、魂は綉葩の元へと飛んできてくれたのだ。
さっきまでとは違う涙が、目に浮かんできた。
『あまり身体から遠くまで……』
『魂が帰れなくなります……』
いつかの言葉を思い出す。
そうだ。
つまりは、自分もこの身体を失くしてしまえば、ずっと蝶でいられるということではないか。
そうすれば、ずっと煕佑と一緒にいられる……。
それ以上、あまり深くは考えられなかった。
さっき蝋燭に火を点けた燭台を、寝台の下に置く。
それから、燃やすつもりだった紙片を寝台の中央に広げると、針で指先を刺した。
ぷくり、と血の玉が指の腹に浮かぶ。
それを下に向け、紙へと落とした。
布の燃える匂いが下から立ち昇り始めた。
しばらくすると、寝台は熱さに包まれる。
しかしそれが苦痛になるよりも早く、綉葩の魂は、蝶へと変化した。
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