追放されたクズ勇者の死に戻り ~「オマエはクビだ」からやり直したオレは、破滅フラグを折りまくる~

テツみン

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第二話 クズ勇者、旅に出る

その四

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 ――ということで、オレたちはフィルから借りてきた、脱ぎたてホヤホヤ……いや、そこは強調する必要はないが――とにかく、その下着を使い、ゴブリンをおびき寄せるワナを作った。

 そして、今は茂みに隠れている。
 ゴブリンが人間の女性を連れ去るという事件は頻繁に起こっていた。だから、この作戦が有効だというのもなんとなくわかる。
 でも、いまだ半信半疑だ。だって、使用済み下着だぞ? いくら、うら若き女性のモノだからって――変質者もイイところだ。

 しかし、待つこと三十分――森の方角に何やら動くものが――森から出てきたのは体長一メートルほどで、二足歩行する緑色の生き物――つまり、ゴブリンだ。それが、迷うことなくワナの方向へ進んでいる。

「マジかよ。本当に来たよ」

 作戦は成功――なのだが、なんか呆れてしまう。
 ゴブリンはワナの前で多少の警戒をしていたが、すぐにワナ――つまり、フィルの下着を手に取った!
 オレが飛び出そうとしたところ、マルタが「まだ、ダメ」と引き留める。

「今、出て行ったら逃げられちゃう。ワナに夢中になるまで待って」

 ワナに夢中って、どういう意味だよ――そうは思ったのだが、言われたとおり待つ。
 すると、ゴブリンは手にしていたフィルの下着を顔に押し付けるではないか!
 コ、コラッ! 何しやがる! オレだってやったことがないのに!

 うらやましい――じゃなくて、ゆるせない!

「マルタ、わりぃ――もう、我慢できない――」
 そう言って、オレはゴブリンへ向かって、全力で駆け出した!

「あっ! ちょっと!」そんなマルタの声が聞こえたが、無視する。

 ゴブリンが気づいて、逃げようとしたが、オレのほうが速かった。今のオレなら、どんなヤツで捕まえてやれるさ!

「このヘンタイめ! 正義の鉄槌を受けろ!」そう叫び、両手剣を振り抜く。

「ぎゃあぁぁぁぁっ!」
 ゴブリンの断末魔が薄暮の山あいに響いた。

「ふっ――思い知ったか」

 ゴブリンに対して、ここまで殺意を覚えたのは初めてである。そういう意味でも、このワナは最強だった――

「グエル、スゴいよ! 本当ならもう少しワナに夢中になって、ゴブリンの警戒心が薄れたところを狙うんだけど、あの間合いでも逃がさないなんて、さすが勇者だね!」

 マルタが誉めちぎるので、「まあな――」と少し格好をつけた。
 だがマルタよ。あれ以上、我慢したら、オレの精神が持たなかった。

 こうして、老婆の依頼をあっという間にクリアしたオレたち。上半身と下半身が真っ二つに分離したゴブリンは、近くに穴を掘って埋めた。このままにしておくと、野獣や魔獣が集まってきてしまう可能性があるからな。
 そして、大事なフィルの下着を回収。

 全ての任務を終え、颯爽と老婆の家へ戻るのだった。
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