追放されたクズ勇者の死に戻り ~「オマエはクビだ」からやり直したオレは、破滅フラグを折りまくる~

テツみン

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第三話 クズ勇者、ダンジョンへ行く

その十一

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 ファーナンド遺跡は古代人の墳墓と言われている場所である。

 古い書物から、全部で十階層があると言われるのだが、現在、人類が到達できているのは九階層までだ。
 どの階層も複雑に入り組んでいて、迷路と言ってもイイ。未到達の最下層には古代人の支配者が眠っていると言われ、遺跡全体を当時の家臣や兵士たちが死霊となって主人を守り続けているという。

 つまり、アンデットだ。たいていは肉体が朽ち果て、骨だけになった『スケルトン』という姿で現れる。
 戦闘力は低く、物理的に破壊すれば、戦闘不能となる。ただし、死んだわけではない。数時間程度で再生し、再び生きる者を襲う。深層に行くと、しだいに戦闘力の高いアンデットが現れる。

 生前、高名な剣士や魔導士がアンデットになって、主人を守っているのだ。そういった、高位のアンデットはスケルトンと違い、再生速度も高く、高度な魔法を使用してくるのだとか――

 S級ダンジョンの中で唯一、アンデットモンスターが主な敵となるココ、ファーナンド遺跡は、はっきり言って人気のある狩場ではない。というのも、難易度の割に得られるモノが少ないからである。

 アンデットは他のモンスターと違い、カネになる素材が手に入らない。まあ、腐った肉や骨だからね。

 そして、ゴブリンやオークと違い、駆除することで冒険者ギルドから報酬が出ることもない。
 ゴブリンやオークなどの魔物は、数が増えるとダンジョンから出てきて人里を襲うので駆除する必要があるが、アンデットはダンジョンから外に出ることがないから、そういったクエストもないのだ。

 ただし、まったく侵入者がいないのかというと、そうでもない。遺跡には古代人が残した宝物がたくさん眠っており、一攫千金を狙ったトレジャーハンターたちが、モンスターが所持する宝石や武具、宝物庫に眠る財宝を奪おうと、このダンジョンに入り込んでいる。

 さて、ファーナンド遺跡の説明はこのあたりにして、現状を話す。
 オレとマルタ、そしてフィル――正体はウィルハース王国の王女、フィリシア――はファーナンド遺跡に侵入し、すでに三階層『あたり』に到着していた。

 なぜ、『あたり』というアバウトな言い方になるかというと、正確には階層に含まれていない場所を進んでいるからである。

 この遺跡を古代人が作ったのは千年前とか二千年前とか言われていた。それだけの年数が経過すると、いたるところが風化して崩落している箇所ばかりになる。
 本来のルートで進めば、かならずアンデットと戦うことになるのだが、風化した場所が抜け穴となり、ルートをショートカットできる。それにより、ムダな戦闘をせず進めるのだ。実際はそういった『抜け穴』が方々に四散しているのだ。
 あらかじめ調査してわかっているアンデットの位置を回避しながら、抜け穴を使って移動となると、かなりの遠回りになる。それでも、戦闘に要する時間や疲労を考慮すればかなり効率がイイ。
 ただし、ラクに進めるかというと、そうでもない。風化してできた抜け穴だけあって、足場が悪かったり、狭かったりと、なかなか通り抜けに苦労するのだ。

「うん。この先もアンデットはいないよ。大丈夫、入ってきて」

 ホビットであるマルタは荷物を背負いながらも、ヒョイヒョイと凸凹の足場をラクに渡り、先に行ってしまう。フィルも細身のカラダなので、ローブを着たまま、狭い穴もスルスルと抜けていけた。
 こうなると足手まといは――

「ちょ、ちょっと待ってくれ。穴から抜けない……」

 オレは崩落した抜け穴を通るだけで四苦八苦だ。

「チクショー。ココが抜けない――わぁ!」

 グシャーン!

 腰のベルトが引っかかり、もろくなったがれきが一斉に崩れた。なんとか、抜け出せたが危なく生き埋めになるところだった。

「気をつけて。この辺りはずいぶんと風化が進んでいるから、ムリヤリ押しのけると、大崩落を起こすかもしれないよ」
「わ、わかっているって――」

 剣や防具をマルタに持ってもらい、できるだけ身軽にしたのだが、鍛えた肉体がこういう場所では役に立たないどころか邪魔なだけだ。

「グエルさまぁ! 先にいきますよぉ!」

 こういった冒険がやってみたかった――そう言うフィルもやたらと張りきっている。

 はあ……ダンジョンに入ったらオレの出番だと思ったんだけどなぁ――前を行く元気な二人にため息をついた。その時、オレは「はっ!」とする。

『アイツ、お荷物だなぁ。見捨ててボクたちだけで先に行こうか?』
『そうですね。あんな役立たずは置いて、二人で行きましょう』

 そんな、マルタとフィルの会話が脳裏に聞こえた。
 ヤバい。このままでは本当にクビにされる――

「ま、待てくれ!」オレは無我夢中で二人を追いかけるのだった。
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