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第三話 クズ勇者、ダンジョンへ行く
その十三
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オレたちを尾行していた、猫人族の姉妹、サリアとミリア。捕まえると、今度は自分たちも仲間に入れろと言い出すので、もちろん断った。
なのに、とてもビックリされてしまう。
「ど、どうしてよ! こんな優良物件、他にないわよ! オマケにカワイイし! お買い得、間違いなし!」
今度は押し売りの様相になってきたぞ? しれっと、自分のことを『カワイイ』とか言っているし――
「オマエたちを仲間にする理由がこっちにない」
「そんなことないでしょ! 宝物庫にカギがかかっているかもしれないのよ。私は鍵開けには自信あるの」
「オレたちお宝目的じゃないし」
「へっ? じゃあ、何しに?」
「それをオマエらに言う義理はないだろ?」
まったく……盗人猛々しいとはよく言ったもんだ。だいいち、自分たちがそれほど有能なら、オレたちのあとをこっそりついていくようなマネをしなくても、立派にトレジャーハンターをやってるだろ?
「わかったら、さっさと帰れ」
とんだ邪魔が入った。
まあ、オレたちの命を狙っている組織の刺客――とかじゃなくてよかったがな。
「仕方ない。それじゃ、仲間になるのはあきらめる」
そう、サリアは応える。なんだ、思ったより聞き分けがイイじゃないか。
「だから、アンタたちのあとを勝手についていく」
「……はあ? 今、あきらめるって言っただろ?」
「仲間になるのはね。でも、うしろをくっついていくのは私たちの自由よね?」
「オマエなあ」
屁理屈もイイところだ。ヘンなやつらに絡まれてしまった。
「グエル様。イイじゃないですか? 仲間は多いほうが楽しいですよ」
「そうだよねえ! ほら、彼女もそう言っていることだし」
「おい、調子に乗るんじゃねえ。フィルもこんなやつらを甘やかすな。シーフなんて、仲間を簡単に裏切るに決まっている。信用できねえ!」
「ちょっと! グエルさんだっけ? それは偏見だっつーの! 本当のシーフというのは義理堅い人間なんだから」
だから、自分で言うな! なおさら、信じられるか!
「それよりも、私たちこれからお食事なの。一緒にどうですか? お弁当、オイシイですよ」と、フィルが言う。
おいこら!
「えっ? イイの? 実は私たち、途中で食べるモノを落としてしまったのよね」
「イイの? じゃない! フィルも誘うな――てか、まさか、オレたちの食料を分けるつもりじゃないよなぁ?」
「はい、そのつもりですよ」
いやいや、貴重な食料を知らないヤツラに分け与えるようなお人好しはいないって――
「大丈夫だよ。アスワンさんからたくさんお弁当をいただいたから、ふたりくらい増えても平気だよ」とマルタ。
「そういう問題じゃなくてなあ」
「まあまあ、カタイこと言わないで。ほら、ミリアも座ろ?」と、双子の姉が言う。
「あ、はい」とふたりして座った――て、おい!
「はい、サリアさんとミリアさんの分です」と、マルタは当たり前のようにお弁当を渡している。
「こうやって魔力を加えると温かくておいしく食べられるんですよ」とフィルが楽しそうだ。
「本当だぁ。温かい! これ、魔道具なの? スゴーイ!」
「なんか、とてもイイ匂いがします」
いつの間にか、四人で囲んでお弁当を広げている。もしかして、オレがおかしいのか? いや、そうじゃないだろう?
「ほら、グエルも座って。冷めるよ」
こうして、なし崩し的に食い扶ちがふたり増えてしまったオレたち。なんかハラ立つが、弁当を食べ終わると、どうでもイイ気分になった。それにしても、アスワンの弁当はウマい。
「はあ、美味しかった! これなら、毎日食べられるよ」
「はい! ダンジョンでこんなに美味しい食事をいただけるなんて思ってもいませんでした!」
サリアとミリアも満足といった顔をしている。そりゃあ、タダ飯だもんな。美味しいだろうよ。
「全部で五種類あるから、食べ飽きることはないと思うよ」とマルタ。
「本当ぉ? いやあ、夕飯が楽しみだなぁ!」
おいおい。オマエら、まさか五食全部、食べる気じゃないだろうな?
「大丈夫だよ。充分、在庫があるから」
「だから、そういう問題じゃねえ!」
その時、ゴゴーン! という激しい音が響く。ガタガタと揺れ、天井から埃が落ちてきた。
「きゃあ!」
「なんだぁ!」
なのに、とてもビックリされてしまう。
「ど、どうしてよ! こんな優良物件、他にないわよ! オマケにカワイイし! お買い得、間違いなし!」
今度は押し売りの様相になってきたぞ? しれっと、自分のことを『カワイイ』とか言っているし――
「オマエたちを仲間にする理由がこっちにない」
「そんなことないでしょ! 宝物庫にカギがかかっているかもしれないのよ。私は鍵開けには自信あるの」
「オレたちお宝目的じゃないし」
「へっ? じゃあ、何しに?」
「それをオマエらに言う義理はないだろ?」
まったく……盗人猛々しいとはよく言ったもんだ。だいいち、自分たちがそれほど有能なら、オレたちのあとをこっそりついていくようなマネをしなくても、立派にトレジャーハンターをやってるだろ?
「わかったら、さっさと帰れ」
とんだ邪魔が入った。
まあ、オレたちの命を狙っている組織の刺客――とかじゃなくてよかったがな。
「仕方ない。それじゃ、仲間になるのはあきらめる」
そう、サリアは応える。なんだ、思ったより聞き分けがイイじゃないか。
「だから、アンタたちのあとを勝手についていく」
「……はあ? 今、あきらめるって言っただろ?」
「仲間になるのはね。でも、うしろをくっついていくのは私たちの自由よね?」
「オマエなあ」
屁理屈もイイところだ。ヘンなやつらに絡まれてしまった。
「グエル様。イイじゃないですか? 仲間は多いほうが楽しいですよ」
「そうだよねえ! ほら、彼女もそう言っていることだし」
「おい、調子に乗るんじゃねえ。フィルもこんなやつらを甘やかすな。シーフなんて、仲間を簡単に裏切るに決まっている。信用できねえ!」
「ちょっと! グエルさんだっけ? それは偏見だっつーの! 本当のシーフというのは義理堅い人間なんだから」
だから、自分で言うな! なおさら、信じられるか!
「それよりも、私たちこれからお食事なの。一緒にどうですか? お弁当、オイシイですよ」と、フィルが言う。
おいこら!
「えっ? イイの? 実は私たち、途中で食べるモノを落としてしまったのよね」
「イイの? じゃない! フィルも誘うな――てか、まさか、オレたちの食料を分けるつもりじゃないよなぁ?」
「はい、そのつもりですよ」
いやいや、貴重な食料を知らないヤツラに分け与えるようなお人好しはいないって――
「大丈夫だよ。アスワンさんからたくさんお弁当をいただいたから、ふたりくらい増えても平気だよ」とマルタ。
「そういう問題じゃなくてなあ」
「まあまあ、カタイこと言わないで。ほら、ミリアも座ろ?」と、双子の姉が言う。
「あ、はい」とふたりして座った――て、おい!
「はい、サリアさんとミリアさんの分です」と、マルタは当たり前のようにお弁当を渡している。
「こうやって魔力を加えると温かくておいしく食べられるんですよ」とフィルが楽しそうだ。
「本当だぁ。温かい! これ、魔道具なの? スゴーイ!」
「なんか、とてもイイ匂いがします」
いつの間にか、四人で囲んでお弁当を広げている。もしかして、オレがおかしいのか? いや、そうじゃないだろう?
「ほら、グエルも座って。冷めるよ」
こうして、なし崩し的に食い扶ちがふたり増えてしまったオレたち。なんかハラ立つが、弁当を食べ終わると、どうでもイイ気分になった。それにしても、アスワンの弁当はウマい。
「はあ、美味しかった! これなら、毎日食べられるよ」
「はい! ダンジョンでこんなに美味しい食事をいただけるなんて思ってもいませんでした!」
サリアとミリアも満足といった顔をしている。そりゃあ、タダ飯だもんな。美味しいだろうよ。
「全部で五種類あるから、食べ飽きることはないと思うよ」とマルタ。
「本当ぉ? いやあ、夕飯が楽しみだなぁ!」
おいおい。オマエら、まさか五食全部、食べる気じゃないだろうな?
「大丈夫だよ。充分、在庫があるから」
「だから、そういう問題じゃねえ!」
その時、ゴゴーン! という激しい音が響く。ガタガタと揺れ、天井から埃が落ちてきた。
「きゃあ!」
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