71 / 84
第四話 クズ勇者、捕まる
その三
しおりを挟む
数人の看守から、殴り蹴りを加えられ、ロゼルを殺したことと、神書のありかを白状するように要求された。まあ、この程度は、前の人生で奴隷だった時に受けた仕打ちと比べたらたいしたことはない。そのまま、一時間ほど耐えていると、新たな人物が部屋に入ってくる。
「無様なモノだな。勇者が聞いてあきれる」
拷問で瞼が腫れてしまい、人物の姿がよく見えない。しかし、この声に聞き覚えがある――
「アレン――」
オレの代わりにファーナンド遺跡に向かって、神書を手に入れる前に逃げ帰ったアレン・ブラフォードである。もう一人の声も聞こえた。どうやら、マコーミックも一緒のようだ。
「さあ、オレから奪った神書をどこに隠したか言え!」
「――ところで、どうしてオレが神書を手に入れたことを知っている?」
「――えっ?」
アレンの顔色が変わった。わかりやすいヤツだ。
アレンはオレが神書を手に入れる前に逃げ出していた。だから、オレが神書を持っていると知らないはずだ。
そもそも、オレがファーナンド遺跡に行ったことも教えていなかったのだから――
あれ?
ひょっとして、これってチャンスじゃないか?
『解――そのとおりです。このまま、アレンを追及しましょう。それによって、彼がウソをついていると知らしめるのです』
そうか。それなら――
「アレン。オレが神書を手に入れたことを誰に教えてもらった?」
「だ、黙れ! ダンジョンを攻略し、神書を手に入れたのはオレだ! それをオマエが奪ったのだろ!」
「ほう。じゃあ、どうやって奪われたのか教えてくれよ」
「なっ!」
コイツは自尊心の塊だ。昔からそういうヤツだった。だから、自分のモノを奪われたという屈辱を受け入れるはずもない。
だから、こういう質問に対して、たとえウソでも奪われた状況を他人に話すはずがない。そもそも、オレが奪ったというウソをついた時点で破綻しているのだ。
「うるさい! そんなこと。どうでもイイだろ!」
「言えないよな。だって、本当はオマエ、ダンジョンを制覇せずに、逃げ帰ったもんな。神書なんて手にしていないもんな」
オレが笑うと、それを聞いていたマコーミックや衛兵たちが、懐疑的な表情になって、互いの顔を見ている。
「おい、アレン。それは本当なのか?」
マコーミックの質問にアレンは顔を真っ赤にする。
「デタラメだ! コイツがウソをついているだけだ! この大ウソつきが!」
そう言って、こん棒を手にすると、オレの顔をそれで殴った!
「グファッ!」とオレは口から血を吐き出す。さすがにアレンのチカラは看守の衛兵とは比べものにならない。かなりのダメージだ。
「どうだ! 思い知ったか! ウソをつきましたと謝れ!」
そう言って、また殴る。
「オレはウソをついていない。じゃあ、ダンジョン最下層をどうやって攻略したか言ってみろよ」
「な、なんだと――」
「最下層はどうなっていた? どんな敵がいた? どうやって、敵を退けた? 神書はどこにあった? 他に何があった?」
当然、答えられるわけがない。アレンは顔を真っ赤にする。
「うるさい! うるさい! オレはダンジョンを制覇した! そして神書を手に入れた。それをオマエが奪ったんだ! さあ、言え! 神書はどこにある!?」
気が狂ったようにこん棒を振り回し、オレを殴るので、それを見ていたマコーミックや看守も目を背ける。
「顔を殴るのはやめてください! 話すことができなくなったら、聞き出せなくなります」
看守がそう言う。ありがたい。これ以上、殴られたらイイ男が台無しになってしまう。
「くそ――」とアレンは悔しそうな顔を見せる。
かなり、フラストレーションが溜まってきたみたいだな。それじゃ、奥の手を出しますか――
「そうそう、ロゼルが死んだと思っているようだけど、ヤツは生きているよ」
「――えっ?」とアレンが目を丸くする。
「オマエが見捨てたロゼルは、ピンピンしてるぞ」
まあ、魔力は失ってしまったがな。
「ふ、ふざけるな! アイツが死んだのをオレは見た。リッチが投げたクサナギがロゼルのカラダに刺さって死んだんだ!」
「あれ? おかしいな? ロゼルはオレが殺したんじゃないのか?」
さすがに、それで衛兵が浮足立ってきた。
「ちょ、ちょっと、隊長を呼んできます」と部屋を出ようとした。
「待て! 誰が部屋を出てイイと言った!」とアレンが看守を呼び止める。
「いや、しかし――」
「オレは王国将軍、ジョージ・ブラフォードの息子だぞ。オレの指示を無視したらどうなるかわかるだろ?」
そんな脅しを相手に向かって言うので、看守のカラダは震えていた。
「無様なモノだな。勇者が聞いてあきれる」
拷問で瞼が腫れてしまい、人物の姿がよく見えない。しかし、この声に聞き覚えがある――
「アレン――」
オレの代わりにファーナンド遺跡に向かって、神書を手に入れる前に逃げ帰ったアレン・ブラフォードである。もう一人の声も聞こえた。どうやら、マコーミックも一緒のようだ。
「さあ、オレから奪った神書をどこに隠したか言え!」
「――ところで、どうしてオレが神書を手に入れたことを知っている?」
「――えっ?」
アレンの顔色が変わった。わかりやすいヤツだ。
アレンはオレが神書を手に入れる前に逃げ出していた。だから、オレが神書を持っていると知らないはずだ。
そもそも、オレがファーナンド遺跡に行ったことも教えていなかったのだから――
あれ?
ひょっとして、これってチャンスじゃないか?
『解――そのとおりです。このまま、アレンを追及しましょう。それによって、彼がウソをついていると知らしめるのです』
そうか。それなら――
「アレン。オレが神書を手に入れたことを誰に教えてもらった?」
「だ、黙れ! ダンジョンを攻略し、神書を手に入れたのはオレだ! それをオマエが奪ったのだろ!」
「ほう。じゃあ、どうやって奪われたのか教えてくれよ」
「なっ!」
コイツは自尊心の塊だ。昔からそういうヤツだった。だから、自分のモノを奪われたという屈辱を受け入れるはずもない。
だから、こういう質問に対して、たとえウソでも奪われた状況を他人に話すはずがない。そもそも、オレが奪ったというウソをついた時点で破綻しているのだ。
「うるさい! そんなこと。どうでもイイだろ!」
「言えないよな。だって、本当はオマエ、ダンジョンを制覇せずに、逃げ帰ったもんな。神書なんて手にしていないもんな」
オレが笑うと、それを聞いていたマコーミックや衛兵たちが、懐疑的な表情になって、互いの顔を見ている。
「おい、アレン。それは本当なのか?」
マコーミックの質問にアレンは顔を真っ赤にする。
「デタラメだ! コイツがウソをついているだけだ! この大ウソつきが!」
そう言って、こん棒を手にすると、オレの顔をそれで殴った!
「グファッ!」とオレは口から血を吐き出す。さすがにアレンのチカラは看守の衛兵とは比べものにならない。かなりのダメージだ。
「どうだ! 思い知ったか! ウソをつきましたと謝れ!」
そう言って、また殴る。
「オレはウソをついていない。じゃあ、ダンジョン最下層をどうやって攻略したか言ってみろよ」
「な、なんだと――」
「最下層はどうなっていた? どんな敵がいた? どうやって、敵を退けた? 神書はどこにあった? 他に何があった?」
当然、答えられるわけがない。アレンは顔を真っ赤にする。
「うるさい! うるさい! オレはダンジョンを制覇した! そして神書を手に入れた。それをオマエが奪ったんだ! さあ、言え! 神書はどこにある!?」
気が狂ったようにこん棒を振り回し、オレを殴るので、それを見ていたマコーミックや看守も目を背ける。
「顔を殴るのはやめてください! 話すことができなくなったら、聞き出せなくなります」
看守がそう言う。ありがたい。これ以上、殴られたらイイ男が台無しになってしまう。
「くそ――」とアレンは悔しそうな顔を見せる。
かなり、フラストレーションが溜まってきたみたいだな。それじゃ、奥の手を出しますか――
「そうそう、ロゼルが死んだと思っているようだけど、ヤツは生きているよ」
「――えっ?」とアレンが目を丸くする。
「オマエが見捨てたロゼルは、ピンピンしてるぞ」
まあ、魔力は失ってしまったがな。
「ふ、ふざけるな! アイツが死んだのをオレは見た。リッチが投げたクサナギがロゼルのカラダに刺さって死んだんだ!」
「あれ? おかしいな? ロゼルはオレが殺したんじゃないのか?」
さすがに、それで衛兵が浮足立ってきた。
「ちょ、ちょっと、隊長を呼んできます」と部屋を出ようとした。
「待て! 誰が部屋を出てイイと言った!」とアレンが看守を呼び止める。
「いや、しかし――」
「オレは王国将軍、ジョージ・ブラフォードの息子だぞ。オレの指示を無視したらどうなるかわかるだろ?」
そんな脅しを相手に向かって言うので、看守のカラダは震えていた。
0
あなたにおすすめの小説
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……
buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。
みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……
世界最強の賢者、勇者パーティーを追放される~いまさら帰ってこいと言われてももう遅い俺は拾ってくれた最強のお姫様と幸せに過ごす~
aoi
ファンタジー
「なぁ、マギそろそろこのパーティーを抜けてくれないか?」
勇者パーティーに勤めて数年、いきなりパーティーを戦闘ができずに女に守られてばかりだからと追放された賢者マギ。王都で新しい仕事を探すにも勇者パーティーが邪魔をして見つからない。そんな時、とある国のお姫様がマギに声をかけてきて......?
お姫様の為に全力を尽くす賢者マギが無双する!?
防御力を下げる魔法しか使えなかった俺は勇者パーティから追放されたけど俺の魔法に強制脱衣の追加効果が発現したので世界中で畏怖の対象になりました
かにくくり
ファンタジー
魔法使いクサナギは国王の命により勇者パーティの一員として魔獣討伐の任務を続けていた。
しかし相手の防御力を下げる魔法しか使う事ができないクサナギは仲間達からお荷物扱いをされてパーティから追放されてしまう。
しかし勇者達は今までクサナギの魔法で魔物の防御力が下がっていたおかげで楽に戦えていたという事実に全く気付いていなかった。
勇者パーティが没落していく中、クサナギは追放された地で彼の本当の力を知る新たな仲間を加えて一大勢力を築いていく。
そして防御力を下げるだけだったクサナギの魔法はいつしか次のステップに進化していた。
相手の身に着けている物を強制的に剥ぎ取るという究極の魔法を習得したクサナギの前に立ち向かえる者は誰ひとりいなかった。
※小説家になろうにも掲載しています。
地味な薬草師だった俺が、実は村の生命線でした
有賀冬馬
ファンタジー
恋人に裏切られ、村を追い出された青年エド。彼の地味な仕事は誰にも評価されず、ただの「役立たず」として切り捨てられた。だが、それは間違いだった。旅の魔術師エリーゼと出会った彼は、自分の能力が秘めていた真の価値を知る。魔術と薬草を組み合わせた彼の秘薬は、やがて王国を救うほどの力となり、エドは英雄として名を馳せていく。そして、彼が去った村は、彼がいた頃には気づかなかった「地味な薬」の恩恵を失い、静かに破滅へと向かっていくのだった。
俺の好きな人は勇者の母で俺の姉さん! パーティ追放から始まる新しい生活
石のやっさん
ファンタジー
主人公のリヒトは勇者パーティを追放されるが別に気にも留めていなかった。
ハーレムパーティ状態だったので元から時期が来たら自分から出て行く予定だったし、三人の幼馴染は確かに可愛いが、リヒトにとって恋愛対象にどうしても見られなかったからだ。
だから、ただ見せつけられても困るだけだった。
何故ならリヒトの好きなタイプの女性は…大人の女性だったから。
この作品の主人公は転生者ですが、精神的に大人なだけでチートは知識も含んでありません。
勿論ヒロインもチートはありません。
他のライトノベルや漫画じゃ主人公にはなれない、背景に居るような主人公やヒロインが、楽しく暮すような話です。
1~2話は何時もの使いまわし。
亀更新になるかも知れません。
他の作品を書く段階で、考えてついたヒロインをメインに純愛で書いていこうと思います。
大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる
遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」
「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」
S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。
村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。
しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。
とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる