追放されたクズ勇者の死に戻り ~「オマエはクビだ」からやり直したオレは、破滅フラグを折りまくる~

テツみン

文字の大きさ
81 / 84
第四話 クズ勇者、捕まる

その十三

しおりを挟む
「はっ!」

 目を覚ましたら、オレはベッドの中にいた。真っ白な天井に壁。たしかココは――

「お目覚めになられましたか? グエル様」

 声の聞こえた方向を見る。ライトブルーのドレスを纏った金髪の美少女、フィルが隣に座っていた。いや、今はもうフィリシアか――そう、ココは王宮の中だ。

「オレはどうして、ココに?」
「がれきの中にグエル様たちが倒れていましたので、エオリアたちがここまで運んでくれたのです」

 エオリア――ああ、あの無愛想な女騎士団長か。

「他のみんなは?」
「全員、無事ですよ。アレンも含めて――」

 ケガをしていた者もすでに治療を終えたらしい。一番、酷いケガだったオレだけがなかなか意識が戻らず、フィリシアがずっと看病してくれていたようだ。

「あばら骨がいくつも折れていて、肺や内臓に突き刺さっていました。生きているのが奇跡だと医者は言っていましたよ。いったい、どんな敵と戦っていたのですか?」

 そう言われて、オレは苦笑いする。そのケガの大半は敵じゃなく、衛兵本部でアレンから受けたモノなんだよな――

「敵か――そうだ! 敵は? 仮面の人物は?」
「仮面の人物?」
「黒ローブを着て、ドクロの仮面を被った人物だよ。それと、金色の刺繍ししゅうがある紺のジャケットをきた男」

 フィリシアは「そのような人は見かけませんでした」と応えた。
 そうか、逃げられたか――いや、逃げたんじゃない。オレたちを見逃してくれた――が正しい。

 仮面の人物――男だと思うが、オレより背が低く華奢だった。なのに、あの魔力量――尋常でない魔力は恐怖でしかない。
 あの人物が本気になれば、王都にいた全員が、数分で死んでいたはずだ。

 アレは、魔族なのだろうか? だとしたら、魔族と戦おうとするなんて、無謀もイイところだ。勇者の出現なんて期待せず、すぐにでも命乞いし、魔族の軍門に下ったほうがイイ――そう本気で考えてしまう。

「そうですか。グエル様たちはそのような強敵と戦っていたのですね。ですが、全員生き残れました。グエル様のおかげです」

 フィリシアはそうほめるのだが、とても、そんな気分ではない。

「それに、犠牲は出た。ハクヒがやられた」

 古代人の魔女が不死となり、最恐のアンデットとなったリッチ。そのハクヒが、あの仮面の人物にまったく歯が立たず、肉片となってしまった。オレたちに関わらなければ、こんなことにならなかっただろうに――申し訳なく思う。

「何を言う? 妾はこのとおり、ピンピンしておるぞ?」
「――えっ?」

 いつの間にか、フィリシアのとなりにいた、緋袴の幼女がオレを見上げている。

「妾は不死じゃ。知っておるじゃろう?」

 まあ、言われればそうだった。なんか、損した気分だ。

「肉片が回収できず、不足したので、数キロほど生肉を補充したがの」
「ハ、ハ、ハ――」とオレはチカラなく笑った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる

遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」 「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」 S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。 村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。 しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。 とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。

世界最強の賢者、勇者パーティーを追放される~いまさら帰ってこいと言われてももう遅い俺は拾ってくれた最強のお姫様と幸せに過ごす~

aoi
ファンタジー
「なぁ、マギそろそろこのパーティーを抜けてくれないか?」 勇者パーティーに勤めて数年、いきなりパーティーを戦闘ができずに女に守られてばかりだからと追放された賢者マギ。王都で新しい仕事を探すにも勇者パーティーが邪魔をして見つからない。そんな時、とある国のお姫様がマギに声をかけてきて......? お姫様の為に全力を尽くす賢者マギが無双する!?

防御力を下げる魔法しか使えなかった俺は勇者パーティから追放されたけど俺の魔法に強制脱衣の追加効果が発現したので世界中で畏怖の対象になりました

かにくくり
ファンタジー
 魔法使いクサナギは国王の命により勇者パーティの一員として魔獣討伐の任務を続けていた。  しかし相手の防御力を下げる魔法しか使う事ができないクサナギは仲間達からお荷物扱いをされてパーティから追放されてしまう。  しかし勇者達は今までクサナギの魔法で魔物の防御力が下がっていたおかげで楽に戦えていたという事実に全く気付いていなかった。  勇者パーティが没落していく中、クサナギは追放された地で彼の本当の力を知る新たな仲間を加えて一大勢力を築いていく。  そして防御力を下げるだけだったクサナギの魔法はいつしか次のステップに進化していた。  相手の身に着けている物を強制的に剥ぎ取るという究極の魔法を習得したクサナギの前に立ち向かえる者は誰ひとりいなかった。 ※小説家になろうにも掲載しています。

地味な薬草師だった俺が、実は村の生命線でした

有賀冬馬
ファンタジー
恋人に裏切られ、村を追い出された青年エド。彼の地味な仕事は誰にも評価されず、ただの「役立たず」として切り捨てられた。だが、それは間違いだった。旅の魔術師エリーゼと出会った彼は、自分の能力が秘めていた真の価値を知る。魔術と薬草を組み合わせた彼の秘薬は、やがて王国を救うほどの力となり、エドは英雄として名を馳せていく。そして、彼が去った村は、彼がいた頃には気づかなかった「地味な薬」の恩恵を失い、静かに破滅へと向かっていくのだった。

掃除婦に追いやられた私、城のゴミ山から古代兵器を次々と発掘して国中、世界中?がざわつく

タマ マコト
ファンタジー
王立工房の魔導測量師見習いリーナは、誰にも測れない“失われた魔力波長”を感じ取れるせいで奇人扱いされ、派閥争いのスケープゴートにされて掃除婦として城のゴミ置き場に追いやられる。 最底辺の仕事に落ちた彼女は、ゴミ山の中から自分にだけ見える微かな光を見つけ、それを磨き上げた結果、朽ちた金属片が古代兵器アークレールとして完全復活し、世界の均衡を揺るがす存在としての第一歩を踏み出す。

A級パーティから追放された俺はギルド職員になって安定した生活を手に入れる

国光
ファンタジー
A級パーティの裏方として全てを支えてきたリオン・アルディス。しかし、リーダーで幼馴染のカイルに「お荷物」として追放されてしまう。失意の中で再会したギルド受付嬢・エリナ・ランフォードに導かれ、リオンはギルド職員として新たな道を歩み始める。 持ち前の数字感覚と管理能力で次々と問題を解決し、ギルド内で頭角を現していくリオン。一方、彼を失った元パーティは内部崩壊の道を辿っていく――。 これは、支えることに誇りを持った男が、自らの価値を証明し、安定した未来を掴み取る物語。

俺の好きな人は勇者の母で俺の姉さん! パーティ追放から始まる新しい生活

石のやっさん
ファンタジー
主人公のリヒトは勇者パーティを追放されるが別に気にも留めていなかった。 ハーレムパーティ状態だったので元から時期が来たら自分から出て行く予定だったし、三人の幼馴染は確かに可愛いが、リヒトにとって恋愛対象にどうしても見られなかったからだ。 だから、ただ見せつけられても困るだけだった。 何故ならリヒトの好きなタイプの女性は…大人の女性だったから。 この作品の主人公は転生者ですが、精神的に大人なだけでチートは知識も含んでありません。 勿論ヒロインもチートはありません。 他のライトノベルや漫画じゃ主人公にはなれない、背景に居るような主人公やヒロインが、楽しく暮すような話です。 1~2話は何時もの使いまわし。 亀更新になるかも知れません。 他の作品を書く段階で、考えてついたヒロインをメインに純愛で書いていこうと思います。

処理中です...