色彩を知らない私は森田研究室に出会った

松下一成

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第4章 新森田塾・環境論文

11.OB会と合同合宿

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 2月の中旬に森田研恒例のOB会が開かれることになった。招かれるOBは1期生から10期生。つまり私も面識のある10期生の人たちと会うことになった。
 
 久しぶりに会ったOBの方に言われたのが
 
「まっつん、顔大分変ったね」
 
 とのこと。これは作業着を渡してくれた方にも言われた。自分では気が付かなかったが大分顔が変わったらしい。ちなみにやつれたとかそういう意味ではない。いや、そういう意味もあったのかもしれないけれど。
 
 OB会が始まる前に11期生の森田塾が行われた。これは社会人になった10期生や同時期に卒業した院生の人とディスカッションを行うという物であったのだけれど、話は当然環境論文や研究室の雰囲気についてでもある。そして現状の環境論文の進み具合を聞いたOBは「もっと頑張れよ」と言った。
 
 けれどOBの方は私にそれを言わなかったのである。
 
この「見ていないようで見ている」というのが森田研にある特有の雰囲気なんだよな。と思ったその時に、あることが頭の中に出てきた。
 
 それが「色彩」だった。
 
 全く脈略もないように感じるかもしれないがOB会で久しぶりにあった卒業生の人たちと話していると頭の中にある色彩について学んだことと、森田研究室が繋がり始めた。
 
「そうか・・・そういうことなのか?」
 
 そのことが気になり始めてしまい、そのままOB会に参加してしまったため、そこで行われたことを全く覚えていない。たぶんビンゴゲームとかもちゃんとやったんだろうけども見えていなかった。
 
 そして会が終わると今度は12期生の方に課題が出されるようになった。それが今回の会のまとめをプレゼンにして発表するという物である。

 その後も私が持ちうるものを12期生へ引継ぎが続いていき、気が付くと2月末日。合同合宿の日がやってきた。これに参加するのは院生・4年生・新4年生である。人数もかなり多く、多分森田研の旅行としては過去最大であっただろう。
 
 それで合同合宿なのであるが私は「ほとんど寝ていた」のである。これは合宿に行く前に言われてしまったことなのだが「合宿は合宿だからそれだけやってね」とのこと。
 
 つまり「今手を付けている環境論文を持って行ってやるんじゃないぞ」ということだった。だから私は本も何も持って行かず、合宿は寝ることと、12期生への引継ぎをメインにして行うことにした。もちろんこの時の「引継ぎ」というのは企画のやり方もそうなのであったが森田研の雰囲気とかそういうのも含まれている。
 
 そしてそれらのイベントが終了するとついに「森田研究室の卒業」へ向けて動き出すことになった。
 
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