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第三章 はた迷惑な居候
プロローグ
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何故こんな事になったのか。
焼肉のたれの入った紙皿と割り箸をそれぞれ手にしながら、香ばしい肉の匂いをふんだんに含んだ煙を顔に浴びながら、俺はそんな事を考えていた。
目の前には肉や野菜が乗った網。バーベキューセットに炭がくべられ、その熱で油を滴らせながら程よく焼けた肉が網の上で踊っていた。
「ほれほれ。遠慮せんとガンガン食え。若もんが」
「はあ」
コンロを挟んで正面で肉を次々と並べていた千堂さんが、ガンガンいこうぜとばかりに俺の紙皿に焼けた肉を入れていく。
一枚二枚三枚四枚五枚六枚七枚……って、そんなに一気に食べたら胃もたれするわ。
と、そんな俺の心の悲鳴を聞きつけたのか、その皿の中にさりげなく投入される人参とピーマン。
俺の持っている紙皿よりも更に低い位置から隠れるように伸ばされた箸から落とされたその異物に、すぐに反応したのは、千堂さんの奥方である明美夫人だった。
「こーら、真奈美。好き嫌いしないでちゃんと食べなさい」
どうやら、俺の皿に野菜を横流ししていた犯人は千堂さんの孫娘である真奈美ちゃんだったらしい。
……らしいも何も実は最初から定期的に投入されてたから知ってたけど。俺は好き嫌いとかないから何も言わずに食べていたのだけど、明美夫人はそれを良しとは思わなかったらしい。
「だって。人参もピーマンも嫌い」
俺の腰にぴったりと張り付いた二本のツインテールがイヤイヤと揺れる。
しかし、明美夫人は俺たちの傍に寄ってくると、俺の皿の中から比較的小さい人参とピーマンを一つずつ取ると、真奈美ちゃんの皿に戻してしまった。
「だってじゃありません。そんな風に好き嫌いばかりしてると、大きくなったらお母さんみたいになっちゃうのよ?」
「ちょっとぉ。それどういう意味ぃ?」
実の親の言い草に不満があったのだろう。
真奈美ちゃんの隣で肉をつついてた翠が不満の声を上げる。
だが、明美夫人の言葉を聞いた真奈美ちゃんは「うぐっ」と声を上げると、視線を野菜に落として覚悟したように呟いた。
「……頑張って食べる」
「……真奈美ぃ……」
恐ろしい程に子供から信頼の無い奴だった。
普段の翠の態度がわからないからなんとも言えないが、本人の言う通りちゃらんぽらんなのだろう。それが本人の本当の性格かどうかは別として……だ。
それでも俺の腰に張り付いて「うんうん」唸っている真奈美ちゃんの頭に手を置くと、軽く撫でやる。
「まあ、頑張ってそれだけ食べな。それ以外は俺が全部食べてあげるからさ」
「おじちゃんありがとー」
おじちゃん。おじちゃんか。
まあ、9歳の女の子からすれば32歳の俺は立派なおじちゃんで間違いないな。
俺を見上げながらニヘラと笑った真奈美ちゃんに少し癒された気分になる。
そんな俺たちを見ながら、まだ先ほどのやり取りに立ち直れていないのか、ブーたれた表情の翠が印象的だった。
焼肉のたれの入った紙皿と割り箸をそれぞれ手にしながら、香ばしい肉の匂いをふんだんに含んだ煙を顔に浴びながら、俺はそんな事を考えていた。
目の前には肉や野菜が乗った網。バーベキューセットに炭がくべられ、その熱で油を滴らせながら程よく焼けた肉が網の上で踊っていた。
「ほれほれ。遠慮せんとガンガン食え。若もんが」
「はあ」
コンロを挟んで正面で肉を次々と並べていた千堂さんが、ガンガンいこうぜとばかりに俺の紙皿に焼けた肉を入れていく。
一枚二枚三枚四枚五枚六枚七枚……って、そんなに一気に食べたら胃もたれするわ。
と、そんな俺の心の悲鳴を聞きつけたのか、その皿の中にさりげなく投入される人参とピーマン。
俺の持っている紙皿よりも更に低い位置から隠れるように伸ばされた箸から落とされたその異物に、すぐに反応したのは、千堂さんの奥方である明美夫人だった。
「こーら、真奈美。好き嫌いしないでちゃんと食べなさい」
どうやら、俺の皿に野菜を横流ししていた犯人は千堂さんの孫娘である真奈美ちゃんだったらしい。
……らしいも何も実は最初から定期的に投入されてたから知ってたけど。俺は好き嫌いとかないから何も言わずに食べていたのだけど、明美夫人はそれを良しとは思わなかったらしい。
「だって。人参もピーマンも嫌い」
俺の腰にぴったりと張り付いた二本のツインテールがイヤイヤと揺れる。
しかし、明美夫人は俺たちの傍に寄ってくると、俺の皿の中から比較的小さい人参とピーマンを一つずつ取ると、真奈美ちゃんの皿に戻してしまった。
「だってじゃありません。そんな風に好き嫌いばかりしてると、大きくなったらお母さんみたいになっちゃうのよ?」
「ちょっとぉ。それどういう意味ぃ?」
実の親の言い草に不満があったのだろう。
真奈美ちゃんの隣で肉をつついてた翠が不満の声を上げる。
だが、明美夫人の言葉を聞いた真奈美ちゃんは「うぐっ」と声を上げると、視線を野菜に落として覚悟したように呟いた。
「……頑張って食べる」
「……真奈美ぃ……」
恐ろしい程に子供から信頼の無い奴だった。
普段の翠の態度がわからないからなんとも言えないが、本人の言う通りちゃらんぽらんなのだろう。それが本人の本当の性格かどうかは別として……だ。
それでも俺の腰に張り付いて「うんうん」唸っている真奈美ちゃんの頭に手を置くと、軽く撫でやる。
「まあ、頑張ってそれだけ食べな。それ以外は俺が全部食べてあげるからさ」
「おじちゃんありがとー」
おじちゃん。おじちゃんか。
まあ、9歳の女の子からすれば32歳の俺は立派なおじちゃんで間違いないな。
俺を見上げながらニヘラと笑った真奈美ちゃんに少し癒された気分になる。
そんな俺たちを見ながら、まだ先ほどのやり取りに立ち直れていないのか、ブーたれた表情の翠が印象的だった。
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