運命がわからない君へ どうか幸せに

野埜乃のの

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本編

番になろう*

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「少し待っててね」
「……しゅうや、さん?」

僕をベッドに降ろしたあと、柊弥さんがすぐに離れていってしまう。一人にされるのが怖くて追いかけようとするけど、自分を支える力もなくて喘ぐことしかできなかった。
満たされないのが悲しくて、さっき柊弥さんがしてくれたみたいに性器をいじる。でも全然気持ちよくなれなくて、手に力が籠った。

「あ、ぁっ、やだ……」

早くイきたいのにイけない。苦しくて、柊弥さんの名前を何度も呼んだ。
するとそっと頭を撫でられた。

「ごめんね、寂しかったね。そんなに強くしたら痛くなるから、ローション使おうか」
「ん、ん、しゅうやさんっ」

力が入りすぎた僕の手をゆっくり剥がしながら、額にちゅっとキスしてくれる。ふわっとつらさが和らいで、もっとって柊弥さんに縋りついた。

「もっとキスしていいの?」
「きす、したいの。いっぱい」

両手を伸ばすと、柊弥さんは優しく微笑みながら僕に覆いかぶさった。鼻が触れ合うまで近づいて、そっと唇を触れ合わせる。
ふわふわとした軽い口付け。さっきのおさらいみたいで、僕もおもいきって柊弥さんの唇に吸い付いた。
何度も角度を変えてお互いの唇を啄んで、そしたら自然に柊弥さんの舌を受け入れていた。

「ん……ン、ふぅ」

もっと深くまで繋がりたくて、無我夢中で舌を絡めた。くちゅくちゅと耳に響く水音で頭がぼうっとする。

「とろとろになって、かわいいね、那央くん」

ぼんやりしながら見上げると、にっこりと柊弥さんが笑った。笑顔も声も甘くて、胸がきゅぅんと幸せで苦しくなる。

「ここ解そうか。はじめてだからしっかり慣らしておかないとね」

そうだ、はじめてするんだ。はじめてするのが柊弥さんとなんてうれしい。
何度も頷いていると、つつっと指先が後ろをなぞった。柊弥さんが入り口を撫でるたびにくちくちと音がして、自分でも驚くぐらい濡れているのがわかる。まるで欲しがっているみたいで、かぁっと頬が熱くなる。

「那央くん、ちゃんと濡れてる。キスが気持ち良かった?」
「ん……きす、すき」
「よかった」

再び降ってくるキスに気を取られていると、ゆっくりと指が入ってくる。それだけで気持ち良くて、きゅうとお腹の中が引き攣れる。そんな状態なのに、キスしたまま中で指を動かされて頭の中が真っ白になった。

柊弥さんにしがみついてひたすら喘いだ。
自分のフェロモンが噴き出すのがわかるぐらい昂っていて、どこにいるかわからなくなる。ただ増えていく指に内壁をこすりつけて、でも足りなくて、さみしくて涙があふれた。

「しゅ、やさ、っ……もう、ゃだ……っ」
「……うん、那央くん、入れるね?」
「ん、んッ、いれて、いれてっ」

足が大きく開かれて、いやらしいところも全部柊弥さんの目に晒される。でも恥ずかしがってるひまなんてなくて、柊弥さんのものが触れた瞬間、またばちんって何かがはじけた。
身体が跳ねて、ハッハッてわんちゃんみたいな呼吸音が聞こえる。性器からこぼれた水っぽいものがちょろちょろとお腹の凹みに溜まっていくのが見えて、柊弥さんを見上げた。

「ふふ、いっぱい出たね、かわい。休ませてあげたいけど、俺も止まれないからこのまま」

柊弥さんがつらそうで僕はなんでもいいから頷いた。ぐっと膝を開かれて体重がかけられる。入り口が広げられて、くぷりと先が入り込んだ。

「あ、ァ……ん」

圧迫感はあるけど痛くない。何度も行き来しながら奥へ奥へと入ってくる。ゆっくりと中が柊弥さんの形に開かれていくことがうれしくてふるりと身体が震えた。

「は、ぁ、那央くん」

ぐぐっと柊弥さんの腰がおしりに押し付けられて、奥の方までいっぱいに満たされる。少し揺らされるだけできゅうきゅうと柊弥さんを締め付けて、ねだってるみたいだった。

「しゅや、さ……」
「那央くん、中まで甘えたなんて――」

たまらないな、とちゅっと額にキスされて「動くね」と囁かれる。
ゆっくりと引き抜かれてから、中を探るみたいに押し込まれる。それだけで軽く達してしまうのに、触ったことのない前立腺までぐっと抉られて、ちかちかと星が飛んだ。

「あ、あっ……そこ、ぁああ……っ」
「きもちいね」
「きもち、ぁ、あ、……ゃさん、」

抱き着いてキスすると、抱き締め返してくれる。キスしたまま起き上がって奥をぐりぐりされて悲鳴みたいな声が出た。わけがわからなくて、ただただ気持ち良くて、されるがまま身を任せる。
でも全然不安はなかった。

「あ、っあ、あー、」
「ここ噛んでいい?」

指で項を撫でられて身体がのけぞる。びりびりとずっとイった状態が続いて、がくがくと身体が跳ねた。

「かんで、かんでほしっ」

僕が答えると、繋がったままぐるとうつ伏せにされる。腰を引き寄せられて、何度も奥まで突き入れられる。気持ちよさから逃げたいのに逃げられない。
後ろからぎゅうって抱き締められて、柊弥さんの発情した香りでいっぱいになる。奥の奥が押し開かれて、これ以上ないぐらい深く繋がって、どくっと柊弥さんの熱が中で広がった。

「那央、番になろう」

項に熱い吐息がかかって、犬歯が肌に突き立てられた。



 ◇◆◇



すぅと穏やかな寝息を立てる那央の艶やかな黒髪をそっと梳いた。
風呂に入れて項の傷の手当てをした今、那央に情事の影は残っていない。幼い寝顔に罪悪感さえ覚えるほどだ。
薬が効きすぎたのか、それともそれだけ抑え込んでいたものがあったのか……

「はぁ、かわいすぎた……」

ぼそっとこぼしてしまった俺は口元に手を当てた。
おとなしそうな那央が乱れる姿に何度理性が引きちぎられそうになったか。
本当にこんなかわいい子を番にもらってよかったのかと思ってしまう。当然後悔などではなくて、俺が見合うのかという点で。

「はぁ、かわいすぎた……」

甘えてくる姿を思い出すだけで下半身が疼く。
アルファの本能をくすぐるのはオメガだからか番だからか。
もう那央も俺もお互いのフェロモンしか感じない。そう思うだけで安心できる。

「そうだ」

那央くんが起きたらすぐに食べられるようにご飯でも作っておこうか。ああ、引っ越し前には那央くんの部屋を用意してもう少しかわいい家具を入れておいたほうがいいかもしれない。那央くんはベッドをぬいぐるみで埋め尽くすのが好きだから今度の土産はぬいぐるみがいいな。それから那央くんの趣味に合わせて食器も日用品も揃えたい。でもその前に両親に番になったことを報告して、那央のこと診てもらわないと。しっかり治して全部元気になってからのことだ。

「那央……」

那央の頬をそっと撫でながら、俺ははたと我に返った。

「…………俺、キモ……」

那央のことしか考えていない。ストーカーレベルで。
浮かれすぎているのはわかる。これほどまで心が満たされたことなんて今までなかった。
これが番というものなら……

「ヤバイな……」

顔がにやけて仕方がない。

「ありがとう、那央くん。思い出させてくれて」

想い合うという純粋でまっすぐな気持ち。
愛する人を真正面から愛せるという喜び。

「今まで苦しんだ分、これからたくさん楽しめるよ」

那央の手に指をからませると、那央がふにゃっと微笑んだ。



俺は悶えて数十分その場から動けなかった。
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