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本編
一緒に歳を取っていきましょうね
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最終話です。長いです。
_________
圭ちゃんと会った翌日、柊弥さんは昼過ぎの新幹線で帰ってしまった。会うのはまた翌週末。結婚式は家族だけで挙げるつもりで話を進めていて、式場に希望もないからと母さんの伝手で半月後に予約を入れた。その打ち合わせのために来てくれることになっている。
五日間べったりだったせいか離れるのが本当に寂しくて、見送りのとき一緒に新幹線に乗ってしまおうかと思ったくらい。
結婚式の翌日には柊弥さんのところに引っ越しするからすぐではあるけど、あまりにもそわそわしていたせいで、父さんと母さんにはずっとにやにやされていた。
久しぶりに大学に顔を出して席に着くと、友達から顔見知りの人までわっと集まってきて周りを囲まれた。こんな状況になったことがなかったからアワアワしていると、高校からの友達がわざとらしく咳払いする。
「んんっ、まず、那央くん、身体の方は大丈夫かね」
急に親戚のおじさんのようになった友達に笑いながら、変わった症状が出て今まで休んでいたことを説明した。
「じゃあ、結婚したってその関係?」
「そう、お見合いしてからすぐにね」
答えると、マジかああぁ、という声が複数箇所から上がった。
大学在学中なら恋愛婚の方が多いからお見合いは最終手段のようなイメージがあるけれど、オメガにとってそれほど珍しいことじゃない。
それに、スピード婚よりも早い交際0日婚に、みんなは驚いたみたいだ。
休んでいた間、きっといろんな噂が飛び交っていたんだと思う。バース性持ちはなにかと目立ってしまうから。
説明が満足するものだったのか、みんな散っていって残ったのは友達だけになった。
すると、なぁ、と耳に顔を寄せてくる。
「チョーカーが変わってるってそういうこと……?」
「え……うん……」
このチョーカーは、
『これ贈っておくね?』
と柊弥さんがうきうきしながらつけてくれたものだ。
項を隠すものだけど、それが意味するのは傷痕を他人に見せたくないっていう独占欲。
フェロモンがわからないベータでもやっぱり気付く人は気付いてしまうんだ。
番になるってことは行為をしたと言っているのも同然で、途端に恥ずかしくなって俯いた。顔が熱くなって耳まで赤くなっているような気がする。
「うゎ、かわい……。いや、ごめん、なんか見合いってこう、距離があるかんじかなって思ってたけど、全然そんなんじゃないんだな」
「ぅ、ううん、本当にたまたまね、すごく相性が良い人に会えただけ。毎回そうってわけじゃないと思うよ」
「あ、まさかあれ……運命ってやつ?」
「ううん、違うよ。でも……運命だったんだと思う」
「……はぁ……ごちそうさん。こっちまで幸せになってくるな」
友達は顔を赤くして、ぱたぱたと手のひらで扇ぎはじめた。
「なんかごめん……」
「謝るなって。那央ってずっと澄ましてて何思ってるのか分からないところがあったから、感情駄々洩れの顔をはじめて見たっていうか。そういう表情、旦那さんが引き出したっていうなら、そういうことなんだろうなー」
あああ!恋してえええー!と叫ぶ友達がかわいくて笑ってしまう。
でもそんなに漏れてしまってるなら、ちょっと落ち着かないと痛い人になってしまう。
僕もぱたぱたと顔を扇いだ。
「那央ー!」
「おっ番犬が来た。じゃあ俺は行くな!」
「うん、またね。ありがと」
じゃ、と手を振って去っていく友達と入れ替わりで、「土曜ぶりだな」と圭ちゃんが前の席に横を向いて座った。
結婚したと報告してからすこしぎこちなく感じるけど、幼馴染が会わないうちに誰かの番になってたなんて聞かせられたら、僕も同じようになると思う。
「講義出られるようになってよかったな」
「うん、あと少しなのが寂しいけどね」
「そうだよな……でも柊弥さんのところに行けるんだろ」
「へへ、そうなんだけどね。嬉しいし寂しいし、気持ちが忙しいよ」
本当に二週間でこんなに人生が変わるなんて思ってもみなかった。
運命の分かれ道、っていうのが言い得て妙というか。
「アイツに結婚のこと、なにか言われた?」
「さっき? うん、言われたというか聞かれたよ。びっくりするよね、久しぶりに来たら結婚してたなんて」
「だよなぁ。那央、幸せオーラが溢れですぎてるしな」
「……それも言われた」
「やっぱりなー。でもさ、幼馴染のそういうの見ると嬉しいけど恥ずかしいっていうか、なんか照れるよなぁ」
ちらりと僕の顔を見ると、圭ちゃんが頬を掻いた。
「あのねぇ、圭ちゃんからデートの報告されて僕も同じこと思ってたんだからね。お返しだと思って!」
「うっ」
「僕もこれから送ってやるんだから」
「ま、待てって、柊弥さんだって俺に知られたら恥ずかしいだろ」
「そんなことないよ。柊弥さんならきっと好きなだけ送っていいよって言ってくれるから」
「那央~! 悪かったって~!」
「圭ちゃんが分かってくれたらいいの、分かってくれたらね!」
僕はつんとわざとらしく顔を逸らした。
メールを受け取っていたときはあんなにつらかったのに、あのとき柊弥さんが見なくていいって言ってくれたから、今はこんなに気楽に話題にできる。
会いたい。
昨日離れたばっかりなのに、今すぐにでも抱きつきたいって思ってしまう。
教授が来て講義が始まったけど、どこか上の空になって、なかなか集中できなかった。
「せんぱーい!」
講義が終わると教室の入り口から明るい声が聞こえて振り向く。そこには久しぶりに見る壱翔くんの姿があった。目が合うと、目を真ん丸にしたまま突撃してくる。
「那央先輩が来てるー!!!」
「壱翔、声がデカい!」
「あ、ごめんなさい」
すみません、と方々に頭を下げてから「お久しぶりです!」と僕に声をかけてきた。変わらずはきはきとしていて、どこか憎めない。
「体調大丈夫なんですか⁉」
「うん、もう大丈夫だよ」
「良かったー!ずっと心配してて!圭吾先輩なんて、毎日返事が来ないかスマホ握りしめて、僕放置されてたぐらいなんですよ!」
「え、そうなの?」
ちらっと圭ちゃんを見ると、気まずそうに目を逸らした。
「仕方ないだろ、那央がいないと元気が出なかったんだし」
「顔が濡れた愛と勇気だけが友達のヒーローみたいな?」
「そう!那央は顔変えてくれるオジサン、じゃなくてオニイサンな」
「もう僕今月末でここに来なくなるんだから、圭ちゃんは早めに幼馴染離れするようにしてね!」
「わ、わかってる……」
煮え切らないのは、二十年の付き合いがそうさせてるんだと思う。
僕には柊弥さんがいるから、なんとなく足が地面にしっかりとついているというか、根付いているというか、気持ちが揺らがない。圭ちゃんもいつかこの安心できる感覚を味わってほしいと思う。
「え、ま、待ってください。那央先輩今月末までって……」
「うん実は僕結婚して、婚家の近くの大学に編入することになったんだ」
「け、結婚⁉」
「急なことだったから自分でも驚いてるんだけどね」
「見合いですか⁉ 強引にとか!」
「ううん違うよ。こっちからお願いしてきてもらったんだ。すごくいい縁を結べたよ」
「壱翔、よく見ろ。那央の緩みっぱなしの幸せそうな顔」
「それは……そう見えますけど」
壱翔くんはなんとなくお見合いにいいイメージがないみたいだ。
圭ちゃんがすぐにフォローしてくれて、会ったけど大人でいい人だったとか、すげぇイケメンだったとか、会ったときにそんなこと感じてたんだと思うくらい、いろいろと話してくれた。
「那央、柊弥さんを絶対怒らせない方がいいぞ。優しい人は怒ると怖いっていうだろ。その雰囲気をビシビシ感じた」
「うん、僕も感じてるから大丈夫」
アルファ同士で何か感じるものがあったのか、ちょっと怯えてるみたいだ。面接みたいな質疑応答をされたからかもしれない。
でも圭ちゃんが僕の心配ばっかりしてたら、壱翔くんが不安になってしまうのもわかる。
「そろそろバトンタッチしておいた方がいいかな」
「ん?」
「そうだ、壱翔くん、手を出してくれる?」
僕が手のひらを見せるように手を上げると、壱翔くんはきょとんとしたまま僕の真似をする。
僕はぱちんと壱翔くんと強引にハイタッチした。
「壱翔くん、圭ちゃんのことよろしくね」
二人とも呆気にとられていたけど、僕は荷物を鞄に突っ込んで「またね」と二人を置いて講義室を後にした。
だって、恋人な二人を見てると……柊弥さんと話したくて堪らなくなってしまったから。
講義棟を出てスマホを取り出す。柊弥さんもお昼休憩を取っていることを願って電話を掛けた。
『那央くん? どうしたの?』
柊弥さんはわずか三コールで出た。それが嬉しくて、ふふって笑ってしまう。
『那央くん?』
「柊弥さんあのね、声聴きたくなっちゃったんだ」
『っ、もう、そんなかわいいこと言って。次の土曜、覚えておくように』
「うん、しっかり覚えておくね。柊弥さん、今時間大丈夫だったらもう少しだけ――」
会いたいのはお互いさまだったみたいで、お昼休みは通話でつぶれて、夜は寝落ちするまでビデオ通話を繋ぐ。
通信会社の企業努力に一生分感謝した一週間になった。
◇◆◇
「おめでとう、那央、柊弥くん」
「二人ともおめでとう。お見合いとは思えないくらいお似合いだね」
今日僕は柊弥さんと結婚式を挙げた。急なこともあって家族だけの式だったから、披露宴は時機を見て引っ越し先ですることなっている。
今は、一泊してから帰宅予定の柊弥さんのご両親、僕の義母さんと義父さんを家に招いてのすき焼きパーティの真っ最中だ。
「本当にあっという間に決まって、柊弥が結婚せずにうじうじしていたのはなんだったのって言っててね。本当に那央くんに足を向けて寝られないなぁって」
「こっちこそ、一番に手を上げてもらったのが柊弥くんでよかったわぁ。那央が毎日楽しそうにしてるなんて久しぶりで」
母二人はすでに瓶ビールを十本空けていて、父二人は「いけるクチですか」と盛り上がり将棋を指しはじめた。
意気投合して何よりだけど、触れられたくない内容が聞こえて、柊弥さんと顔を見合わせる。同時に頷いて、二人でそそくさとダイニングから退散した。
「那央、外行くなら缶ビールでいいから買ってきてくれる~?」
「はぁーい」
これじゃ誰が主役かわからない。柊弥さんと肩をすくめるけど、明日から当分見られなくなる景色を見に行くかと外へ出た。
陽は完全に落ちていて、火照った頬をひんやりとした風が撫でていく。
「気持ちいい……」
街灯に照らされる木々の葉は赤く色づき、外はすっかり秋の気配に満ちている。どちらともなく手を繋ぐと、コンビニまでの道を散歩がてらゆっくりと歩きはじめた。
すると後ろからばたばたと足音がして、「那央ー!柊弥さんー!」と呼ばれる。驚いて振り向くと、そこには部屋着姿の圭ちゃんがいた。
「圭ちゃん」
「圭吾くん」
「今日結婚式だったって」
「うん。見て見て」
じゃーん、と結婚会見をする俳優のように手の甲を向けると、柊弥さんも面白がってぴったりと僕の手の横に手を添わせた。
圭ちゃんは一瞬ハッとしたけど、スマホを取り出して、「カメラこっちです!目線お願いしますー!」ってノリノリでフラッシュを焚いてくれた。
それがおかしくて、三人でお腹を抱えて笑っていると、「そうじゃないんだって!」と我に返った圭ちゃんが地団太を踏んだ。
「まず言いたいのが、結婚おめでとう!」
「ふふ、ありがとう、圭ちゃん」
「それから、柊弥さんに……お伝えしたいことが」
二人できょとんとして顔を見合わせると、柊弥さんが頷いて圭ちゃんに続きを促した。すると圭ちゃんは勢いよく、直角になるくらいびしっと頭を下げた。
「柊弥さん、那央のこと、どうかよろしくお願いします!」
「圭吾くん……」
「幸せにしてやってください!絶対に幸せにしてやってください!」
柊弥さんは目を丸くしていたけど、すぐに優しく微笑んだ。
「もちろんだよ。任せて」
「ありがとうございますっっ!じゃあ失礼しましたあっ!」
圭ちゃんは礼の姿勢のまま踵を返すと、一度も顔を見せずに駆けていく。その横顔に光るものが見えて、胸が痞えるように苦しくなった。
「っ……圭ちゃん、ばかっ」
ふえぇと年齢が二桁になってから出していないような嗚咽がもれる。
柊弥さんがぎゅうって抱き締めてくれる。込み上げてくる幸せを分けられたらいのにって、柊弥さんを抱き締め返した。
「那央くん、よかったね」
「……ふぅ、う、ん」
何度も頭を撫でて、おでこにキスしてくれる。
でもね、なによりもよかったことは、柊弥さんが今僕の隣にいてくれることなんだよ。
触れる唇が優しくて、どんどんと愛しさが募っていく。
「……ふふ、ちょっと嫉妬しちゃうな……年月には勝てないね……」
僕に嫉妬してくれるの?
しかも年月になんて、なんだかかわいくて、僕は柊弥さんと小声で呼んだ。
ん?と少し体を離して顔を覗き込んできたから、僕はつま先立ちして、ちゅっと少しひんやりとした唇にキスをした。
「好きです、柊弥さん。一緒に歳を取っていきましょうね」
まっすぐに見上げて告白すると、柊弥さんが目を見開いたあと「もう」って言って、僕を腕の中に閉じ込めた。
でも一瞬、柊弥さんの目が涙で潤んだのが見えて、僕の胸には春の陽射しのような温かさが広がった。
END
那央と暮らしはじめて、半年が過ぎた。
那央は、ようやく大学にも慣れてきた、というところで就活がはじまって毎日忙しくしている。
仕事しなくても困らないし、実のところ外に出したくないけれど、那央のダメ人間にはなりたくないという強い意志を尊重して、俺は見守りに徹していた。
「ん?」
スマホの通知画面。久しぶりに見る名前からメッセージが届いていた。
圭吾。那央の幼馴染で、元運命。
今は、那央に連絡できないようなことを俺に伝えてくるという何とも不思議な関係に落ち着いている。はじめは、本家の手伝いをするにあたって法律のことを学びたいと連絡が来たのがきっかけで、それからはアルファ同士の交流のようなことを続けていた。
運命を失ったことで一時不安症のようなものを患っていたが、ふた月ほど前から症状は治まり、意識が外に向きはじめたらしい。以前と比べて随分と視野が広くなった印象を受けていた。
画面を開くと、一度外を経験しておいた方がいいかと就活はじめました、というような近況報告が届いていた。
けれど最後の一文に目が留まった。
『婚約しました』
相手は誰か、いつ結婚か、と尋ねると、待っていましたとばかりに長文が返ってくる。なんというか、那央が突っぱねられなかった気持ちがわかって、今更ながらに笑ってしまった。
婚約相手は、那央と圭吾の運命の糸を切るきっかけになった壱翔というオメガだった。那央を傷つけたが、俺が那央に会えたのは彼のおかげで、抱く感情はなんとも複雑なものだ。
けれど、腹をくくる意思が感じられて、「よかったね」と呟きがこぼれる。
『卒業したらすぐに結婚する予定にしてます。その時までに壱翔に運命が現われたら潔く別れるつもりです。俺と運命の人との間で苦しんでほしくないから』
何の因果だろうと思う。
そうなったら君は俺と同じ痛みを知ることになる。
ただ、運命が誰かと番ったとしても、普通は気付かないものなんだよ。君と那央の間には運命よりももっと深い絆があったんだ。だから運命を失ったとしても君以上苦しむ人はいないと思う。
「その彼がどんな判断をするかわからないけど、相手が運命じゃなくても幸せになれる。それだけは忘れないように」
那央は君の幸せを願っていたんだ。
俺は那央が悲しむところを見たくない。だから君にも幸せになってもらわないと困るんだよ。
「お見合いセッティングするから、いつでも言っておいで」
『フられる前提で話をしないでください!』
その返信にまた笑っていると、那央が帰ってきた。
いくつか続けてメッセージが届いていたけど、ごめんね。俺の優先順位第一位は那央だから。
「あれ、柊弥さん帰ってる?しゅーやさぁん!」
弾むような声が聞こえて、笑みがこぼれる。
俺はスマホを伏せると、那央を迎えに一歩踏み出した。
______________________
これで完結となります!
最後までお読みいただきありがとうございました。
ランキングの上位に載ってヒャッハーとなってしまったことから、追加でいろいろと書かせていただきました。
ここまでお付き合いいただいた皆さまには重ねてお礼申し上げます。
圭吾と壱翔の関係がはっきりしないことにもやもやされるかもしれません。
那央と柊弥の話には不要かなと思い、二人の関係に焦点を置いて完結にいたしました。ご容赦くださいませ。
完結に近づくにつれて、少しでも二人のラブラブが皆さまの心の癒しになればいいなという思いで書いておりました。皆さまのお心にちょっとでも届いておりましたら幸いです。
次作があるかわかりませんが、またお会いできる日が来ることを願って。
2025.12.3 野埜乃のの
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圭ちゃんと会った翌日、柊弥さんは昼過ぎの新幹線で帰ってしまった。会うのはまた翌週末。結婚式は家族だけで挙げるつもりで話を進めていて、式場に希望もないからと母さんの伝手で半月後に予約を入れた。その打ち合わせのために来てくれることになっている。
五日間べったりだったせいか離れるのが本当に寂しくて、見送りのとき一緒に新幹線に乗ってしまおうかと思ったくらい。
結婚式の翌日には柊弥さんのところに引っ越しするからすぐではあるけど、あまりにもそわそわしていたせいで、父さんと母さんにはずっとにやにやされていた。
久しぶりに大学に顔を出して席に着くと、友達から顔見知りの人までわっと集まってきて周りを囲まれた。こんな状況になったことがなかったからアワアワしていると、高校からの友達がわざとらしく咳払いする。
「んんっ、まず、那央くん、身体の方は大丈夫かね」
急に親戚のおじさんのようになった友達に笑いながら、変わった症状が出て今まで休んでいたことを説明した。
「じゃあ、結婚したってその関係?」
「そう、お見合いしてからすぐにね」
答えると、マジかああぁ、という声が複数箇所から上がった。
大学在学中なら恋愛婚の方が多いからお見合いは最終手段のようなイメージがあるけれど、オメガにとってそれほど珍しいことじゃない。
それに、スピード婚よりも早い交際0日婚に、みんなは驚いたみたいだ。
休んでいた間、きっといろんな噂が飛び交っていたんだと思う。バース性持ちはなにかと目立ってしまうから。
説明が満足するものだったのか、みんな散っていって残ったのは友達だけになった。
すると、なぁ、と耳に顔を寄せてくる。
「チョーカーが変わってるってそういうこと……?」
「え……うん……」
このチョーカーは、
『これ贈っておくね?』
と柊弥さんがうきうきしながらつけてくれたものだ。
項を隠すものだけど、それが意味するのは傷痕を他人に見せたくないっていう独占欲。
フェロモンがわからないベータでもやっぱり気付く人は気付いてしまうんだ。
番になるってことは行為をしたと言っているのも同然で、途端に恥ずかしくなって俯いた。顔が熱くなって耳まで赤くなっているような気がする。
「うゎ、かわい……。いや、ごめん、なんか見合いってこう、距離があるかんじかなって思ってたけど、全然そんなんじゃないんだな」
「ぅ、ううん、本当にたまたまね、すごく相性が良い人に会えただけ。毎回そうってわけじゃないと思うよ」
「あ、まさかあれ……運命ってやつ?」
「ううん、違うよ。でも……運命だったんだと思う」
「……はぁ……ごちそうさん。こっちまで幸せになってくるな」
友達は顔を赤くして、ぱたぱたと手のひらで扇ぎはじめた。
「なんかごめん……」
「謝るなって。那央ってずっと澄ましてて何思ってるのか分からないところがあったから、感情駄々洩れの顔をはじめて見たっていうか。そういう表情、旦那さんが引き出したっていうなら、そういうことなんだろうなー」
あああ!恋してえええー!と叫ぶ友達がかわいくて笑ってしまう。
でもそんなに漏れてしまってるなら、ちょっと落ち着かないと痛い人になってしまう。
僕もぱたぱたと顔を扇いだ。
「那央ー!」
「おっ番犬が来た。じゃあ俺は行くな!」
「うん、またね。ありがと」
じゃ、と手を振って去っていく友達と入れ替わりで、「土曜ぶりだな」と圭ちゃんが前の席に横を向いて座った。
結婚したと報告してからすこしぎこちなく感じるけど、幼馴染が会わないうちに誰かの番になってたなんて聞かせられたら、僕も同じようになると思う。
「講義出られるようになってよかったな」
「うん、あと少しなのが寂しいけどね」
「そうだよな……でも柊弥さんのところに行けるんだろ」
「へへ、そうなんだけどね。嬉しいし寂しいし、気持ちが忙しいよ」
本当に二週間でこんなに人生が変わるなんて思ってもみなかった。
運命の分かれ道、っていうのが言い得て妙というか。
「アイツに結婚のこと、なにか言われた?」
「さっき? うん、言われたというか聞かれたよ。びっくりするよね、久しぶりに来たら結婚してたなんて」
「だよなぁ。那央、幸せオーラが溢れですぎてるしな」
「……それも言われた」
「やっぱりなー。でもさ、幼馴染のそういうの見ると嬉しいけど恥ずかしいっていうか、なんか照れるよなぁ」
ちらりと僕の顔を見ると、圭ちゃんが頬を掻いた。
「あのねぇ、圭ちゃんからデートの報告されて僕も同じこと思ってたんだからね。お返しだと思って!」
「うっ」
「僕もこれから送ってやるんだから」
「ま、待てって、柊弥さんだって俺に知られたら恥ずかしいだろ」
「そんなことないよ。柊弥さんならきっと好きなだけ送っていいよって言ってくれるから」
「那央~! 悪かったって~!」
「圭ちゃんが分かってくれたらいいの、分かってくれたらね!」
僕はつんとわざとらしく顔を逸らした。
メールを受け取っていたときはあんなにつらかったのに、あのとき柊弥さんが見なくていいって言ってくれたから、今はこんなに気楽に話題にできる。
会いたい。
昨日離れたばっかりなのに、今すぐにでも抱きつきたいって思ってしまう。
教授が来て講義が始まったけど、どこか上の空になって、なかなか集中できなかった。
「せんぱーい!」
講義が終わると教室の入り口から明るい声が聞こえて振り向く。そこには久しぶりに見る壱翔くんの姿があった。目が合うと、目を真ん丸にしたまま突撃してくる。
「那央先輩が来てるー!!!」
「壱翔、声がデカい!」
「あ、ごめんなさい」
すみません、と方々に頭を下げてから「お久しぶりです!」と僕に声をかけてきた。変わらずはきはきとしていて、どこか憎めない。
「体調大丈夫なんですか⁉」
「うん、もう大丈夫だよ」
「良かったー!ずっと心配してて!圭吾先輩なんて、毎日返事が来ないかスマホ握りしめて、僕放置されてたぐらいなんですよ!」
「え、そうなの?」
ちらっと圭ちゃんを見ると、気まずそうに目を逸らした。
「仕方ないだろ、那央がいないと元気が出なかったんだし」
「顔が濡れた愛と勇気だけが友達のヒーローみたいな?」
「そう!那央は顔変えてくれるオジサン、じゃなくてオニイサンな」
「もう僕今月末でここに来なくなるんだから、圭ちゃんは早めに幼馴染離れするようにしてね!」
「わ、わかってる……」
煮え切らないのは、二十年の付き合いがそうさせてるんだと思う。
僕には柊弥さんがいるから、なんとなく足が地面にしっかりとついているというか、根付いているというか、気持ちが揺らがない。圭ちゃんもいつかこの安心できる感覚を味わってほしいと思う。
「え、ま、待ってください。那央先輩今月末までって……」
「うん実は僕結婚して、婚家の近くの大学に編入することになったんだ」
「け、結婚⁉」
「急なことだったから自分でも驚いてるんだけどね」
「見合いですか⁉ 強引にとか!」
「ううん違うよ。こっちからお願いしてきてもらったんだ。すごくいい縁を結べたよ」
「壱翔、よく見ろ。那央の緩みっぱなしの幸せそうな顔」
「それは……そう見えますけど」
壱翔くんはなんとなくお見合いにいいイメージがないみたいだ。
圭ちゃんがすぐにフォローしてくれて、会ったけど大人でいい人だったとか、すげぇイケメンだったとか、会ったときにそんなこと感じてたんだと思うくらい、いろいろと話してくれた。
「那央、柊弥さんを絶対怒らせない方がいいぞ。優しい人は怒ると怖いっていうだろ。その雰囲気をビシビシ感じた」
「うん、僕も感じてるから大丈夫」
アルファ同士で何か感じるものがあったのか、ちょっと怯えてるみたいだ。面接みたいな質疑応答をされたからかもしれない。
でも圭ちゃんが僕の心配ばっかりしてたら、壱翔くんが不安になってしまうのもわかる。
「そろそろバトンタッチしておいた方がいいかな」
「ん?」
「そうだ、壱翔くん、手を出してくれる?」
僕が手のひらを見せるように手を上げると、壱翔くんはきょとんとしたまま僕の真似をする。
僕はぱちんと壱翔くんと強引にハイタッチした。
「壱翔くん、圭ちゃんのことよろしくね」
二人とも呆気にとられていたけど、僕は荷物を鞄に突っ込んで「またね」と二人を置いて講義室を後にした。
だって、恋人な二人を見てると……柊弥さんと話したくて堪らなくなってしまったから。
講義棟を出てスマホを取り出す。柊弥さんもお昼休憩を取っていることを願って電話を掛けた。
『那央くん? どうしたの?』
柊弥さんはわずか三コールで出た。それが嬉しくて、ふふって笑ってしまう。
『那央くん?』
「柊弥さんあのね、声聴きたくなっちゃったんだ」
『っ、もう、そんなかわいいこと言って。次の土曜、覚えておくように』
「うん、しっかり覚えておくね。柊弥さん、今時間大丈夫だったらもう少しだけ――」
会いたいのはお互いさまだったみたいで、お昼休みは通話でつぶれて、夜は寝落ちするまでビデオ通話を繋ぐ。
通信会社の企業努力に一生分感謝した一週間になった。
◇◆◇
「おめでとう、那央、柊弥くん」
「二人ともおめでとう。お見合いとは思えないくらいお似合いだね」
今日僕は柊弥さんと結婚式を挙げた。急なこともあって家族だけの式だったから、披露宴は時機を見て引っ越し先ですることなっている。
今は、一泊してから帰宅予定の柊弥さんのご両親、僕の義母さんと義父さんを家に招いてのすき焼きパーティの真っ最中だ。
「本当にあっという間に決まって、柊弥が結婚せずにうじうじしていたのはなんだったのって言っててね。本当に那央くんに足を向けて寝られないなぁって」
「こっちこそ、一番に手を上げてもらったのが柊弥くんでよかったわぁ。那央が毎日楽しそうにしてるなんて久しぶりで」
母二人はすでに瓶ビールを十本空けていて、父二人は「いけるクチですか」と盛り上がり将棋を指しはじめた。
意気投合して何よりだけど、触れられたくない内容が聞こえて、柊弥さんと顔を見合わせる。同時に頷いて、二人でそそくさとダイニングから退散した。
「那央、外行くなら缶ビールでいいから買ってきてくれる~?」
「はぁーい」
これじゃ誰が主役かわからない。柊弥さんと肩をすくめるけど、明日から当分見られなくなる景色を見に行くかと外へ出た。
陽は完全に落ちていて、火照った頬をひんやりとした風が撫でていく。
「気持ちいい……」
街灯に照らされる木々の葉は赤く色づき、外はすっかり秋の気配に満ちている。どちらともなく手を繋ぐと、コンビニまでの道を散歩がてらゆっくりと歩きはじめた。
すると後ろからばたばたと足音がして、「那央ー!柊弥さんー!」と呼ばれる。驚いて振り向くと、そこには部屋着姿の圭ちゃんがいた。
「圭ちゃん」
「圭吾くん」
「今日結婚式だったって」
「うん。見て見て」
じゃーん、と結婚会見をする俳優のように手の甲を向けると、柊弥さんも面白がってぴったりと僕の手の横に手を添わせた。
圭ちゃんは一瞬ハッとしたけど、スマホを取り出して、「カメラこっちです!目線お願いしますー!」ってノリノリでフラッシュを焚いてくれた。
それがおかしくて、三人でお腹を抱えて笑っていると、「そうじゃないんだって!」と我に返った圭ちゃんが地団太を踏んだ。
「まず言いたいのが、結婚おめでとう!」
「ふふ、ありがとう、圭ちゃん」
「それから、柊弥さんに……お伝えしたいことが」
二人できょとんとして顔を見合わせると、柊弥さんが頷いて圭ちゃんに続きを促した。すると圭ちゃんは勢いよく、直角になるくらいびしっと頭を下げた。
「柊弥さん、那央のこと、どうかよろしくお願いします!」
「圭吾くん……」
「幸せにしてやってください!絶対に幸せにしてやってください!」
柊弥さんは目を丸くしていたけど、すぐに優しく微笑んだ。
「もちろんだよ。任せて」
「ありがとうございますっっ!じゃあ失礼しましたあっ!」
圭ちゃんは礼の姿勢のまま踵を返すと、一度も顔を見せずに駆けていく。その横顔に光るものが見えて、胸が痞えるように苦しくなった。
「っ……圭ちゃん、ばかっ」
ふえぇと年齢が二桁になってから出していないような嗚咽がもれる。
柊弥さんがぎゅうって抱き締めてくれる。込み上げてくる幸せを分けられたらいのにって、柊弥さんを抱き締め返した。
「那央くん、よかったね」
「……ふぅ、う、ん」
何度も頭を撫でて、おでこにキスしてくれる。
でもね、なによりもよかったことは、柊弥さんが今僕の隣にいてくれることなんだよ。
触れる唇が優しくて、どんどんと愛しさが募っていく。
「……ふふ、ちょっと嫉妬しちゃうな……年月には勝てないね……」
僕に嫉妬してくれるの?
しかも年月になんて、なんだかかわいくて、僕は柊弥さんと小声で呼んだ。
ん?と少し体を離して顔を覗き込んできたから、僕はつま先立ちして、ちゅっと少しひんやりとした唇にキスをした。
「好きです、柊弥さん。一緒に歳を取っていきましょうね」
まっすぐに見上げて告白すると、柊弥さんが目を見開いたあと「もう」って言って、僕を腕の中に閉じ込めた。
でも一瞬、柊弥さんの目が涙で潤んだのが見えて、僕の胸には春の陽射しのような温かさが広がった。
END
那央と暮らしはじめて、半年が過ぎた。
那央は、ようやく大学にも慣れてきた、というところで就活がはじまって毎日忙しくしている。
仕事しなくても困らないし、実のところ外に出したくないけれど、那央のダメ人間にはなりたくないという強い意志を尊重して、俺は見守りに徹していた。
「ん?」
スマホの通知画面。久しぶりに見る名前からメッセージが届いていた。
圭吾。那央の幼馴染で、元運命。
今は、那央に連絡できないようなことを俺に伝えてくるという何とも不思議な関係に落ち着いている。はじめは、本家の手伝いをするにあたって法律のことを学びたいと連絡が来たのがきっかけで、それからはアルファ同士の交流のようなことを続けていた。
運命を失ったことで一時不安症のようなものを患っていたが、ふた月ほど前から症状は治まり、意識が外に向きはじめたらしい。以前と比べて随分と視野が広くなった印象を受けていた。
画面を開くと、一度外を経験しておいた方がいいかと就活はじめました、というような近況報告が届いていた。
けれど最後の一文に目が留まった。
『婚約しました』
相手は誰か、いつ結婚か、と尋ねると、待っていましたとばかりに長文が返ってくる。なんというか、那央が突っぱねられなかった気持ちがわかって、今更ながらに笑ってしまった。
婚約相手は、那央と圭吾の運命の糸を切るきっかけになった壱翔というオメガだった。那央を傷つけたが、俺が那央に会えたのは彼のおかげで、抱く感情はなんとも複雑なものだ。
けれど、腹をくくる意思が感じられて、「よかったね」と呟きがこぼれる。
『卒業したらすぐに結婚する予定にしてます。その時までに壱翔に運命が現われたら潔く別れるつもりです。俺と運命の人との間で苦しんでほしくないから』
何の因果だろうと思う。
そうなったら君は俺と同じ痛みを知ることになる。
ただ、運命が誰かと番ったとしても、普通は気付かないものなんだよ。君と那央の間には運命よりももっと深い絆があったんだ。だから運命を失ったとしても君以上苦しむ人はいないと思う。
「その彼がどんな判断をするかわからないけど、相手が運命じゃなくても幸せになれる。それだけは忘れないように」
那央は君の幸せを願っていたんだ。
俺は那央が悲しむところを見たくない。だから君にも幸せになってもらわないと困るんだよ。
「お見合いセッティングするから、いつでも言っておいで」
『フられる前提で話をしないでください!』
その返信にまた笑っていると、那央が帰ってきた。
いくつか続けてメッセージが届いていたけど、ごめんね。俺の優先順位第一位は那央だから。
「あれ、柊弥さん帰ってる?しゅーやさぁん!」
弾むような声が聞こえて、笑みがこぼれる。
俺はスマホを伏せると、那央を迎えに一歩踏み出した。
______________________
これで完結となります!
最後までお読みいただきありがとうございました。
ランキングの上位に載ってヒャッハーとなってしまったことから、追加でいろいろと書かせていただきました。
ここまでお付き合いいただいた皆さまには重ねてお礼申し上げます。
圭吾と壱翔の関係がはっきりしないことにもやもやされるかもしれません。
那央と柊弥の話には不要かなと思い、二人の関係に焦点を置いて完結にいたしました。ご容赦くださいませ。
完結に近づくにつれて、少しでも二人のラブラブが皆さまの心の癒しになればいいなという思いで書いておりました。皆さまのお心にちょっとでも届いておりましたら幸いです。
次作があるかわかりませんが、またお会いできる日が来ることを願って。
2025.12.3 野埜乃のの
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