古本屋眞子ちゃん、実は 『ごひやくまんリミットの女 ― quietly selling worldwide ―』

夢窓(ゆめまど)

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ヤフーオークション黎明期

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宝塚の小さなアパートに住む古本屋・眞子には、
誰も知らない“もうひとつの顔”がある。

毎朝、劇場前を通ってご贔屓・春野すみれ(※モデル)の
ポスターに「おはよう」と頭を下げ、
夜は倉庫で黙々と梱包作業。

― でも、世界は知っている。
この女が “quietly selling worldwide” の1人だということを。

ヤフオク黎明期(1999)、
偶然始めたオークションで見つけた高値落札の快感。
そこから20年以上、眞子はコツコツと売り続け、
気がつけば eBayのリミットが500万ドル を超えていた。

だが、周囲の人々は知らない。
静かな田舎暮らしをしながら、
夜には世界中からメールが飛び込む
“世界規模の仕事”をしていることを。

眞子は言う。

「特別な才能なんてない。
ただ、毎日コツコツやったら、こうなっただけ」

だけど、その裏には――
PayPal凍結事件、海外詐欺、口座乗っ取り、
そして宝塚に人生を救われた日々があった。

すべては、明日も静かに発送を続けるため。


【朝:劇場詣で】

宝塚に住む眞子は、仕事の前に必ず劇場に寄る。

花のみちの空気を吸い込み、
劇場の前を歩き、
その日の「捌きチケット」の気配を探る。

眞子
「今日は……すみれが呼んでる気がする……」

ユウタ(後ろで荷物を持ちながら)
「いや、呼んでませんよ。気のせいですって」

眞子
「愛の呼び声が分からんか……」

ユウタ
「分かるわけないです」

この“思い込み全開”で一日が始まる。


【午前:倉庫でレア本と格闘】

劇場で運命を感じたまま倉庫へ。

古本の山を前にすると、
眞子は急に別人のような集中モードになる。
• 60年代少女雑誌
• 少女まんが家の未収録作品
• 遊戯王のカード
• セーラームーンなかよし掲載号
• ハイブランドの冊子
• 誰も気づかない同人誌のレアもの

仕分けの途中、突然固まる。

眞子
「……これ……未収録の西谷祥子……?」

ユウタ
「え?見た目ただの古い雑誌ですけど……?」

眞子
「すみれの声が聞こえた。“これやで”って」

ユウタ
「もう病気やん……」

でも眞子は本当に当てる。
“愛の思い込み”が、なぜか“実力”に変換される女。



すみれの海外ミュージカルDVDを海外ファンに買われた時。

眞子(即返信)
「この商品、大切にしてあげてください。
 すみれは……特別な人なんです……!」

ユウタ
「急に返信早いな!?」

眞子
「愛に関わることやで、当然や」
でも、相手からの返信は、

「ミドリ最高です」と、
娘役、すみれの相手役を誉めていた。
まあ、大切にしてくれるならいいか。

【観劇のために仕事を早退】

捌きで神チケットが出ると、予感!
眞子は仕事を放り出す。

眞子
「今日、ちょっと早退するわ」

ユウタ
「はやっ!?まだ発送5件残ってますよ!?」

眞子
「すみれが出るんよ(真顔)」

ユウタ
「理由になってない!!!」

眞子
「理由や。人生で一番大事なやつや」



そんな、貧乏な古本屋眞子に、
転機が訪れた。

誰もわからない。
ヤフーオークション!

日本人は、オークションってのは、
値段が上がって、最高価格の人が買うって知ってるが、どこでそんなのあるか知らない時代、

だか、ネットで、一般人が、公開オークション?

眞子が、ヤフオクを知った時、最初から最後までカテゴリーとかもない、
15ページしかないサイト、

みんなが勝手に、売りたいものを
テキストの、ページに、書いていた、

面白そうな、リンクを開いたら、
商品ページに、

「○○売ります。
使用した事ないですが、
家にありました。」

で、あとは特に説明なし、

配送の事と、振り込み先
銀行名と、郵便局
対応します。

売れたら、コンビニで、箱もらって、
郵便局で、発送して、
評価して、終わると、

オークション、  
ふええええー、簡単すぎる。

日本人は真面目だから、トラブルがない。

みんな真面目に振り込んでくれる。

時々、酔っ払いが入札して、
朝に「こんなもん買ってません」って言ってくるけど。

だいたいが、ちゃんと振り込んでくれる。

なんて素晴らしいんだ。

商売って、別に大それたことじゃない。
真面目にやって、丁寧に送って、
落札者が無事に受け取ってくれたら、それで勝ち。

オークションって、意外と簡単なんだ。

当時、梱包材が今ほど、豊富に、なかった。
梱包屋が、なかった。かもしれない。

いや、正確に言うと、
「家にあったのをリサイクル梱包状態だった」。

で、手元にたまたまあったのが──
宝塚歌劇のカレンダー。しかも一枚余り。

丈夫やし、サイズもちょうどいいし、
「まあ、ええか」と思って包んで発送した。

数日後、落札者さんから連絡。

『開けたらエリザベートで、びっくりしました』

……そらそうや。

エリザベート(タカラヅカ版)が
落札本を開けたらドーンと包装紙として、出てきたんやから。

完全に私の判断ミス。
ファンとしてありえない行動でした。
ほんま、すみません。

でも、あのカレンダー、丈夫なんです。
(言い訳)

ポスターも、丈夫なんです。





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