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侍女にされました(断固拒否したはずなのに)
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「あなた、うちの侍女になりなさい」
……は?
いやいやいやいやいやいや!?!?
いや、断りますけど!?!?!?!?!?!?
「侍女って、わたし、学生なんですけど!? しかも男爵令嬢なんですけど!?!?」
「それが何か関係あるかしら?」
メリンダさまは、微笑んだ。
しかも――やけにいい笑顔で。
(やめてくださいその笑顔、なんか裏がある!!)
「お父様には、もうお願いしておいたのよ」
「……えっ、誰の!?」
「あなたの。『ジョアンナが進路に悩んでいるから、公爵家でお預かりしたい』って」
「どんな報告ぅぅぅぅぅぅぅぅぅうううう!?!?!?」
「ほら、男爵家が公爵家に逆らえるわけないでしょう? ね?」
「やめてぇぇえええ!! その貴族ヒエラルキー圧力ぅぅぅ!!」
しかも──
すでに制服まで用意されていた。
採寸済み、レース付き、“メリンダさま専用侍女服”。
なんか妙に高そうで、タグに「一点もの」って書いてある。
「そんな……昨日まで学園で、こっそりパン焼いてただけなのに……」
「大丈夫。厨房仕事は任せるわ♡」
「完全に飯炊き係ぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!」
なんで!?
学生なのに!?
勉強したくて学園にいるのに!!
ペットじゃないんですけどぉぉぉぉぉ!!(泣)
逃げたい。今すぐ逃げたい。
でも、逃げ出した先に置かれていたのは――
しっかり畳まれた“制服”だった。
(……逃走ルート、封鎖完了ってこと!?)
◆ ◆ ◆
そして、今。
わたしは学園の中庭に敷かれたふわふわのクッションの上に座っている。
……いや、なんで?
お茶会の準備をしながら、メリンダさまのお召し物の裾を軽く持ち上げる係。
これ……どう見ても、特等席のペットポジション。
「ジョアンナさま、羨ましい……!」
「メリンダさまの侍女だなんて、最高じゃないですか!」
「しかも、“お気に入り”で、特別クッション持ち……!」
──いや待って、それ、完全にペット扱いだからな!?!?!?!
「やめたいです……普通に、勉強させてください……」
でも、メリンダさまは紅茶をすすりながら、上品に微笑むだけ。
(その笑顔、どこから出てる余裕なんですか!? 怖い!!)
◆ ◆ ◆
その日の帰り際。
メリンダさまは静かに言った。
「やっぱり♡ 私、あの味が恋しかったの。
ね、尚美さん──やっぱりあなたは、私が好きよね?」
ジョアンナの背筋がピシッと固まる。
「は、はあぁぁぁ!?!?!? 誰ですか尚美さんって!?」
笑顔の裏で、メリンダさまの瞳がほんの少しだけ震えた。
(……尚美ちゃん。今度こそ、あんな男に騙されないで)
(働きもせず、あなたの稼ぎをギャンブルで溶かして、
お金を渡した時だけ優しくする――そんな人間、愛じゃない)
(あのとき、弁護士連れてきて“罪を軽くしてくれ”ってニヤケながら頭下げた顔、今でも忘れられない)
(許さない。けれど、あなたは……もう苦しまないでほしいの)
「お母様やめてぇぇぇえええええ!!!(泣)」
「大嫌いですうううううう!!!」
ジョアンナは全力で否定しながら、脱兎のごとく逃げていく。
その背中を見送りながら、メリンダさまはふっと遠い昔の涙を拭った。
「……いいのよ。嫌われても。
尚美ちゃんが、笑って生きてくれるなら――」
その微笑みは、紅茶の香りよりも少しだけ、苦かった。
……は?
いやいやいやいやいやいや!?!?
いや、断りますけど!?!?!?!?!?!?
「侍女って、わたし、学生なんですけど!? しかも男爵令嬢なんですけど!?!?」
「それが何か関係あるかしら?」
メリンダさまは、微笑んだ。
しかも――やけにいい笑顔で。
(やめてくださいその笑顔、なんか裏がある!!)
「お父様には、もうお願いしておいたのよ」
「……えっ、誰の!?」
「あなたの。『ジョアンナが進路に悩んでいるから、公爵家でお預かりしたい』って」
「どんな報告ぅぅぅぅぅぅぅぅぅうううう!?!?!?」
「ほら、男爵家が公爵家に逆らえるわけないでしょう? ね?」
「やめてぇぇえええ!! その貴族ヒエラルキー圧力ぅぅぅ!!」
しかも──
すでに制服まで用意されていた。
採寸済み、レース付き、“メリンダさま専用侍女服”。
なんか妙に高そうで、タグに「一点もの」って書いてある。
「そんな……昨日まで学園で、こっそりパン焼いてただけなのに……」
「大丈夫。厨房仕事は任せるわ♡」
「完全に飯炊き係ぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!」
なんで!?
学生なのに!?
勉強したくて学園にいるのに!!
ペットじゃないんですけどぉぉぉぉぉ!!(泣)
逃げたい。今すぐ逃げたい。
でも、逃げ出した先に置かれていたのは――
しっかり畳まれた“制服”だった。
(……逃走ルート、封鎖完了ってこと!?)
◆ ◆ ◆
そして、今。
わたしは学園の中庭に敷かれたふわふわのクッションの上に座っている。
……いや、なんで?
お茶会の準備をしながら、メリンダさまのお召し物の裾を軽く持ち上げる係。
これ……どう見ても、特等席のペットポジション。
「ジョアンナさま、羨ましい……!」
「メリンダさまの侍女だなんて、最高じゃないですか!」
「しかも、“お気に入り”で、特別クッション持ち……!」
──いや待って、それ、完全にペット扱いだからな!?!?!?!
「やめたいです……普通に、勉強させてください……」
でも、メリンダさまは紅茶をすすりながら、上品に微笑むだけ。
(その笑顔、どこから出てる余裕なんですか!? 怖い!!)
◆ ◆ ◆
その日の帰り際。
メリンダさまは静かに言った。
「やっぱり♡ 私、あの味が恋しかったの。
ね、尚美さん──やっぱりあなたは、私が好きよね?」
ジョアンナの背筋がピシッと固まる。
「は、はあぁぁぁ!?!?!? 誰ですか尚美さんって!?」
笑顔の裏で、メリンダさまの瞳がほんの少しだけ震えた。
(……尚美ちゃん。今度こそ、あんな男に騙されないで)
(働きもせず、あなたの稼ぎをギャンブルで溶かして、
お金を渡した時だけ優しくする――そんな人間、愛じゃない)
(あのとき、弁護士連れてきて“罪を軽くしてくれ”ってニヤケながら頭下げた顔、今でも忘れられない)
(許さない。けれど、あなたは……もう苦しまないでほしいの)
「お母様やめてぇぇぇえええええ!!!(泣)」
「大嫌いですうううううう!!!」
ジョアンナは全力で否定しながら、脱兎のごとく逃げていく。
その背中を見送りながら、メリンダさまはふっと遠い昔の涙を拭った。
「……いいのよ。嫌われても。
尚美ちゃんが、笑って生きてくれるなら――」
その微笑みは、紅茶の香りよりも少しだけ、苦かった。
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