かいせん(line)

たくひあい@あい生成

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Oetling fleezing

Oetling fleezing

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 界瀬が中に入っていく。
俺たちも後に続いた。
なんだか、懐かしいね、と橋引の方を向く。
彼女は「そうだね」と寂しそうに笑った。
「あのときは一緒に買い出しに行って、本当に事務所で作るんだもん……
びっくりした」
仲間が増えて、嬉しかった。確かそう記憶している。
 なんだか放って置けなくて、あの子の未来に触れてしまった。


「俺も、簡単な料理ならするんだよ。あとは細かいレシピがあればかな」
「ふうん。なんか、嬉しそう」
現在、未来、終焉。
 絵を描いても、日記をつけても、誰かの目に触れれば勝手に判断されてしまう。そのことにばかり気を取られて怖がっていたとき、作って、仕上げて、食べる、完結したそのルーチンが、誰かに触れてもそれを何か言われないで完成することが『なんて奇跡の行為だっただろう?』
 家で作るぶんには美味しいかまずいかの予測くらいしか、障壁が存在しなかった。だから、橋引と一緒にそれが実行できてうれしかった。
 未来がとかなんとか言われて勝手に発狂されてあれこれ言われるのは、人間性を勝手に否定されているのと同じだ。


どんな理由があろうと勝手にずかずかと踏み込んで良い領域だとは思わない。




 それが無い行為があるのが嬉しくて。

――俺も、能力者なんだよ。
口で説明してわかってもらえるかわからないけど。


あの子は、私も宇宙人なんだ、と、元気よく笑ってくれた。

「でも、界瀬のご飯、美味しいんだよね」
「だからっ! 夜になんでっ ゆうこさんに ぶりの照り焼きなんですか」
界瀬の声がキッチンから聞こえてくる。
 そーっと角を曲がってそちらを覗くと、テーブルにバットを出して、ぶりの切り身を並べていた。
「いいじゃない」
「玲奈も居るよー-! 界ちゃんの為に、意地でも居るよー!」
 にょきっとテーブルから生えるように、ショートヘアの高校生くらいの女の子が現れる。元気いっぱいだ。腕から先が欠損しているようで、丸みを帯びた独特の形状の腕の先に、アームを付けている。電車の事故の影響らしい。
「界ちゃんの照り焼きっ。好き」
「ほう、モテモテだな」
塩を振っている界瀬を遠巻きに見ながら、ぽつりと呟く。無表情。
 彼は、やや苛立たし気に、でも、てきぱきと、たれを用意すると、「これで、浸けて30分くらい置いとくんで!」と言って、ゆうこさんたちを後に、俺の腕を掴んで、廊下に引っ張っていった。


はー、疲れた、とぐったりした後、急に真面目な顔になり「違うからな」と言われる。
 こう、真面目に言われるのも、なんだか、もぞもぞして、変な感じだ。
「ゆうこさんと楽しく話してたな」
「いや……あれは反射というか、別に楽しさとかねぇから……ほんとだから」
 反射的にでもそんな高いテンションで会話する気力がない俺にはよくわからない。
「間に入っても良いんだぞ」
「どうやって? この雌豚! とか昼ドラごっこすればいいの」
「話を変な方に深くするんじゃねぇ。でも、良かった、そういやお前も妬いたりするんだよな」

「べつに……好きな物が、『秒単位でも確実に所持出来る』だけで、充分に、幸せだよ。俺には、それだけで……」
時間には逆らえないけど。
「『それ以上』をどう受け取って良いのかは、これから見つける」

雪。

――ね、ね、雪、綺麗だね? 冬。雪だね? 思い出す?

あの人、に報告する。
雪、破ってみる?
外に。
雪、思い出す?

雪は誰の恋人? お空の持ち物?
何か思い出したとしても、誰かが何か感じても、手では破れない、大きな空。
 人類が描き切ることのない、宇宙。

 未来、なんて言葉で傷つけ、人間性を抉る人の居ない場所。

「泣くなよ」

そっと、頬に手が触れる。

「…………」

「俺が居るだろ?」

「わかって、るけど」

 分かり合えない人、関わってはならない人というのが絶対的に存在する。
完成された仕組みの中、その中の住民である彼等。
結局『その世界の住民』なので、『悪くない』


悪くない彼ら、彼女らをどうこうするのはただただ、悲しく、痛くて、
目の前に存在するだけで、互いが耐えられない。
『悪くない』だから、さよならした。あの人を思い出した。








 30分後、ぶりの照り焼きを橋引やゆうこさんたちが焼く間。

キッチンにぞろぞろ居ても邪魔なので追い出された。
 彼にはわかっているのだと思う。
ゆうこさんが、夕飯を作らせるのは、単なる口実。本題はその先。





(2022年1月21日2時59分)
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