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高橋 陸斗。これが俺の名前だ。中学までは学力がよく、学校ではトップレベルで高校は偏差値の高い所に入った。
それが、間違いだったんだ。
俺は小・中学のとき親友がいた。蒼良との出会いは小1の頃。同じクラスになって、ある日俺に話しかけてきた。
「……あの、大丈夫?」
いきなりそう言われて、自分に話しかけられているのかさえ疑問に思った。
「……は?俺?」
「うん。」
俺は幼稚園児の頃から喧嘩ばかりするいわゆる問題児で、小学生に上がってもなお、問題行動はよく起こしていた。
俺と仲良いヤツもみんな問題児。蒼良のような善良なヤツと会話する機会はほぼなかった。
だからいきなり話しかけられて動揺したが、顔には出さないようにした。
「大丈夫ってなにが?つーかお前、誰?」
こんな態度を取った俺に相手はビビっていた。恐らくこういう態度を取られたことがないのだろう。それでも蒼良は逃げ出さず俺を心配していた。
「ぼ、僕は水谷蒼良だよ。えっと……きみのほっぺに傷がついてて……。こ、こういうの、早く手当てした方がいいんだよ!」
頬の傷……?ああ、昨日喧嘩したときのものか。やっと理解した。だからと言ってどうということはない。
ただただ、コイツが鬱陶しい。
「こんなん傷に入らねぇよ。」
だからもう俺に構うな。早くどっか行ってくれ。
そう思いながら相手を睨みつけた。
こういうヤツなら怯んですぐ逃げ出すだろう。そう考えていたが俺の予想は珍しく外れた。
突然腕を掴まれた。蒼良は俺の腕を掴みながら廊下へ進み蛇口のある方へと足を運ぶ。
振りほどこうとすれば簡単にできた。だが、それよりも驚きが勝っていた。
「ほら、ちゃんと洗って!お母さんが、傷はしっかり洗わないとバイ菌入るって言ってたよ!」
────なんだコイツ。馬鹿なのか?
こんなやつ、初めてだった。
ちょっとした傷でこんなに騒ぐなんて。
鬱陶しいはずなのに、不思議と嫌な気分はしなかった。
それが、間違いだったんだ。
俺は小・中学のとき親友がいた。蒼良との出会いは小1の頃。同じクラスになって、ある日俺に話しかけてきた。
「……あの、大丈夫?」
いきなりそう言われて、自分に話しかけられているのかさえ疑問に思った。
「……は?俺?」
「うん。」
俺は幼稚園児の頃から喧嘩ばかりするいわゆる問題児で、小学生に上がってもなお、問題行動はよく起こしていた。
俺と仲良いヤツもみんな問題児。蒼良のような善良なヤツと会話する機会はほぼなかった。
だからいきなり話しかけられて動揺したが、顔には出さないようにした。
「大丈夫ってなにが?つーかお前、誰?」
こんな態度を取った俺に相手はビビっていた。恐らくこういう態度を取られたことがないのだろう。それでも蒼良は逃げ出さず俺を心配していた。
「ぼ、僕は水谷蒼良だよ。えっと……きみのほっぺに傷がついてて……。こ、こういうの、早く手当てした方がいいんだよ!」
頬の傷……?ああ、昨日喧嘩したときのものか。やっと理解した。だからと言ってどうということはない。
ただただ、コイツが鬱陶しい。
「こんなん傷に入らねぇよ。」
だからもう俺に構うな。早くどっか行ってくれ。
そう思いながら相手を睨みつけた。
こういうヤツなら怯んですぐ逃げ出すだろう。そう考えていたが俺の予想は珍しく外れた。
突然腕を掴まれた。蒼良は俺の腕を掴みながら廊下へ進み蛇口のある方へと足を運ぶ。
振りほどこうとすれば簡単にできた。だが、それよりも驚きが勝っていた。
「ほら、ちゃんと洗って!お母さんが、傷はしっかり洗わないとバイ菌入るって言ってたよ!」
────なんだコイツ。馬鹿なのか?
こんなやつ、初めてだった。
ちょっとした傷でこんなに騒ぐなんて。
鬱陶しいはずなのに、不思議と嫌な気分はしなかった。
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