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第48話 サクラ、篠宮を疑う
しおりを挟む「サ、サクラさん?」
あわわわ。
なんか怒ってる。
篠宮は本能で自然と後退りした。
が、サクラは低い声で問いただす。
「お前、あの『酒』はどうやって持ち込んだ?」
「お酒? 普通に持ってきましたけど」
「嘘をつけ。この町に持ち込める訳がない」
「だって、だって、本当ですよぅ」
何かヤバげな雰囲気に篠宮は我知らず走り出した。
「待てィ!」
「ヤダ! 待たない! サクラさん怖いー!」
情けない声をあげながら、篠宮は逃げる。逃げながら、サクラの態度の急変の理由が、『酒』を持ち込んだ事であると思い、この町に来た時のことを思い出そうとする。
思い出そうとするのだが、後ろから聴こえて来るハイヒールの足音に気を取られてなかなか思い出せない。
いつの間にかお目当てのカフェまで来ていた。
篠宮はカフェの前に出ていたテーブルとイスの間に回り込み、イスを掴んだ。
とっさにサクラとの間に盾として構える。
「待って! ひとつだけ心当たりがありますぅ!」
「なーんーだーとー?」
「ヒィィ!」
サクラの怒りのオーラが見える。いや、篠宮への疑惑だろうか?
「ゲ、ゲートで手荷物検査を受けた時、一緒に身分照会もされました!」
「それがどうした?」
「その時、Shinomiya の会長の息子かと聞かれて——」
そこまで話した時、サクラの体から怒りのオーラが抜けていくのがわかった。
ぷしゅー。
「そうか、お前は会長の息子だったな」
サクラはため息をついた。
つまりは、普段は厳しいアオバヤマ町のゲートの検査官が、篠宮会長の息子と知ってノーチェックで荷物を通したのだ。
「馬鹿らしい」
呟くサクラに篠宮は自然な形で降ろしたイスを勧める。彼女はただ疲れたように腰を下ろした。
「すいませーん、オーダーお願いしまぁす♪」
篠宮はちゃっかりもう一つのイスを引き寄せ、店員に声をかけた。
「サクラさん、わかっていただけて嬉しいッス」
今にもサクラの手を握ろうかという篠宮の背中に、カフェの店員が声をかけた。
「お待たせしましたー……あれ? 先生……?」
篠宮が振り返ると、そこにはシックなエプロンをつけた徳田一花が立っていた。
つづく
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