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第78話 生体演算コンピュータ・カプリコン
しおりを挟む取り落とした銃を拾いながら、警備員のリーダーは「追え」と指示を出す。彼らはサクラの一撃で伸びている仲間に見向きもせず、篠宮達を追った。
走りながらEVベレッタを動かす。
「ふん、ダメか」
壊れたのなら、仕方ない。
確保するのにどのような手段を使っても、生きたまま捕まえれば咎められる事はないだろう。
獲物を追う三人の目に、狂気の光が浮かんだ。
「サクラさんっ、どこに逃げれば……?」
「知るかッ!」
小さいサクラを抱いたまま走りながら、篠宮は息があがってきた。サクラの方も、片手で鬼丸の手を引いて走っている。もう片方には丸めた白衣を抱いていた。彼らは旧校舎を出ると、プールの方へ向かう。
小さいサクラが小さい手でプールに隣接する建物を示した。
「こういしつ、あいてる。もうすぐ、すいえいするって」
「とりあえずそこへ隠れましょう!」
「くっ、仕方ない」
四人はコンクリート製の小さな建物に逃げ込むと、ドアを閉めて、外を伺った。
遅れて後を追ってきたはずの警備員達はまだ来ない。
「ここって……後々購買部になる建物ですよね?」
「ああ、今は更衣室——兼、倉庫か」
少しジメジメとする小部屋に、着替えを入れる籠の他に、脚立や工具箱がある。ここを改装して、後にカエデの経営する購買部が作られるらしい。
「追いかけて来ないな」
「これからどうします?」
「……おい、お前」
サクラは篠宮の膝に抱っこされたままの小さなサクラに声をかける。
「?」
「さっき、六花が呼んでいたと言ったな?」
小さいサクラはこくん、とうなずく。
「ろっかがよんでた。たぶん、しのみやと、おばさんのこと」
「おばさんじゃないッ!」
「まあまあ」
「お前もこの子に注意しろ!」
そんな無茶な。
注意したらしたで、怒りそうだ。
「……あれ? 今の六花ちゃんは俺たちの事わかってるんですかね?」
篠宮が首をひねりながらサクラに聞く。彼女は顎に手を当てて考え込んだ。
「——六花は——いや一花達は生体演算コンピュータとしてデザインされた生命体だ。ベースは人間の受精卵」
「は?」
「それを六分割して六体の個体に分けた。ここまでは人間の多胎児とさして変わらない。その後に同一の遺伝子デザインを加えられた」
つづく
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