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36『女子高生怪盗ミナコ・2』

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ミナコ転生

36『女子高生怪盗ミナコ・2』      

 


 半年は我慢した、半年は。しかしミナコの我慢にも限界があった。


「せっかく半年もかけて準備したのに、邪魔するかなあ!」

 ミナコは、スマホ片手にブチ切れながら、トイレから出てきた謙三爺ちゃんに叫んだ。

「おいらが、なんかやったかい?」

「……爺ちゃん。大したあとは消臭スプレーしてよね。臭い残さないってのは、この稼業の基本だと思うよ」

「そりゃ、仕事の上よ。我が家にいるときゃ、普通が一番」

「常日頃の心得が一番って言ったのは爺ちゃんだよ!」

 瞬間、爺ちゃんの回し蹴りが飛んできた。ミナコはポップティーンの最新号で、それを受け止めた。

「体術じゃ、もう爺ちゃんのレベル超えてるから」

 ミナコは、鼻で笑った。

「バッキャロー、今のは寸止めよ。それに、痩せても枯れても盗人の玄人、ただの寸止めじゃねえ。見開きのグラビア見てみな」

 グラビアの秋物のチュニックを着ていたモデルは、衣類一式を盗まれて、両手で胸と前を隠していた。

「もう、買ってきたばっかなんだよ!」

「はいはい……」

 爺ちゃんが、グラビアのオネエサンをスリスリしたかと思うと、次の瞬間オネエサンは、元の秋物の衣類を身にまとっていた。びっくりしていると、ポニーテールの首筋に微かに違和感を感じた。

「ウ……」

 胸の圧迫感がゼロになった。目の前で、爺ちゃんがストラップレスのブラをヒラヒラさせている。

「孫のブラ取って、どういう了見してんのよ!」

 ミナコは、爺ちゃんからブラをふんだくると、タンクトップの裾から手を入れて0・2秒で身につけた。

「まあ、そこに座んない」

 ミナコは、大人しくテーブルを挟んで、爺ちゃんの前に座った。

「今までは、家の中でも気配を消せって言ってきたな、おいら」

「うん、泥棒道のイロハだって」

「そりゃ、あくまで仕事のためだ。試しに、もっぺんトイレの臭いかいできな」

 トイレには、臭いはおろか、人がいた気配もなかった。

「爺ちゃんの手見てみろい」

 ミナコは、爺ちゃんのグーをした手に顔を寄せた。とたんに爺ちゃんは手を開き、悶絶するような臭気があたりに満ちた。不覚にもミナコは、隣の六畳まで逃げて、一瞬気を失った。

「爺ちゃんね……あ!?」

 謙三爺ちゃん、今度はミナコのパンツをヒラヒラさせていた。

「もう、スケベジジイ!」

 ミナコは、ふんだくると、襖の陰に入り0・5秒で身につけた。

「その尻はまだオボコだな」

「もう、なんで、そこまで覗くかなあ!」

「覗いちゃいねえ、見えるんだよ。この家の鏡はダテにぶら下げてあるんじゃねえ」

 家の中には、何気ない鏡や光りものがあるが、それが器用に反射して、家のどこからでも家の中の様子が分かるようにできている。防犯カメラなどという野暮なモノは、この家にはない。

「じゃあ、本題に入えろうかい……」

 気を抜かれたミナコは、大人しく座り、爺ちゃんの目が刹那、鋭く光った……。


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