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96 〈ナンヤティンナイサ部〉
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てんせい少女
96 〈ナンヤティンナイサ部〉
エリーといっしょにナンヤティンナイサ部を作った。
一種の仲良しグループなんだけどね、今のあたしたちの状態が中途半端なので、部活のような名前にした。
ナンヤティンナイサというのは沖縄の方言で「なんでもできる」という意味で、要はなんでもアリってな意味。
大方は放課後好きなことをやってるわけで、帰宅部にニュアンスは似ているけど、アクティブという点で違いがある。
大概は、下校途中ファストフードの店なんかで、おしゃべりしてるだけなんだけど、なにかに引っかかったり面白いと思ったら実行に移すところが、帰宅部とは決定的に違う。
最初は、ソーキそばが、なぜソーキというかから始まった。フィシーズメーカーのエリーが大盛りの二杯目にかかったときに「なんで、ソーキって言うの?」というあたしの質問から始まった。エリ-は説明できなかった。本土で言えば「ラーメンを、なぜラーメンと呼ぶのか?」の質問と同じで、当たり前すぎて分からない。
「ソーキっていうのは、梳きのなまりなんだわ。ブタのアバラ使って出汁とるでしょ。そのアバラが櫛に似てるんで、櫛で梳くの梳きが、ね、なまったのよ」
と、店のオバアチャンが教えてくれた。
「オバアチャンのお店のソーキそばって、沖縄で一番美味しいわね!」
そう言うと、オバアチャンは正確、かつ正直に教えてくれた。
「うちより、まーさいびーん(おいしい)ところはあるよ」
で、オバアチャンが教えてくれた那覇中のお店を回った。那覇以外のお店もあったけど、高校生の行動半径で行けるところで絞った。
「いろいろあるのは分かったけど、あたしの主観では、あのオバアチャンのお店だな」
と、意見の一致を見てから、俄然アクティブさが増してきた。琉球新報と沖縄タイムスは沖縄の新聞の90%以上を占めており、本土の新聞と大きな隔たりがあることを知ると、その「なぜ?」を調べる。
で、分かったのは、簡単な法則。
沖縄で、全国紙をとると、朝刊が読めるのが夕方になってしまい、新聞としての意味がないから。
「な~るほど」
と、思ったけど、全国紙(ちなみに、あたしんちはS新聞だった)に比べると、内容や数字がかなり違う。基地問題や、デモの記事が多く、デモなんかの参加人数は全国誌と大きな開きがあった。
新聞に凝っている間は、学校の図書館に通い詰めた。ネットで、沖縄の新聞と全国紙の比較をやった。その姿が、とても勤勉そうに見えたので、社会科の先生が「新聞部を作ろう!」と言い出したのには閉口した。
エリーは、沖縄の新聞の特殊性は知っていたようで、あまり驚かない。でも全国紙でもAとS新聞などに大きな開きがあることには、びっくりして喜んでいた。
「一度、電車に乗ってプロ野球がみてみたい」
沖縄の子らしい感想ももらした。
名護市長選では移設反対の市長が当選したが、石垣では自衛隊配備に賛成の市長が選ばれ、沖縄が揺れていることがよく分かった。
「これって、第一にはオスプレイの安全性の問題なんだよね」
と、あたしが言うと、エリーは、こう言った。
「じゃあ、一発乗って確かめてみるか!」
96 〈ナンヤティンナイサ部〉
エリーといっしょにナンヤティンナイサ部を作った。
一種の仲良しグループなんだけどね、今のあたしたちの状態が中途半端なので、部活のような名前にした。
ナンヤティンナイサというのは沖縄の方言で「なんでもできる」という意味で、要はなんでもアリってな意味。
大方は放課後好きなことをやってるわけで、帰宅部にニュアンスは似ているけど、アクティブという点で違いがある。
大概は、下校途中ファストフードの店なんかで、おしゃべりしてるだけなんだけど、なにかに引っかかったり面白いと思ったら実行に移すところが、帰宅部とは決定的に違う。
最初は、ソーキそばが、なぜソーキというかから始まった。フィシーズメーカーのエリーが大盛りの二杯目にかかったときに「なんで、ソーキって言うの?」というあたしの質問から始まった。エリ-は説明できなかった。本土で言えば「ラーメンを、なぜラーメンと呼ぶのか?」の質問と同じで、当たり前すぎて分からない。
「ソーキっていうのは、梳きのなまりなんだわ。ブタのアバラ使って出汁とるでしょ。そのアバラが櫛に似てるんで、櫛で梳くの梳きが、ね、なまったのよ」
と、店のオバアチャンが教えてくれた。
「オバアチャンのお店のソーキそばって、沖縄で一番美味しいわね!」
そう言うと、オバアチャンは正確、かつ正直に教えてくれた。
「うちより、まーさいびーん(おいしい)ところはあるよ」
で、オバアチャンが教えてくれた那覇中のお店を回った。那覇以外のお店もあったけど、高校生の行動半径で行けるところで絞った。
「いろいろあるのは分かったけど、あたしの主観では、あのオバアチャンのお店だな」
と、意見の一致を見てから、俄然アクティブさが増してきた。琉球新報と沖縄タイムスは沖縄の新聞の90%以上を占めており、本土の新聞と大きな隔たりがあることを知ると、その「なぜ?」を調べる。
で、分かったのは、簡単な法則。
沖縄で、全国紙をとると、朝刊が読めるのが夕方になってしまい、新聞としての意味がないから。
「な~るほど」
と、思ったけど、全国紙(ちなみに、あたしんちはS新聞だった)に比べると、内容や数字がかなり違う。基地問題や、デモの記事が多く、デモなんかの参加人数は全国誌と大きな開きがあった。
新聞に凝っている間は、学校の図書館に通い詰めた。ネットで、沖縄の新聞と全国紙の比較をやった。その姿が、とても勤勉そうに見えたので、社会科の先生が「新聞部を作ろう!」と言い出したのには閉口した。
エリーは、沖縄の新聞の特殊性は知っていたようで、あまり驚かない。でも全国紙でもAとS新聞などに大きな開きがあることには、びっくりして喜んでいた。
「一度、電車に乗ってプロ野球がみてみたい」
沖縄の子らしい感想ももらした。
名護市長選では移設反対の市長が当選したが、石垣では自衛隊配備に賛成の市長が選ばれ、沖縄が揺れていることがよく分かった。
「これって、第一にはオスプレイの安全性の問題なんだよね」
と、あたしが言うと、エリーは、こう言った。
「じゃあ、一発乗って確かめてみるか!」
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