異世界に転生したら王子と勇者に追いかけられてます

椎名サクラ

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本編44

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 翌朝、起き上がれないほどの腰の痛みを感じながら、ソーマは寝台の中でうずくまっていた。何度も何度もザームエルが出入りした場所が重痛い。

「ザームエルの奴……調子に乗って……」

 何度もするなと思いながらもそれは口にしなかった。だって、ソーマだって誘ったことを覚えているからだ。

 分身を扱かれるよりも、欲望で中を犯されるほうがずっと気持ちいいなんて知らなかった。

 あんなにも気持ちいいことをされてしまったら、何も知らないソーマは簡単にのめり込んでもっと欲しがってしまう。自分が快楽に弱いと知らないばかりに、こんな目に遭ったのだが、それでも憎しみはザームエルへと向いてしまう。

 あんな凄いことを毎日やったら絶対に身が持たない。

 立つことは愚か上体を起こすことすら難しい。

 このままでは食事を摂ることすらできない。

「………あれ?」

 おかしい。

 どんなに食べても満たされない食欲が、最近は一人前食べれば充分になっていたが、今日はちっとも空腹を訴えない。

 寝台で激しく交わい、本来なら空いてしょうがないはずなのに、腹の音すらしない。

「おかしいな……」

 しかも満腹時と同じ満たされた感覚が残っている。

 気持ちいいことをされると満たされるようになるのだろうか。

(そう言えば、ゲオルクに誓いの証として口づけしてた頃も、あまりお腹空かなかったな)

 もしかして、竜族というのは気持ちいいことが食事となっているのだろうか。

「だったら毎日のようにしないといけないのか?」

 そんなにしてたら生活できない。

 今も蹲っているのがやっとだ。毎日あんなに激しくしていたら、畑に立つこともできないし、もう気持ちいいこと以外何もしない生活になってしまう。

「駄目だ駄目だ駄目だ」

 そんな自堕落なことが許されていいはずがない。

 動かざる者食うべからずを地でいく村で育ったソーマは、頭に浮かべた淫らな生活を慌てて掻き消した。

 ソーマとザームエル二人しかいないのだから、そんなことをしていたら誰が畑の面倒を見て狩りをしなければならないんだ。

「もう一人いたら交代制で……って違うよねそれも」

 あんな凄いのを毎日、しかも複数名にされたら本当に身が持たない。

 むしろ、ずっとあんあん言ってるしかなくなってしまうではないか。しかも、いくら気持ちいいからと言って、男同士で抱き合っているのも何かおかしい。本来、この館に迎え入れたかったのは綺麗で可愛い娘ではなかったか。

 そうだ、妻が欲しかったのだ。

「こんなんじゃだめだ……女の子を迎え入れないと……」

 子供を作って、妻と子を養って一家の大黒柱として、温かい家庭を作るのが夢のはずなのに。

「やっぱりザームエルには王都に帰ってもらったほうが良いのかな」

 でもそうしたら、あの気持ちいいことができなくなってしまう。

「あぁぁぁぁぁぁ、どうしたらいいんだっ!」
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