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本編2
2-2
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半分しか食べられなかったがそれでも腹は満ち、ホッとして遙人が煎れてくれたお茶を飲む。自分の下肢になにを取り付けられたかも忘れた隆則の斜め前にまた遙人が腰掛ける。
「もういいんですか?」
「うん、お腹いっぱいだ」
「そう、ですか」
ニッコリと笑い器用な指が隆則の唇を撫でた。
「え?」
「隆則さん無防備すぎ。さっきまで俺が何をしてたのか忘れたんですか?」
「なにってご飯……ぁっ」
「思い出しました?」
唇に触れた親指がぬるりと隆則の口内へと押し込まれた。
「んっ……」
歯列を撫でその奥に怯えている舌を突いてくる。
「無防備すぎ……ねぇ指を舐めて」
「ぁ……んっ」
両手で遙人の手首を掴み、形のよい手入れの行き届いた爪に舌を這わせた。指を舐めているだけ、なのにどうしてこんなに興奮してしまうのだろう。食事中忘れていた熱が自分が舐めている状況でまた高まってくる。数刻前にも苦しくて達きたくて、こうして遙人の欲望を舐めていたことを思い出す。
ズンッと思い出しただけで甘い痺れが尾てい骨から脳髄へと駆け上る。
(あ……だめだ)
分かっていてもセーブができない。口の中に欲望を含んだときのことがまざまざと思い出され、脳がすぐにバグを起こす。今口にあるのがそれで、この後どれほど自分を狂わせるのだろうかと期待するようにねっとりと舐めてしまう。
「親指じゃ物足りない? じゃあこの二本、咥えてみてください」
「ぁんっ」
中指と人差し指が親指の代わりに入ってきた。長さの違うそれらを含みながら、同じように舌を這わせ、裏筋を擽るときのように指の腹をチロチロと舐めていった。いたずらな指はそんな隆則の舌をすぐに弄んでくる。指で挟んでは擽り、撫でては唾液を掬い上げていく。懸命に追いかけ舌を絡め、舐めていく。
「あぁ、すっごく可愛い顔になってますね……口の中を弄られるだけでそんなに気持ちいいんですか?」
「んっんっ」
首を振りながら必死に舌を絡ませる。
自分がどれだけ淫蕩な表情になっているかも知らず、ただただ欲望のまま欲しがる。
「また俺としたくなりましたか?」
「んっ」
「本当に今日の隆則さんは可愛いな。いつもこんなんだったらめちゃくちゃ嬉しいんですけどね……」
指が抜けるのを舌を伸ばし追いかけ、それをすぐに遙人の唇に挟まれる。
「んんっ」
伸ばした舌を口内で嬲りながら、遙人が隆則の細い身体を膝に乗せる。自然と掴んでいた手は遙人の首に回し、自分から口づけを深くした。
快楽の火種が灯った淫らな身体は、一時の平温で収まった疼きが再び沸き起こりラブホテルでの狂乱の熱を引きずり起こす。
遙人と二人で暮らす家に戻ってきたはずなのに、非日常なあの空間に戻ったような気持ちになる。
トラウザーズの上から蕾を擽られギュッと臀部が締まるのを確かめてから、遙人がベルトに手をかけた。カチャカチャと音を立てながら外すだけで興奮が増す。
「ストイックなスーツ姿なのが余計に卑猥で良いですよね……もし隆則さんが会社員のままだったら、毎日のように俺がスーツ剥ぎ取ってそう」
「馬鹿なこと……」
「言ってないで気持ちよくしろ、ですか? そんなにがっつかなくてもいっぱいあげますよ。トラウザーズ、自分で脱げますか?」
隆則は遙人の膝から降りると、緩いトラウザーズは先ほどと同じように腰に纏わり付けないままストンと隆則の足下に落ちた。それから足を抜き、もう一度遙人の膝に乗り上がる。下着は纏っていない。拘束具が邪魔をしてうまく履けなかったからと遙人に取り上げられたままだ。
その蕾に指が潜り込んでくる。
「ぁっ……」
「逃げないで……キス、してください」
「ん……ぁぁっ」
「ダメです、ほら口開けて」
「ゃだぁ……ぁぁっんんん!」
口を塞がれたまま指が大胆に抜き差しを始めた。また分身が大きくなり、だが一定の太さまで育つと根元にはめ込まれた輪が痛いほどに締め付けて、射精できなくさせる。それが苦しくて同時に興奮してしまうのは、達かない絶頂を覚えたからだ。
また終わりのない快楽を味わえると身体が喜び脳が溶けてしまう。グズグズになる身体はすぐにでも遙人を欲して腰を揺らめかせた。
こういうときに必ず遙人の意地悪心が頭をもたげると分かっていても自分を抑えられない。仕事納めをしてから毎日のように抱かれている敏感な身体はもうキスと蕾への刺激だけでは満たされなくなった。自分から遙人の下肢に手を伸ばす。そこはもう充分に育ち、ラブホテルで三回も達ったとは思えないほど堅くなっている。溶けた脳はもうそれが欲しくて欲しくて狂いそうになった。
「もう……して」
「ベッドがいいですか? それともここで?」
「べ……っど」
「どんな風に抱かれたいんですか?」
いつもならそんなこと訊かずに狂うまでやり続けるのに、どうして今日は執拗に隆則のしたい体位を訊いてくるのだろうか。その間も中を弄っている指は動きを止めず隆則を煽り続けている。もう指では満たされない。
抱き上げられベッドに運ばれると、ワイシャツとネクタイの間に入った指がするりと、彼が結んでくれたネクタイをゆっくりと外した。
「ぁ……」
「ねぇ、どうやって抱かれたいんですか?」
ワイシャツのボタンが一つ一つ外される。性急さのない動きが余計に煽って脳を焼き切ろうとしていた。エアコンの効いた部屋でワイシャツをはだけたまま横たわる自分の姿を舐めるように見つめるその熱い視線が一層隆則を狂わせる。
「もういいんですか?」
「うん、お腹いっぱいだ」
「そう、ですか」
ニッコリと笑い器用な指が隆則の唇を撫でた。
「え?」
「隆則さん無防備すぎ。さっきまで俺が何をしてたのか忘れたんですか?」
「なにってご飯……ぁっ」
「思い出しました?」
唇に触れた親指がぬるりと隆則の口内へと押し込まれた。
「んっ……」
歯列を撫でその奥に怯えている舌を突いてくる。
「無防備すぎ……ねぇ指を舐めて」
「ぁ……んっ」
両手で遙人の手首を掴み、形のよい手入れの行き届いた爪に舌を這わせた。指を舐めているだけ、なのにどうしてこんなに興奮してしまうのだろう。食事中忘れていた熱が自分が舐めている状況でまた高まってくる。数刻前にも苦しくて達きたくて、こうして遙人の欲望を舐めていたことを思い出す。
ズンッと思い出しただけで甘い痺れが尾てい骨から脳髄へと駆け上る。
(あ……だめだ)
分かっていてもセーブができない。口の中に欲望を含んだときのことがまざまざと思い出され、脳がすぐにバグを起こす。今口にあるのがそれで、この後どれほど自分を狂わせるのだろうかと期待するようにねっとりと舐めてしまう。
「親指じゃ物足りない? じゃあこの二本、咥えてみてください」
「ぁんっ」
中指と人差し指が親指の代わりに入ってきた。長さの違うそれらを含みながら、同じように舌を這わせ、裏筋を擽るときのように指の腹をチロチロと舐めていった。いたずらな指はそんな隆則の舌をすぐに弄んでくる。指で挟んでは擽り、撫でては唾液を掬い上げていく。懸命に追いかけ舌を絡め、舐めていく。
「あぁ、すっごく可愛い顔になってますね……口の中を弄られるだけでそんなに気持ちいいんですか?」
「んっんっ」
首を振りながら必死に舌を絡ませる。
自分がどれだけ淫蕩な表情になっているかも知らず、ただただ欲望のまま欲しがる。
「また俺としたくなりましたか?」
「んっ」
「本当に今日の隆則さんは可愛いな。いつもこんなんだったらめちゃくちゃ嬉しいんですけどね……」
指が抜けるのを舌を伸ばし追いかけ、それをすぐに遙人の唇に挟まれる。
「んんっ」
伸ばした舌を口内で嬲りながら、遙人が隆則の細い身体を膝に乗せる。自然と掴んでいた手は遙人の首に回し、自分から口づけを深くした。
快楽の火種が灯った淫らな身体は、一時の平温で収まった疼きが再び沸き起こりラブホテルでの狂乱の熱を引きずり起こす。
遙人と二人で暮らす家に戻ってきたはずなのに、非日常なあの空間に戻ったような気持ちになる。
トラウザーズの上から蕾を擽られギュッと臀部が締まるのを確かめてから、遙人がベルトに手をかけた。カチャカチャと音を立てながら外すだけで興奮が増す。
「ストイックなスーツ姿なのが余計に卑猥で良いですよね……もし隆則さんが会社員のままだったら、毎日のように俺がスーツ剥ぎ取ってそう」
「馬鹿なこと……」
「言ってないで気持ちよくしろ、ですか? そんなにがっつかなくてもいっぱいあげますよ。トラウザーズ、自分で脱げますか?」
隆則は遙人の膝から降りると、緩いトラウザーズは先ほどと同じように腰に纏わり付けないままストンと隆則の足下に落ちた。それから足を抜き、もう一度遙人の膝に乗り上がる。下着は纏っていない。拘束具が邪魔をしてうまく履けなかったからと遙人に取り上げられたままだ。
その蕾に指が潜り込んでくる。
「ぁっ……」
「逃げないで……キス、してください」
「ん……ぁぁっ」
「ダメです、ほら口開けて」
「ゃだぁ……ぁぁっんんん!」
口を塞がれたまま指が大胆に抜き差しを始めた。また分身が大きくなり、だが一定の太さまで育つと根元にはめ込まれた輪が痛いほどに締め付けて、射精できなくさせる。それが苦しくて同時に興奮してしまうのは、達かない絶頂を覚えたからだ。
また終わりのない快楽を味わえると身体が喜び脳が溶けてしまう。グズグズになる身体はすぐにでも遙人を欲して腰を揺らめかせた。
こういうときに必ず遙人の意地悪心が頭をもたげると分かっていても自分を抑えられない。仕事納めをしてから毎日のように抱かれている敏感な身体はもうキスと蕾への刺激だけでは満たされなくなった。自分から遙人の下肢に手を伸ばす。そこはもう充分に育ち、ラブホテルで三回も達ったとは思えないほど堅くなっている。溶けた脳はもうそれが欲しくて欲しくて狂いそうになった。
「もう……して」
「ベッドがいいですか? それともここで?」
「べ……っど」
「どんな風に抱かれたいんですか?」
いつもならそんなこと訊かずに狂うまでやり続けるのに、どうして今日は執拗に隆則のしたい体位を訊いてくるのだろうか。その間も中を弄っている指は動きを止めず隆則を煽り続けている。もう指では満たされない。
抱き上げられベッドに運ばれると、ワイシャツとネクタイの間に入った指がするりと、彼が結んでくれたネクタイをゆっくりと外した。
「ぁ……」
「ねぇ、どうやって抱かれたいんですか?」
ワイシャツのボタンが一つ一つ外される。性急さのない動きが余計に煽って脳を焼き切ろうとしていた。エアコンの効いた部屋でワイシャツをはだけたまま横たわる自分の姿を舐めるように見つめるその熱い視線が一層隆則を狂わせる。
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