命の恩人

あやこ

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1話

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都内郊外の廃墟に私はいる。
私の名前は花子。

私の頭上には輪っかになったロープが吊り下がっている。
足元には土台があり、今まさに自殺をする所だ。

友達もおらず、持病もあり、前月はアパートに泥棒が入り全財産盗まれた。
犯人は見つかったが、お金の行くへだけは不明でもう死ぬしかないところまで追い詰められた。

私の持病の薬は高額だ。貯金があったとしても生活は困窮するのは目に見えている。泥棒が入らなくてもきっとそのうち死んでただろう。
そして相談する友達はおろか家族もいない。

母親は私を施設に置いてそのまま行くへ不明。父親に至っては顔すら知らない。

「こんなクソ人生終わりにしてやる」

花子は恐怖に打ち勝つように大きな声をあげてロープの輪っかに首を通した。

その時、背後で物音がした。振り向くと派手な花柄のシャツを着た陽気なおじさんがこちらを向いている。

「お嬢ちゃん、今から死ぬんかい?見ててもええ?」

驚いた花子は一旦、首から通したロープを外すとおじさんの所に駆けよった。

「え?あ、あの・・・
人様に見せるような物ではないんですが・・・・」

するとおじさんは、タバコに火をつけると腕組みをしながら話し始めた。

「雨が降ってきたから、雨宿りがてらここに来ただけやから、雨が止むまで話し相手になってや。」

おじさんは自分の名前を太郎と名乗り、話しを始める。

「そうや!死ぬんやったら下にビニールシート引いときや。
首吊りはしょんべんとか垂れ流しやからなぁ。発見者の人にも配慮しとかなあかんでぇ。
そういえばこの下の階にビニールシート落ちとったからひいときや。」

太郎はそういうと、雨が止んだので帰るわと言って廃墟から出て行った。
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