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しおりを挟む「そんなことが…」
セスは何かを考えこむように黙る。
確かに口外さたら困ることよね。
次期皇后がいかがわしい店に入ったなんて。
でも、大丈夫。
「ルイが口止めを…」
「そうじゃなくて、なんでもっと…僕がその不届きものを処分したかった。」
セス…
彼の真剣な表情に私は嬉しくなる。
私のためにこんな風に怒ってくれるなんて…本当に嬉しい。
なにもかも順調だわ。。
だって、もう一つ謎だったルイの素性もわかったし。
ルイはただの貴族ではなく、この国の第二王子だった。
それならルイに対して警戒する必要はない。
これからは私の義理の家族になるのだから。
「ルイ、メアリを助けてくれてありがとう。」
「…務めを果たしただけだ。」
「そうだね。
それじゃあ今度は僕から、メアリに説明させて。」
セスが覚悟を決めたように私を見る。
「僕、結婚前から君に一目惚れしてたんだ。」
セスの告白に私は驚く。
そうだった、の。
「それで、メアリと結婚できるように裏で手を回した。」
え…
裏で手を回すって、?
「メアリが結婚しないといけない状況を作るために、君の家を没落させた。
それに、結婚募集で僕しか応募させないようにした。」
そこから?
それって、
外堀を埋められてたってこと?
「ちょっと待ってください。
でも、私が好きなら…なぜ色んな女性と関係を…」
「僕達がまだ幼い時、偶然メアリと友人達が好きな人について話してたのを盗み聞きして…君がチャラい男性が好きだって言ってたから、その理想に近づこうとしたんだ。」
歯切れが悪そうなセス。
その会話を友人としたことは全然覚えてないんだけど…
私が12歳位だったと思う。
その頃、同年代でそういう女好きといわれる男性が流行ってたときがある。
たぶんそれを聞いたんだと思う。
でも…
「残念ながら…私の好みはそういうタイプではないです。」
周りに同調しただけ。
私のタイプは、誠実な人だったから。
「うん、薄々気付いてた。
でも僕が君で知ってることがそれだけだから、諦めきれなくてずっと演じてたんだ。」
「話しかけてくれれば…」
「…メアリは高嶺の花だから、話しかけられなくて。」
高嶺の花…?
そんな風に思われてたのね私。
「それで結婚してから君が僕の書斎に入ってくのを見た女性のことなんだけど。」
私は緊張する。
不倫じゃないなら…
「メアリと結婚するために裏で手を回したと言ったよね?
実は結婚後も少しそのことについて後処理に終われてて…
よく客が来てたと思うんだけど。
君が見た女性はね、」
「僕だ。」
は…?
突然のルイの発言に戸惑う。
どういうこと、
「メアリが見たのはルイなんだ。
女装したルイ。
理由は、非公式だから目立つわけにはいかなくて。
ルイは注目されやすい顔立ちだから敢えて女装して僕と仕事をしてたんだ。」
そ、ういうこと…
確かにルイは美形だから目立つ。
じゃあ男性用控え室に消えた女性は、あの後でてきたルイだったのね。
今までのことが全て線で繋がる。
「黙ってたのは、君と結婚するために色々してたと知られたら嫌われると思ったんだ。
だって、そのために君の家を一度没落させて強引に事を進めたから…」
「いいんです。
私は今あなたと夫婦になれて良かったと思ってます。」
私がそう伝えると、セスは照れたように笑う。
「ルイも、ありがとう。」
「別に…」
ルイは無愛想に答える。
ふと、2人を見比べていて気付く。
あ、セスとルイの瞳が一緒。
…あの時、ルイの目に既視感を覚えたのはこれだ。
それじゃあ、ルイにキスされた時のときめきもセスと勘違いしたのかも。
まあ、単純に私がそういう経験をセス以外としたことなくて免疫ないっていうのもあるし…
どうやら、私の考えすぎだったみたい。
よかった。
私はホッと安心する。
応援ありがとうございます!
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