魔王は勝手に生まれない

雨彩 色時

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3話 涙に問う

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 この世には勇気がある行動をする者をと呼ばれるようだ。本当に馬鹿な連中だ。早く絶滅させなければならない。

「魔王様。準備が整いました」
「ありがとう」


 魔物を使役してきて、もう随分と時が経つと知恵を身に付ける者が現れた。そう言った魔物は側近や軍の指揮を取らせている。これも人間を早く殺す為だ。

「この戦いの前にお一つだけ魔王様にお聞きしたいことがございます」
「何? 言ってごらん?」
「なぜ人間を殺すのですか? 魔王様も元は人間の身であられたとお聞きしております」
「人間だから殺すんだよ。僕は人間だったから人間をやめたんだ」
「人間だから…ですか」


 僕の側近は納得があまりいってない様だ。知恵を付けたは良いが、あまりに優秀なのも考えものかも知れない。

「人間は身勝手な生き物なんだ。しゅが違えば人間は殺すか食すかの二択だ。そして、醜いことに人間同士ですら殺し合うこともある。そんな生き物は存在する価値はない。違うかい?」
「愚かな質問をしてしまった私をどうか許して下さい」
「大丈夫。いっぱい殺そう。それだけを今は考えるんだ」


 側近は理解して跪く。僕はそれを許さなければいけない。人間をやめたあの日から、人間以外の全てを僕はいつくしむのだ。


____________
_______
_


 僕の目の前には同胞が見渡す限りいた。彼らは人間に家族や友人や故郷を奪われた者もいる。

「皆聞け。この街の灯りの数は人間の数を表しているに等しい。この街の灯りを業火で焼き尽くす。そして、皆の心の業火で街へ乗り込み人間を殺せ」


 僕は街に魔術を放ち、火の海に変える。一気に色々な音や声が混ざって音楽みたいだ。なんて美しい。

「もっと天に響かせ聞かせろ。世が乱れ狂えば少しは彼も報われるのだから!!」


 僕は自然と涙がこぼれ落ちていた。笑顔でも涙が出ることを初めて知る。そして、この涙の理由が僕は全く分からない。なぜ涙が止まらないんだろう。
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