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嘘
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僕はよく人に優しいと言われる。その褒め言葉は大嫌い。僕は別に善意でやってる訳じゃ無い。嫌われない為だ。うまく生きていくのに必要なことである。
頼みを断れば嫌な奴になるし、見て見ぬフリをしたら後味が悪い。本当の優しさなんて使ったことが無い。
「好きです。付き合って下さい」
僕は屋上に呼び出された女子から告白される。好きになった理由は優しい人だからそうだ。この子には悪い事をしてしまった。ただ僕の偽善に利用されただけなのに好意を抱いて、勇気を出して告白してくれたのに付き合ったら幻滅して辛い思いをするだろう。
そうならない様に僕は君の為にまた優しくならないといけない。
「気持ちは凄く嬉しい。でも、今は勉強や部活に集中したいから誰とも付き合う気がないんだ。君にはもっと良い人が見つかるさ」
そう、人格を否定したらより傷をつけてしまう。あくまで彼女のせいではない事を伝える。彼女は少し悲しそうな顔をしていたが、付き合えば何回も悲しい思いをさせてしまう。それに比べたら最小限だ。
「悪い人ね。そんなこと微塵も思ってもない癖に」
彼女が去ると物陰から姿を出した女子は言う。盗み聞きなんてタチが悪い人に言われるとは、おかしな話だ。
「悪い人で結構さ。じゃあね」
「学校で人望が高いから、告白も工夫しないと振れないのね」
「工夫なんてしてない。事実だ」
「あら? 話を続けてくれるの?」
「その煽り口調…気に入らないな」
「嘘吐きが本音を言うと怖いのね」
彼女はニコニコしながら僕に近付き、人差し指を唇に置く。ペースを乱して僕の本性を出そうって腹らしい。
「ああ言わないとあの子は傷付いた。それだけだ」
「じゃあ、嘘は認めるのね」
「誰とも付き合う気がないのは本当だ」
「そ。あの子は貴方の偽善だろうが好きになった。想いは真実のはずよ? それを貴方は嘘で汚した。女の敵ね」
彼女の言うことが図星のせいなのか、苛立ちが湧いて出る。ダメなのに、いつもなら怒りを声に乗せないのに彼女には言わないと気が済まない。
「じゃあ、本当のことを言えば良かったのか? あの子は酷く傷付くはずだ。そして、酷く傷付くと人は愚痴を漏らす。それは悪い噂に繋がる」
「じゃあ、噂が無ければあの子は傷付けていたのね」
「違うっ!!!! 君とは話にならない! もういい」
これ以上、彼女と声を荒げて話していては人に気付かれる。僕のこんな姿は見せられない。
「次は誰に告白されて、どんな優しさを見せてくれるのかしら。ここで待っているわ」
その言葉は魔法の様で、僕は頼まれごとを度々断るようになり、見て見ぬフリもした。最初は罪悪感や人に嫌われる恐怖があったが、以前よりは気を張らなくていいせいか心身が軽く感じる。彼女のおかげだ。
「優しい貴方が私に何の用かしら?」
「相変わらず意地悪だな。良かったら付き合わないか? 本当の優しさを見せれそうなのは君しかいないと思う」
「あら、誰とも付き合う気はないんでしょ? 嘘吐きね」
彼女の前では嘘が付けないようだ。本当の自分を曝け出せたあの日から、僕は彼女に惚れていたみたいだ。
頼みを断れば嫌な奴になるし、見て見ぬフリをしたら後味が悪い。本当の優しさなんて使ったことが無い。
「好きです。付き合って下さい」
僕は屋上に呼び出された女子から告白される。好きになった理由は優しい人だからそうだ。この子には悪い事をしてしまった。ただ僕の偽善に利用されただけなのに好意を抱いて、勇気を出して告白してくれたのに付き合ったら幻滅して辛い思いをするだろう。
そうならない様に僕は君の為にまた優しくならないといけない。
「気持ちは凄く嬉しい。でも、今は勉強や部活に集中したいから誰とも付き合う気がないんだ。君にはもっと良い人が見つかるさ」
そう、人格を否定したらより傷をつけてしまう。あくまで彼女のせいではない事を伝える。彼女は少し悲しそうな顔をしていたが、付き合えば何回も悲しい思いをさせてしまう。それに比べたら最小限だ。
「悪い人ね。そんなこと微塵も思ってもない癖に」
彼女が去ると物陰から姿を出した女子は言う。盗み聞きなんてタチが悪い人に言われるとは、おかしな話だ。
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「工夫なんてしてない。事実だ」
「あら? 話を続けてくれるの?」
「その煽り口調…気に入らないな」
「嘘吐きが本音を言うと怖いのね」
彼女はニコニコしながら僕に近付き、人差し指を唇に置く。ペースを乱して僕の本性を出そうって腹らしい。
「ああ言わないとあの子は傷付いた。それだけだ」
「じゃあ、嘘は認めるのね」
「誰とも付き合う気がないのは本当だ」
「そ。あの子は貴方の偽善だろうが好きになった。想いは真実のはずよ? それを貴方は嘘で汚した。女の敵ね」
彼女の言うことが図星のせいなのか、苛立ちが湧いて出る。ダメなのに、いつもなら怒りを声に乗せないのに彼女には言わないと気が済まない。
「じゃあ、本当のことを言えば良かったのか? あの子は酷く傷付くはずだ。そして、酷く傷付くと人は愚痴を漏らす。それは悪い噂に繋がる」
「じゃあ、噂が無ければあの子は傷付けていたのね」
「違うっ!!!! 君とは話にならない! もういい」
これ以上、彼女と声を荒げて話していては人に気付かれる。僕のこんな姿は見せられない。
「次は誰に告白されて、どんな優しさを見せてくれるのかしら。ここで待っているわ」
その言葉は魔法の様で、僕は頼まれごとを度々断るようになり、見て見ぬフリもした。最初は罪悪感や人に嫌われる恐怖があったが、以前よりは気を張らなくていいせいか心身が軽く感じる。彼女のおかげだ。
「優しい貴方が私に何の用かしら?」
「相変わらず意地悪だな。良かったら付き合わないか? 本当の優しさを見せれそうなのは君しかいないと思う」
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