ヲタクでも、恋して良いですか?

祝木田 吉可

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衝動-しょうどう-

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「いただきますー。」
玲子はパスタを一口食べると白ワインを一口飲んだ。
「この和風パスタ、白ワインに合うね。美味しい♪」
「そう?良かった。ありがとう。」
玲子は寿郎の作ったパスタを美味しそうに頬張る。寿郎は美味しそうに食べる玲子を見つめる。
「寿郎さん?どうしたの?」
「いやぁ。美味しそうに食べてくれてるなぁって。」
「だって、本当に美味しいんだもん。」
玲子はパスタソースを頬にくっ付けて言った。寿郎は玲子の頬に付いたソースをティッシュでそっと拭き取った。
「そうやって美味しそうに食べてくれると作りがいもあるよ。だんだん。」
そう言うと寿郎は玲子の頭をポンポンと軽く叩いた。すると玲子の頬が急に紅潮した。
「改まって言われると恥ずかしい。それに頭ポンポンも急だったからビックリしちゃった。」
「あっ…ごめん…」
その瞬間、寿郎の頬も紅潮した。

二人の間に無音の空間が形成されていく。幾分か二人は頬を紅潮させたままモジモジと体を動かしていた。
「ねぇ。…寿郎さん…。」
「…な、何…?」
「…もう一回、頭ポンポンして…ほしいな。」
「…僕で、良いの…?」
「…寿郎さんだから、…してほしいの。ダメ…?」
「…じゃあ…」
寿郎はもう一度、玲子の頭をポンポンとした。玲子は至福の時間を堪能するように蕩けた表情を晒した。
「…これで、良いかな?」
寿郎は軽くポンポンとすると玲子の頭から手を離した。

すると玲子から甘えた声で言い寄ってきた。
「もう止めちゃうの~?もっとして~。」
「これ位で勘弁して。僕、こういうの苦手でどうしていいのか分からなくて。」
「えぇー。じゃあ、そっち行っていい?」
「へっ?」
寿郎が呆気にとられてる間に玲子は寿郎に近づくと寿郎の膝の上に座った。
「ねぇ。ギュッてして。」
「えっ?」
不意なことに寿郎は困惑した。
「どうしたの?」
玲子は上目遣いで寿郎の方へ振り返ると寿郎の手を持ち自分の方へと持っていった。
「あったかい…」
「……。」
寿郎は返事に困った。

再び沈黙の空間が二人を包み込む。
「ごめん。ちょっとトイレ行ってもいい?」
玲子は「うん。」と頷き寿郎の膝から離れた。寿郎はトイレに行くことで少し時間を作ろうと思った。

寿郎がトイレから戻ると玲子は待っていたかのように両手を広げていた。
「お待たせ。」
「寿郎さん、遅い~。」
そう言うと玲子は寿郎の手を引っ張り自分の元へと引き寄せて寿郎さんを抱擁した。
玲子から感じる甘いバニラの匂いが寿郎の理性を惑わしていく。お酒のせいもあり玲子の顔が紅潮している様が艶めかしくその事がより一層寿郎を惑わせる。


「ねぇ~。ごっつんこして~。」
「えっ?…」
玲子は返事を待たず寿郎の顔を引き寄せると額を合わせた。寿郎は、されるがままの状態となり額が重なったその瞬間、一気に沸点に達したように紅潮した。

照れというか恥ずかしいというか、そういう色んな感情が渋滞してしまっていた。
「やっぱりこうしてると落ち着くなー。ねぇ、なんでだと思う?」


(何、コレ!?試されてるのか!?)


そんな事が寿郎の頭を光速に過ぎった。
「なんでだろう?」
寿郎はわざとに聞き返した。
「寿郎さん、だからだよ。」
玲子はそういうと甘い笑顔でニコッと笑ってみせた。

その笑顔は何かこちらに語りかけてるように見える。寿郎はその何かを読み取ろうとしたが、その何かが全く読めない。

どうしていいのか分からなかった。
寿郎は慌てた様子で部屋を見渡した。
時計は日付を回って2時を過ぎていた。

「…ねえ。そろそろ寝ない?」
「えー、私未だ眠くないよー。」
「でも、もう2時過ぎちゃってるし…」
「明日休みなんだし、もうちょっと良いよね。もう少しこうしてたいの。」
「寝る場所確保するからちょっと待ってて。」


寿郎が立ち上がり簡易ベッドを用意しようとすると玲子は寿郎の服を掴み取る。
「ベッドならここにあるから出さなくても良いよ。」
寿郎は玲子の言葉に動揺を隠せない。
「で、で、でも、それだと狭いでしょ?」
「それで良いの。寿郎さん、私とじゃ嫌?」
玲子は涙を潤ませながら上目遣いで言った。
「…そういうわけじゃないけど…」
寿郎がそういうと玲子はまた一つニコッと笑ってみせると強く寿郎を引き寄せた。
「じゃあ、一緒に。ねっ♪」
寿郎はゆっくりと首を縦に振ることしか出来なかった。

寿郎のベッドの端に玲子と二人が並んで座る。時間的には寝なきゃいけないのは重々承知はしているが寿郎の体は少しずつ火照りだしたと同時に閉じりかけた眼が閉じらなくなってしまった。

とりあえず寿郎は壁に体を向けて横になった。その横で玲子は仰向けになった。


(これでゆっくりと寝てられる。)


寿郎がそんな事を思って安堵したのもほんのつかの間だった。

しばらくして玲子は寝返りで体を動かすと寿郎にぴったりとくっ付いて腕を回すとそのまま寿郎をホールドしていた。
その瞬間、寿郎の体が反応して眠たいはずだった眼もすっかりと覚醒してしまい眠れなくなってしまった。

隣にいる玲子には気付かれまいとそのまま動かないで何とかやり過ごそうと思ったが不意に尿意がやって来くると、起こさないようにそっと玲子の手を避けると玲子がそれに気付いた。


「寿郎さん、どこ行くの?」
「ちょっと、トイレ…」
「本当に?」
玲子は疑りの目で寿郎を見つめてきた。
「本当だって。」
「直ぐ戻ってきてよね。」
「分かった。」

寿郎はトイレへと駆け込む。
用を済ませ、フーッと一呼吸入れて玲子の元へと戻った。トイレから戻ると玲子が満面の笑みを浮かべて待っていた。

「遅いよー。」
「ごめん。急いだつもりだったんだけど。」
「でも良かった。どっか行っちゃうんじゃないかって心配しちゃった。」
「どこも行かないから安心して。」

寿郎の言葉に玲子はクシャクシャにした笑顔で大きく「うん!」と頷いた。
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