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キレイな人
04.*
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橘のその気が削がれないうちにと、いつものように片手で袋を噛んで開けて素早くゴムを着用すれば、橘が腕の隙間から僕を変な顔で見ていた。
「なに?」
『……ほん、とに、もってる、し』
「言ったじゃないか、持ってるよって」
この7年間で、僕は橘にカッコ悪いところ見せたくなくて、避妊具だってスムーズにつけられるよう家で練習していた。
上手に袋を歯で噛み切るのだって、もう見なくてもできる。
全ては練習の賜物だ。
橘のために日々カバンの中に入れて持ち歩いているけれど、橘が用意してくれたもので繋がりたくてこの前はそれを使った……そう、彼の家で。
この人が、僕に抱かれるためだけに、避妊具を自室の棚に仕舞っているという事実に、酷く興奮した。
『……ばぁか』
それなのにどうして、今のでどうして橘の機嫌を損ねてしまったのかが、本気でわからない。大方、用意のよすぎる僕に呆れているのだろう。
どんだけ性欲強いんだよ、おまえって。
「橘」
違うよ。それぐらい僕は君を欲しているんだよ。
そんな想いも込めて、片手をついて橘の顔を上から覗き込む。
「今から君の中に、入ってもいいだろうか」
今日はずいぶんと、ぎゅっと横に引かれた橘の唇が震えるな。
『……いちいち、聞くな、よ。そんなこと。なんだよ……準備万端のくせにさ』
「いちいち聞かないと、君は納得しないだろう?」
『そんな、こと……ねぇもん』
クソ、と舌打ちしそうになる。いろんな意味で。そんなぶすくれた顔で、横を向いてぼそぼそと、「もん」なんて語尾につけないでほしい。
小声というのがまたずるい。
「……僕のは君よりもはるかに大きいから、君の心の準備も必要かと思ってね」
『んな……お、同じぐらいだろ! ぜんぜん、へーきだしっ』
「それ本気で言ってるの? どこをどうみたらそんな希望的観測が出てくるんだよ」
その発言には少々僕の気分も下がった。自慢じゃないが僕のは父のよりも大きいんだぞ。小学校の頃でさえ、医者に四度見されたぐらいだ。
見たことがないので知らないが、たぶん君の兄よりも。そして、君の友達の誰よりも。
君の長い長い子宮口までの広い道は、僕のが一番ぴったり納まる。
僕以外では、君を満足させてやれないはずだ。
「君だっていつもひィひィ言わされてるじゃないか……僕のにね。今は、別に発情しているわけじゃないんだ。上手に飲み込めなければ辛いのは君だよ。だから聞いてるんだ」
橘はしばらく唖然と口を開けたり閉めたりしてから、悔しそうにぼそぼそと呟いた。
『この野郎……おまえのが、でかすぎてグロいんだよ……なんだよそのタマ、ぶらぶらしやがって』
いやグロいって、タマって。豚みてぇ……なんて続けられて情緒をブチ壊しにされたらたまらないので(前に一度あった)、一息に告げる。
「──なんとでも言え。君が苦しくないタイミングで入れた方がいい。僕は、合わせるから」
橘はむぅ、と唇を尖らせると、ついに意を決したように腕を外して、自分でそろそろと腿を持ち上げて、臀部を上に向けてかぱりと足を開いてくれた。
橘の震える指が、薄茶色の茂みをそろりと通り抜け、汗ばんだ産毛が張り付く肌を下に下に、移動していく。
『こ、こ……』
そうして僕を受け入れやすいように、くぷ、と中指と薬指でとろけきった窄まりを押し広げて。
『い……いれろ、よ……ここに、はやく。おまえの、その……ぶっといの』
ぶっといの、のあたりは尻切れトンボのようにか細くなったが、やはり僕にはしっかり聞こえた──そんな誘い方一体どこで覚えてきたんだ。質の悪い男だな本当に。
売り言葉に買い言葉だろうが、脳髄がぐらりと茹り、沸く。
「なに?」
『……ほん、とに、もってる、し』
「言ったじゃないか、持ってるよって」
この7年間で、僕は橘にカッコ悪いところ見せたくなくて、避妊具だってスムーズにつけられるよう家で練習していた。
上手に袋を歯で噛み切るのだって、もう見なくてもできる。
全ては練習の賜物だ。
橘のために日々カバンの中に入れて持ち歩いているけれど、橘が用意してくれたもので繋がりたくてこの前はそれを使った……そう、彼の家で。
この人が、僕に抱かれるためだけに、避妊具を自室の棚に仕舞っているという事実に、酷く興奮した。
『……ばぁか』
それなのにどうして、今のでどうして橘の機嫌を損ねてしまったのかが、本気でわからない。大方、用意のよすぎる僕に呆れているのだろう。
どんだけ性欲強いんだよ、おまえって。
「橘」
違うよ。それぐらい僕は君を欲しているんだよ。
そんな想いも込めて、片手をついて橘の顔を上から覗き込む。
「今から君の中に、入ってもいいだろうか」
今日はずいぶんと、ぎゅっと横に引かれた橘の唇が震えるな。
『……いちいち、聞くな、よ。そんなこと。なんだよ……準備万端のくせにさ』
「いちいち聞かないと、君は納得しないだろう?」
『そんな、こと……ねぇもん』
クソ、と舌打ちしそうになる。いろんな意味で。そんなぶすくれた顔で、横を向いてぼそぼそと、「もん」なんて語尾につけないでほしい。
小声というのがまたずるい。
「……僕のは君よりもはるかに大きいから、君の心の準備も必要かと思ってね」
『んな……お、同じぐらいだろ! ぜんぜん、へーきだしっ』
「それ本気で言ってるの? どこをどうみたらそんな希望的観測が出てくるんだよ」
その発言には少々僕の気分も下がった。自慢じゃないが僕のは父のよりも大きいんだぞ。小学校の頃でさえ、医者に四度見されたぐらいだ。
見たことがないので知らないが、たぶん君の兄よりも。そして、君の友達の誰よりも。
君の長い長い子宮口までの広い道は、僕のが一番ぴったり納まる。
僕以外では、君を満足させてやれないはずだ。
「君だっていつもひィひィ言わされてるじゃないか……僕のにね。今は、別に発情しているわけじゃないんだ。上手に飲み込めなければ辛いのは君だよ。だから聞いてるんだ」
橘はしばらく唖然と口を開けたり閉めたりしてから、悔しそうにぼそぼそと呟いた。
『この野郎……おまえのが、でかすぎてグロいんだよ……なんだよそのタマ、ぶらぶらしやがって』
いやグロいって、タマって。豚みてぇ……なんて続けられて情緒をブチ壊しにされたらたまらないので(前に一度あった)、一息に告げる。
「──なんとでも言え。君が苦しくないタイミングで入れた方がいい。僕は、合わせるから」
橘はむぅ、と唇を尖らせると、ついに意を決したように腕を外して、自分でそろそろと腿を持ち上げて、臀部を上に向けてかぱりと足を開いてくれた。
橘の震える指が、薄茶色の茂みをそろりと通り抜け、汗ばんだ産毛が張り付く肌を下に下に、移動していく。
『こ、こ……』
そうして僕を受け入れやすいように、くぷ、と中指と薬指でとろけきった窄まりを押し広げて。
『い……いれろ、よ……ここに、はやく。おまえの、その……ぶっといの』
ぶっといの、のあたりは尻切れトンボのようにか細くなったが、やはり僕にはしっかり聞こえた──そんな誘い方一体どこで覚えてきたんだ。質の悪い男だな本当に。
売り言葉に買い言葉だろうが、脳髄がぐらりと茹り、沸く。
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