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キレイな人
05.*
しおりを挟む形のいい橘の指に当たるように、下から昂ぶりをスライドさせる。『あ……』と橘が喉仏をか細く震わせた。ひくひくと収縮を繰り返すそこに、ぴったりと宛がう。
僕の太くて赤黒い先端の形に、ぐじゅんとへこんだ窄まり。
橘の足裏を今度は僕が支えて、ぐいっと上まで伸ばしてでんぐり返しのように開かせる。
これでもう、どこにも逃げ場はない。
どうしたらいいのかと、橘の視線が縋る場所を求めるように迷った。
「橘」
名を呼べば、橘の視線が僕に、定まった。
「僕を、見てろ」
橘の唇は、「……う、ん」と動いたのだと思う。
互いに視線を重ねたまま、その瞬間まで、言葉はほとんどなかった。
『……あ、ぁああ──、は……ッ、く、ぁ』
ひと思いに腰を進めると、ずぶずぶと半分まで入った。橘が伸ばしていた身体をくの字に折り曲げ、僕の長くて太い剛直を受け入れようと、ぶるぶると肩で息を吐いた。
かふ、と喉の奥が詰まる音。一度止めると橘もキツイだろう。
なので慣らしてやるため、腰をじっくりと回しながら下へ、下へと沈めていく。
『……ひ、ぁ、ん』
板を爪で引っ掻いていた橘が、縋るように宙に腕を伸ばしてきた。そんな彼にしっかりと覆いかぶさり、腕を巻き付けやすいように頭を落としてやる。
誘導した通り、背中に細い腕が回ってきた。
それをいいことに、僕の方から橘を抱きしめた。肩と首のあたりに顔を埋め、すう、と橘の匂いを肺いっぱいまで堪能する。いつもと同じ香水の中に汗の匂いが強く漂い、橘本来の香りに、上乗せされる。
目を閉じる。いい香りだった。このまま死ぬまで嗅いでいたい。
『ァッ……あ──ッ』
橘という重力に引き寄せられるように、真上から、最奥部の手前まで行きついた。たんっと、僕の恥骨が橘の臀部に当たる。橘がぱっと口を大きく開け、のけ反った。
はみ出た八重歯の先をぺろりと舐め、浴衣の上でごわごわとくねる身体を落ち着かせるため、少し力を込めて拘束する。
今の橘には、この行動が一番効く。
これまで通り、しばらくすると橘の息も落ち着いてきた。
「……痛い?」
彼の中はよく絡みついてきた。
まるで僕に食われるのを、今か今かと待ちわびていたかのように。
だから頑張ればもう少しいけそうだけれど、今は駄目だ。ここから先は時間をかけてかき回してほぐしあげてからじゃないと、橘の痛みが尾を引いて、2日間ぐらいは残ってしまう。
腰を軽く揺らすたび、濡れた音がひっきりなしに漏れるくらいになっているとは言え、繋がった下肢は酷く重たそうに見えた。
『ン……たく、ね……ぇ、って、いってんじゃん』
「そう、よかった」
ぎゅうっと、橘の肩の下に腕を差し込んで、抱え込むように抱きしめる。
よかった、本当に。
始めての時と同じ轍を踏まないよう、橘の中のカタチは全て覚えた。薄い色の内壁も、色が濃い箇所があることも。蜜の味が一等甘い場所も、少ししょっぱいところも、苦くなってしまうところも。
軽めの匂いも、深すぎる奥の匂いも。
どこをどうすればナカが伸びるか、どの角度からどう擦って突けば柔らかくなるかなど、全てだ。
僕は知っている。彼を抱くたびに、一つずつ覚えてきた。
そのためにこの7年間、自制して自制して、君との関係を続けてきたんだ。
『まえ、は』
「──え?」
『痛く、ねぇ……?』
そんなことを言ってくれる橘に、たまらない気持ちになる。橘の明るい前髪をするりと透いてやれば、すっかり汗でべたついていた。
橘が、心地よさそうに目を細めてくれた。
君のそんな顔を見れただけで、僕は。
「ああ──気持ちがいいよ。これまでで、一番」
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