月に泣く

宝楓カチカ🌹

文字の大きさ
59 / 142
前篇

29.無自覚(1)*

しおりを挟む
 



「はあ……何回出してもたまらないねぇ。気持ちよかったよ、ありがとうね坊や」

 散々出してスッキリしたのか、それとも興味を失ったのか、マティアスはリョウヤから肉の杭をぶちゅんと引き抜くとさっさと背を向けて、アレクシスに向かってニコリと微笑んできた。
 自慢の艶やかな髪を梳きながら、どう? と得意げに指差されたリョウヤの股の間は、散々な有様だ。浜辺に打ち捨てられた水死体のようなそれは、まさに虫の息と言っても過言ではなかった。
 腹や胸に飛び散っている体液の量も尋常ではないし、アルコホルの香りが独特な青臭さと混じってぷんと臭う。
 口の端から零れている白濁は、飲みきれなかったものだろうか。う……と引き攣けを起こしては吐き戻すような仕草を見せているあたり、胃の中にも散々吐き出されたらしい。
 酷使され続けた穴はどちらも腫れあがっていて、上の穴からは血交じりの体液が、そして下の孔は引き抜かれたことで杭を失い、濁った白濁がごぽりと流れていた。
 シーツはもう茶色く染み付いてぐちゃぐちゃで、だいぶ手酷くやられたことは明らかだった。
 だがしかし、そんなことよりも。

「……どう、じゃない。喘ぎ声がうるさい。随分と汚してくれたな」
「徹底的にやれっていったのはおまえじゃないか。壊してもよかったんだろう?」

 確かにそうは言ったが。
 しかもよく見れば、リョウヤの両手の枷はベッドヘッドから外されているではないか。

「胎は、壊れていないな?」
「もちろんだとも。まあ、心はちょっと壊れちゃったかもしれないけどねぇ」

 自分の声が耳朶に反響して、煩い。マティアスではなく、赤い唇から溢れる白から目が離せない。リョウヤは、両腕を自由にしてもらっていたというのに、ろくな抵抗もせずマティアスに貫かれ続けたのか。
 アレクシスは、ベラを抱いている間もリョウヤのことがちらついて、あまり集中できなかったというのに、こいつはそんなこともなく、あんあん馬鹿みたいに喘ぎながらマティアスを受け入れていたというわけか──そうか。
 指に自然と力が入り、きし、と手にしたグラスが軋む。

「……随分と、これが気に入ったようだな」
「ホントだよ! まさかこんなにイイだなんて知らなかったね。いやぁ、22年間損して生きてきたなぁ。おまえの言う通り、これじゃあ娼館通いも厳しくなるわけだ、納得したよ」

 よっぽどいい思いをしたのか、ペラペラペラペラと、マティアスの口は止まらない。

「だいぶイカせてあげたし仕込んじゃったよ。ドライオーガズムもオーラルセックスも、おねだりの仕方も、ね。ちなみに舌の使い方も喉で絞るやり方もしっかり覚えさせたから、上手にしゃぶれると思うよ。下しか使わないのはもったいないからね。おまえも時々試してみるといい」
「口で、ね。噛まれなかったのか、おまえ」
「ああ、まあね──……」

 さっさと服を着始めたマティアスと目が合った瞬間、怪訝そうな顔をされた。
 
「……アレクシス?」
「なんだ」
「君、その顔」

 顔? 意味がわからなくて頬に手を当ててみるが、何もおかしなところはない。

「なにかあるか」
「いや」

 マティアスがしばらく思案するように目を細め、直ぐに何かを思いついたのか、笑みを深めた。

「……坊やさ、最初から最後までだいぶ従順だったんだよねぇ」
「そうか」
「あれ、もしかして信じてないのかな? じゃあトクベツに見せてあげよう」

 マティアスが再びベッドの上に乗り上げ、リョウヤの顔を跨ぎ髪をひっつかんだ。まだしまい込んでいなかった垂れた陰茎を、微動だにしないリョウヤの唇にぐにっと押し付ける。
 
「はーい坊や、教えた通りにキレイにしてくれるかな……?」
 
 
しおりを挟む
感想 41

あなたにおすすめの小説

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

灰かぶりの少年

うどん
BL
大きなお屋敷に仕える一人の少年。 とても美しい美貌の持ち主だが忌み嫌われ毎日被虐的な扱いをされるのであった・・・。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる

結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。 冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。 憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。 誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。 鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。

魔王に飼われる勇者

たみしげ
BL
BLすけべ小説です。 敵の屋敷に攻め込んだ勇者が逆に捕まって淫紋を刻まれて飼われる話です。

完成した犬は新たな地獄が待つ飼育部屋へと連れ戻される

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

処理中です...