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前篇
唇の味(3)*
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愛人との逢瀬を堪能した夕暮れ時、アレクシスは帰宅した。
そろそろマティアスも遊び尽くしただろうと思っていたのだが、使用人たちの表情は重い。
そして、別室の扉を開けた瞬間。性に満ちた淫猥な匂いが漂ってきて鼻が曲がりそうになった。窓から差し込んだ茜色の光りが、未だに激しく軋み続けている濡れたベッドに差し込んでいる。
音を立てて扉を開けたアレクシスに気付いているだろうに、マティアスは振り返らない。ずちゅん、ぬじゅ、じゅく、と陰惨な挿入音を立てながらリョウヤを味わうことに夢中だ。
あのマティアスが一心不乱に腰を振っているということは、よっぽど具合がいいに違いない。
「なんだ、まだ終わってなかったのか」
「あ、おかえりアレクシス。まだ途中だからさ、最後に1回出してもいいかな?」
「……好きにしろ」
「ふふ、感謝するよ」
壁際に控えていた使用人たちに外に出るよう指示し、ベッドに近づき、丁度、マティアスのそれが深々と突き刺さっている部分がよく見える椅子に腰を下ろした。
細い足が、マティアスの肩に乗り上げ大きく開かれた状態でゆらゆら揺れている。臀部が薄っすらと赤くなっていて、しかもよく見れば手形だった。尻に執着していたマティアスらしいことである。
眼前で繰り広げられる情交を冷めた目で眺めながら、残っていたウィスキーをボトルからグラスに注ぎ、氷を入れる。
「坊や、君のご主人様が帰ってきたよ? 繋がってるところ見てもらおうね」
「ゃ……、あっ、ぁ……う」
途切れ途切れの悲鳴に驚いた、これだけめちゃくちゃにされてもなお意識を保っていられるということは、やはり体力はかなりあるのだろう。
リョウヤの膨れ上がった膣に、マティアスの太い男根が根本まで突き入れられては、じゅぶぶっと周囲の肉を巻き添えにしながら引き抜かれる。再度ばちゅん! と叩きつけられられると、リョウヤの開ききった後孔も痙攣し、そこから白濁液がとろとろと溢れ出していた。
そこも、たっぷりと貫かれたようだ。
ここから見ると、上下に腰を振りまくるマティアスは大層間抜けに見えたが、本人はそんなものに頓着するような性格ではない。
アレクシスが去ってから数刻。もはやリョウヤは、マティアスが射精するためだけの性欲処理の穴と成り果てていた。だが別に何も思わない。これが稀人の正しい使い方というものだ。
「ほらほら坊や、ここを斜めに突かれるとキモチイイだろう?」
「はっ、はぁっ……ぁ、そ、こぉ、きも、……ち、ひ、ぅ、うぅッ」
グラスをあおろうとしていた手が、止まった。耳を疑う。今この稀人はなんと言ったのか。
「ふふ、すごいねぇ、もうこんなにゆるゆるなのに、まだ搾り取られそうだ。あー……そろそろイキそ。坊や、君のぐちゃぐちゃになった中に、白いのたっぷり出してあげるから……いいね?」
「い、いい、いいっ……ぁ、ァあッ、だし、て、白いの、出して、だしてぇ……ッ」
「かわいいねぇ、中もこんなに震えて」
「ひ、ひぃ、ぐっ……ぅ、きも、ち……ぎもちいぃよッ、ぉお……」
「うんうん、わかった。あーすっご……びくびくしてる。やっぱり私も稀人一匹欲しいなぁ。アレクシス、これどこで買ったんだい?」
すぐには、返答できなかった。
「アレクシス?」
「……フォルクス広場の一角。貧民街の裏の裏だ」
「へえ、あそこまで行ったんだ。けっこう……ん、遠いねぇ……あ、出るわ」
マティアスの腰使いが速くなった。リョウヤに深く覆いかぶさり、ごちゅごちゅと角度を右、左に変えて、膣癖をあらゆる角度から突き上げながら絶頂へと向かう。
「はぁ、はっ……あーヤバ、いく、いく、出る、出、っ……!」
マティアスが勢いよく昂ぶりをずるんっと引き抜いた。てっきり腹の上にでも吐精するのかと思っていたのだが、彼がばちゅんと根本まで挿入したのは、ひくついている後孔だった。
膣に吐精するなという命令は律儀に守っているようだが、そこをそう使うとは。くっと押し殺された声と、マティアスの臀部がぎゅうっと中心に向かって引き締まったことで、この瞬間吐き出していることを知る。
「ひィっ……ぐぅ、ァ……か、は」
「っ、あ──……、ホントすごい……わかる? 坊や、まだ出てるよ……」
「……わ、かる、ぅ……ぁ、すご、ぉい、あん、ァッ……!」
マティスの首にぎっちりとしがみ付くか細い腕から、目が逸らせない。
「何が出てるの? ほら、言ってごらん」
「ぁっ、せ、えき……まてぃ、あしゅの、せぇ、え……きぃ、は、ぁァ……」
聞いたこともないような、性に乱れた呂律の回らない声。
「そうそう、いい子だね。どこに、私の精液が出てるのかな……?」
「ま、こぉ……おれ、の、ぉ、まんこの、ぉ……おくぅ……っ」
これでもかと足を開いて、淫らな単語を、惜しげもなく。
「うんうん、もっとほしい?」
「……っ、ほ、し……せーえき、もっと、いっぱい……ッ」
「わかった。じゃあさっきみたいにちゃんと絞ってね……──そら!」
「ぁ、あァあッ……ぐ、わ、わか、ひゃ……し、ぼ……しぼ、る、しぼ、っへ、る……、ぅっぁ、あ、ぐ」
しかもリョウヤは腕だけでは足らなかったのか、痙攣する足をマティアスの腰に絡めた。まるで、中に出される喜びに打ち震えているかのように。
「あー……出した出した。ほら、舌吸ってあげるからあーんして」
「あ、ぁん」
自ら口を開いたリョウヤの唇を、マティアスが貪る。絡み合う舌と舌を、酒を飲むでもなくただ見つめる。
「私の唾液、おいしい?」
「ぁ……おい、ひ」
「そうそう、いい子だね……もっかいキスしてあげる」
「んっ……ふ、ぁ」
ようやくマティアスの臀部が弛緩し、唇を離したリョウヤの荒い息だけが部屋に充満した。
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