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第29話 光と闇
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「おかしい、絶対におかしいわ」
おかしいのはリンネ、お前のその小さな体のどこに、ショートケーキが収まっていくのかの方がよっぽどおかしいことだぞ。それよりもおかしい事がこの世界にあるのだろうか。
自分より大きなショートケーキにかぶりつきながら絶叫している妖精リンネを見ながら俺はそう思った。
「何がそんなにおかしいんだ?」
「おかしいのよ。あの大悪魔の系譜に連なる上級悪魔のサタンがこの世界に召喚されたことよ」
「そうなのか? カノン進行の音色に惹かれて召喚されたんだろう?」
「あの上級悪魔がそんなことで召喚されるとは思わないのよ。まして一人の人間に協力するなんて………」
「でも実際に召喚されたわけだし。闇魔法が使えるようになったわけだし。おかげですごい便利な魔法が使えるようになったんだ」
ファンタジー世界では必須といえる収納魔法を手に入れることができたのだ。サタン様様である。
「上級悪魔の召喚には土竜、炎竜、水竜、氷竜、雷竜、光竜、闇竜の心臓を生贄として捧げなければならないはずなのに、そんな音楽なんかで呼ぶことができるなんて何かがおかしいわ………はっ!! わかったわ!! この名探偵リンネ様は今ピーンと来てしまったわ。謎は全てとけたわ!!」
名探偵? 迷探偵の間違いだろう。
「一応聞こうか?」
「あなたが喜んでいる収納闇魔法【ブラックホール】には罠が仕掛けられているわ。間違いないわ!!」
「罠? どんな罠だ?」
「そこに収納したものはあなたしか取り出せないと思っているかもしれないけれど、実際はサタンも取り出すことができるのよ」
「えっ? 何だって!!」
「あなたが使った闇魔法はサタンにもコントロールできるはずだわ。私があなたの光魔法をコントロールできるようにね。つまり、信用を積み重ねたあとに、収納しているものをごっそりと奪おうとしているのよ。そうに違いないわ」
何と。俺の収納魔法は収納したものが無くなる可能性のある欠陥魔法であるということか。
「でも全部を入れてなければ大丈夫じゃないか?」
「そうね。気付いた私に感謝しなさい。何もかも入れるという愚行をおこなわなければ大丈夫なはずよ………はっ!!あなた、もしかしてスイーツなんかも全部収納しているんじゃあないでしょうね?」
「時間が止まって腐らないらしいし、全部入れているけど………」
食べ物を収納魔法に入れておくのはファンタジー世界の基本中の基本だ。
「それよ!! 上級悪魔サタンの狙いは私のスイーツが狙いなんだわ。全てのピースが今はまったわ。そうはさせないんだから。今すぐ全部出すのよ。取られる前に全部私が頂くわ」
いや、全部がお前用のスイーツではない。俺が食べたいときにいつでも食べれるようにいくつか収納しているのだ。俺にしてみれば、スイーツが少なくなってもあまり気にはならない。
「スイーツなんて狙ってるかな? 勘違いなんじゃないか?」
「何言ってるのよ!! 私のスイーツの危機なのよ。もっと危機感を持ちなさい。ある意味これは世界の危機といっても過言ではないわ」
「何でリンネのスイーツが取られたら世界の危機になるんだ?」
「あなたの足りない脳みそでよく考えてみなさい。私のスイーツが無くなれば、私は闇落ちしてしまうに違いないわ。そうすれば、あなたにどんな影響がでるか………間違って【アトミックフォトンボム】が暴発して一つの都市が壊滅してしまうなんてことも考えられるわ」
おいおい、なんて危険な妖精なんだ。そんな事で闇落ちして都市が壊滅してしまうなんて、悪魔より怖い存在じゃあないか。
俺はしぶしぶプリン2つとショートケーキを1つを取り出す。まだあるが、リンネには分からないだろう。
「うひょー。こんなにも食べれるなんて幸せだわー。もぐもぐ。ここは極楽浄土だわー」
すごい勢いでスイーツを食べるリンネはまだスイーツがある事に気付いていないようである。良かった。
こうして今日も俺は世界の平和を守ったのだった………
おかしいのはリンネ、お前のその小さな体のどこに、ショートケーキが収まっていくのかの方がよっぽどおかしいことだぞ。それよりもおかしい事がこの世界にあるのだろうか。
自分より大きなショートケーキにかぶりつきながら絶叫している妖精リンネを見ながら俺はそう思った。
「何がそんなにおかしいんだ?」
「おかしいのよ。あの大悪魔の系譜に連なる上級悪魔のサタンがこの世界に召喚されたことよ」
「そうなのか? カノン進行の音色に惹かれて召喚されたんだろう?」
「あの上級悪魔がそんなことで召喚されるとは思わないのよ。まして一人の人間に協力するなんて………」
「でも実際に召喚されたわけだし。闇魔法が使えるようになったわけだし。おかげですごい便利な魔法が使えるようになったんだ」
ファンタジー世界では必須といえる収納魔法を手に入れることができたのだ。サタン様様である。
「上級悪魔の召喚には土竜、炎竜、水竜、氷竜、雷竜、光竜、闇竜の心臓を生贄として捧げなければならないはずなのに、そんな音楽なんかで呼ぶことができるなんて何かがおかしいわ………はっ!! わかったわ!! この名探偵リンネ様は今ピーンと来てしまったわ。謎は全てとけたわ!!」
名探偵? 迷探偵の間違いだろう。
「一応聞こうか?」
「あなたが喜んでいる収納闇魔法【ブラックホール】には罠が仕掛けられているわ。間違いないわ!!」
「罠? どんな罠だ?」
「そこに収納したものはあなたしか取り出せないと思っているかもしれないけれど、実際はサタンも取り出すことができるのよ」
「えっ? 何だって!!」
「あなたが使った闇魔法はサタンにもコントロールできるはずだわ。私があなたの光魔法をコントロールできるようにね。つまり、信用を積み重ねたあとに、収納しているものをごっそりと奪おうとしているのよ。そうに違いないわ」
何と。俺の収納魔法は収納したものが無くなる可能性のある欠陥魔法であるということか。
「でも全部を入れてなければ大丈夫じゃないか?」
「そうね。気付いた私に感謝しなさい。何もかも入れるという愚行をおこなわなければ大丈夫なはずよ………はっ!!あなた、もしかしてスイーツなんかも全部収納しているんじゃあないでしょうね?」
「時間が止まって腐らないらしいし、全部入れているけど………」
食べ物を収納魔法に入れておくのはファンタジー世界の基本中の基本だ。
「それよ!! 上級悪魔サタンの狙いは私のスイーツが狙いなんだわ。全てのピースが今はまったわ。そうはさせないんだから。今すぐ全部出すのよ。取られる前に全部私が頂くわ」
いや、全部がお前用のスイーツではない。俺が食べたいときにいつでも食べれるようにいくつか収納しているのだ。俺にしてみれば、スイーツが少なくなってもあまり気にはならない。
「スイーツなんて狙ってるかな? 勘違いなんじゃないか?」
「何言ってるのよ!! 私のスイーツの危機なのよ。もっと危機感を持ちなさい。ある意味これは世界の危機といっても過言ではないわ」
「何でリンネのスイーツが取られたら世界の危機になるんだ?」
「あなたの足りない脳みそでよく考えてみなさい。私のスイーツが無くなれば、私は闇落ちしてしまうに違いないわ。そうすれば、あなたにどんな影響がでるか………間違って【アトミックフォトンボム】が暴発して一つの都市が壊滅してしまうなんてことも考えられるわ」
おいおい、なんて危険な妖精なんだ。そんな事で闇落ちして都市が壊滅してしまうなんて、悪魔より怖い存在じゃあないか。
俺はしぶしぶプリン2つとショートケーキを1つを取り出す。まだあるが、リンネには分からないだろう。
「うひょー。こんなにも食べれるなんて幸せだわー。もぐもぐ。ここは極楽浄土だわー」
すごい勢いでスイーツを食べるリンネはまだスイーツがある事に気付いていないようである。良かった。
こうして今日も俺は世界の平和を守ったのだった………
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