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新月の夜
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いつの間にか那月はウトウトしていた。
部屋の明かりは消されていて、気が付いたら布団の中で寝ていた。
布団に入った記憶はないけれど、いつのも習慣で無意識に行動したのだろう。
祖母の夢を見ていた。
(いまもまだこの家にいて、普通に生活をしているような気になるんだよな)
いつでもそばにいてくれた祖母。厳しくて、そして優しいかった。
もう会えないとわかっているはずなのに、心がまだ納得していない。時間が経てば自然と馴染むのかもしれない。
那月はため息を吐き出す。
やりきれない思い、環境の変化、友人のやさしさ。それら全てがどうしていいのか分からなくて、内心は混乱していた。
暗闇の中からふいに、猫の鳴き声がする。
遠くから聞こえるような……いや、すぐそばの耳元にいるような気もする。
那月の背筋がゾクリとした。
その気配は昼間よりずっと増していて、いつもより部屋は暗い。その暗闇の中でもぞりと何かが動く。
徐々に形を成していくそれは、最初小さな黒猫の姿をして……それから人のような形に変異していった。
黒い短い髪の毛の小さな少年が、尾を揺らして那月の枕元に立ち見下ろしている。
(猫のあやかし?)
黒い髪に黒い目、黒い服に身を包んでいる。猫の耳と尾と、鋭い爪。目は猫のように獲物を狙う目をしている。
少年のような細い体は、猫のようにしなやかに見えた。
那月の本能が、危険を知らせる。早く逃げろと。
(どこに逃げれば……いや、この部屋を出たら母になにかがあるかもしれない)
せっかく家族になってくれた母と義父に、心配や迷惑をかけたくなかった。
二階のこの部屋はベランダはない。屋根を歩けば出られるかもしれないが、この状況でそれをするのはとても危険だ。
(あきらめるな、考えろ。何かあるはずだ)
自分に言い聞かせるようにそう唱える。
少しずつ猫と間をとり、距離を話していく。窓までまだまだ遠い。
じりじりと胸が焦る那月に、猫は薄く笑う。
「それで逃げてるつもり? どこに行くの? 窓から逃げる? そもそも逃げられると思っているの?」
初めて聞いたその声は少年の声だけど、威圧で足がすくみそうになる。
ちらりと見えた爪は長く鋭い。
(話が出来るなら、何とかならないだろうか)
柊が気が付くまででもいい。何をされるかわからないこの状況で、那月に出来ることは時間稼ぎくらいだ。
部屋の明かりは消されていて、気が付いたら布団の中で寝ていた。
布団に入った記憶はないけれど、いつのも習慣で無意識に行動したのだろう。
祖母の夢を見ていた。
(いまもまだこの家にいて、普通に生活をしているような気になるんだよな)
いつでもそばにいてくれた祖母。厳しくて、そして優しいかった。
もう会えないとわかっているはずなのに、心がまだ納得していない。時間が経てば自然と馴染むのかもしれない。
那月はため息を吐き出す。
やりきれない思い、環境の変化、友人のやさしさ。それら全てがどうしていいのか分からなくて、内心は混乱していた。
暗闇の中からふいに、猫の鳴き声がする。
遠くから聞こえるような……いや、すぐそばの耳元にいるような気もする。
那月の背筋がゾクリとした。
その気配は昼間よりずっと増していて、いつもより部屋は暗い。その暗闇の中でもぞりと何かが動く。
徐々に形を成していくそれは、最初小さな黒猫の姿をして……それから人のような形に変異していった。
黒い短い髪の毛の小さな少年が、尾を揺らして那月の枕元に立ち見下ろしている。
(猫のあやかし?)
黒い髪に黒い目、黒い服に身を包んでいる。猫の耳と尾と、鋭い爪。目は猫のように獲物を狙う目をしている。
少年のような細い体は、猫のようにしなやかに見えた。
那月の本能が、危険を知らせる。早く逃げろと。
(どこに逃げれば……いや、この部屋を出たら母になにかがあるかもしれない)
せっかく家族になってくれた母と義父に、心配や迷惑をかけたくなかった。
二階のこの部屋はベランダはない。屋根を歩けば出られるかもしれないが、この状況でそれをするのはとても危険だ。
(あきらめるな、考えろ。何かあるはずだ)
自分に言い聞かせるようにそう唱える。
少しずつ猫と間をとり、距離を話していく。窓までまだまだ遠い。
じりじりと胸が焦る那月に、猫は薄く笑う。
「それで逃げてるつもり? どこに行くの? 窓から逃げる? そもそも逃げられると思っているの?」
初めて聞いたその声は少年の声だけど、威圧で足がすくみそうになる。
ちらりと見えた爪は長く鋭い。
(話が出来るなら、何とかならないだろうか)
柊が気が付くまででもいい。何をされるかわからないこの状況で、那月に出来ることは時間稼ぎくらいだ。
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