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第1章 大賢者様の秘書になりました
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針が落ちる音すら聞こえそうな静寂。無音。
さらりと、ページをめくる音だけが響く。
静謐な空気を揺らして、私はふうと溜息を吐いた。
そっとトレーに戻したペンから、しゅんっとマナが霧散する。ぱらりと小さな光の粒が舞って、空間に消えていった。
アンティークな物書き机。ふかふかのベルベットのクッションがついた木製の椅子。時折ちらりと揺れる、マナのランプ。
隣の椅子では毛並みのいい黒猫が丸くなって眠っていて、周囲をぐるりと囲むのは、果ての見えない程どこまでも続く無限の本棚と、境界を越えて世界中から蒐集された膨大な量の本。
誰にも邪魔されない空間。
――ここは、国立大図書館リブラリカの、最奥禁書領域。
この国の大賢者様の聖域で、私がやっと見つけた、最愛の職場だ。
さらりと、ページをめくる音だけが響く。
静謐な空気を揺らして、私はふうと溜息を吐いた。
そっとトレーに戻したペンから、しゅんっとマナが霧散する。ぱらりと小さな光の粒が舞って、空間に消えていった。
アンティークな物書き机。ふかふかのベルベットのクッションがついた木製の椅子。時折ちらりと揺れる、マナのランプ。
隣の椅子では毛並みのいい黒猫が丸くなって眠っていて、周囲をぐるりと囲むのは、果ての見えない程どこまでも続く無限の本棚と、境界を越えて世界中から蒐集された膨大な量の本。
誰にも邪魔されない空間。
――ここは、国立大図書館リブラリカの、最奥禁書領域。
この国の大賢者様の聖域で、私がやっと見つけた、最愛の職場だ。
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