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18 風の精霊の暗躍
しおりを挟む――その日の深夜。
完全無音の馬車がシュトライヒ侯爵邸を出発し、突如発生した音のしない局地的な追い風を絶えず受け続けながら、猛スピードで国外へと走り去ったのだが――。
その後も時折、侯爵邸の中から『ズシン! ズシン!』とハミングが静かに歩く音がいつも通りに聞こえていたことから、半年後に王家の使いの者が邸に訪れるまで、侯爵家以外の者は誰も愛し子の不在に気が付くことができなかった。
風の向くまま気の向くまま。
ハミングが自由に国外を旅して、最後の最後に辿り着いたのは隣国だった。
そこでハミングの国へ留学に来ていた隣国王子と卒業パーティー以来、初めて再会して意気投合し、スピード婚約することになるのだが――。
全ては隣国王子が留学中、ハミングへの思いをつぶやいていたのを風の精霊が聞いていて、それがキッカケとなりハミングの幸せを願った風の精霊たちによりガッツリ行き先を操作されていたことは、精霊たち以外は誰も知らない。
全ては彼らがピャーッ☆ と手際よく鮮やかに行ったことである。
予期せず精霊の愛し子を手に入れ、そんなことお構いなしにハミングを幸せにした隣国では風の精霊の加護により風の結界が張られ、有益な魔物以外の侵入がなくなった。
一方、風の精霊の愛し子を失ったハミング出身国の王家では――。
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