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9 落ち着かない心と反省する番
しおりを挟む「××!?○○△△※※!???」
「ちょ……待って、待って!! 送るから! 待ってて、ラシーヌ落ち着いて!! そこ動かないで!」
羞恥から声にならない声を上げて、速攻で獣化して来た時と同じように窓から飛び出たところで、焦ったようなファンゲンの呼び止める声が聞こえて立ち止まる。
幼馴染に裸を見られてしまったのだ。恥ずかしくて恥ずかしくて仕方がない。
振り切って逃げ帰りたいところだが……既に、自分が一番安全で落ち着くと感じるのは番であるファンゲンの傍となっている。仕方なく一人で逃げ帰るのは諦めて、屋根の上で獣化したまま『伏せ』の姿勢で大人しく待つことにした。
「よしよし、ラシーヌいい子だ。すぐ着替えるから待っていて」
そう言って耳を撫でられたが、今度はさっきの変な感じがしなかったのでほっとした。ただ、ファンゲンが着替えている姿が目に入ったときに、変な感覚がじわじわと甦ってきたので、私は慌ててそのまま目を閉じた。
今日は本当にいろんなことがありすぎて困る。
「……ごめんね、ラシーヌ。君の従兄弟のローバストの名前が出て、つい嫉妬してしまったんだ。ほら、ラシーヌは小さい頃から彼に懐いていたから……」
『わふっわふわふ……』
(ち……違うわ! ローは小さい頃から遊んでくれたから、私にとってはお兄様みたいな存在で)
「うん、解っているよ。君が彼を兄のような感覚で慕っているのは。でも、彼は女性にモテるし、彼の方もラシーヌだけは特別扱いしていただろう? 遊びで付き合う他の女と違って飽きることなく長く一緒に居るし、距離もずっと近かった。君だって、何だかんだ『今日はローが来るから』って僕よりも彼を優先していたしさ」
『わふ…わっふわっふ』
(そ、それは……親戚が来るからって言いたかっただけで、ローを優先していたわけでは)
「『親戚が来るから』って言いたかっただけなのは僕も理解していたんだ。それでもさ、なんか面白くないんだよ」
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