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しおりを挟む「ここへ来る前に父さんと…ルゥグホン侯爵と君の父上のフォンテーナ伯爵に話をしてきたよ。」
小父様とお父様?
その言葉に釣られベルナルダンお兄様の方へ振り向き…目が合う。
「そう、そうやって僕の方を見て、話を聞いて。」
安心する優しいお顔は昔の通りで何も変わっていない。
魔法の呪文のようなベルナルダンお兄様の言葉のせいで目だけじゃない、耳も身体も背けられなくなる。
「…どんな…お話をしてきたの?」
私の問いにベルナルダンお兄様は少しだけ目を細めた。
でも、それはすぐに元通りの大きさへと戻り私にさっきよりも強く視線を送ってくる。
「僕は君を…エミリをもう誰かに取られるのを黙って見ていられない。…父さんには、”エミリと一緒に居られないなら跡を継がない”。小父さんには、”エミリと結婚したいから、他の縁談を断ってくれ”とそう伝えてきた。」
侯爵家の嫡男であるベルナルダンお兄様が跡を継がないなんて事はありえない。
「ベルナルダンお兄様!そんなことは許されないわ。」
私の言葉をまるでわからない風にベルナルダンお兄様は問いかけの表情で話を続ける。
「どうして?僕には弟がいる。…最近、世間を騒がせて”バカ息子”と噂されているが、彼なら商才もあるから跡継ぎになれば今まで以上に侯爵家を繁栄させると思うけど。だから、父さんには”いつ長男がいなくなって大丈夫なように、優秀な次男を縛り付けておけ”て言ったんだ。”そのためには餌をぶらさげておかないといけないよ”とも助言したよ。」
そう言って優しい目で私を包む。
「餌?」
確かにティーシルにとっても良い事がないと行動派の彼は侯爵家に見切りをつけてしまいそうだ。
でも、餌ってなにかしら?
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