◆青海くんを振り向かせたいっ〜水野泉の恋愛事情

青海

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真実の合宿

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 「俺明後日から合宿で一週間居ないから、留守番頼むぞ?」

 夏休みが明日から始まる……そんな日の夕飯時に真実がそう言った。

 「ええっ!?真実っ待ってよ!?」

 青海くんは困ったように真実に縋りついている。

 ……まあ部活の合宿なら仕方ないか。

 「うん、わかったから、気をつけて行ってきてね」

 そう言いながらカレンダーを眺める。

 その次の週は毎年避暑をしている長野への旅行に祖父に誘われていたのでぶつからずに済んだようだ。

 「ああ、そうだ、再来週から俺たち長野にある別荘に行くけど透も来いよ。こっちより標高が高いから涼しいぞ?」

 私が誘う前に真実は青海くんを誘っている。

 「え、いいの?オレ遠くに行くのなんて初めてかも……あ、でも真実のじいちゃんの別荘なんでしょ?オレなんかがついて行っていいの?邪魔しちゃうんじゃないかなあ」

 真実は面白そうに青海くんの肩を抱いた。

 「構うもんか。どうせじいさんは仕事ですぐ出かけちまうし、俺たち大体勝手に過ごして帰って来てるみたいなもんだぞっ」

 ……なんか真実ってばやけに青海くんに触るなあ。

 今だって青海くんの頬を両手で挟んで……楽しそうにしている。

 青海くんも青海くんで照れたように笑うだけで真実のされるがままになっているし……。

 
 仲良くしている2人を見ていると少し羨ましくなった。


 
 ★

 

 「シンジっ、気をつけて、早く帰って来てねっ」

 青海くんは寂しそうに真実を見送っている。

 「ああ、泉のこと頼んだぞっ★」

 真実は面白そうに青海くんの頭を撫でている。
 そうして私のことを見つめる。

 「透の事……頼むな?」

 「うん。大丈夫。喧嘩なんかしないから。行ってらっしゃい」

 私は真実に微笑む。

 
 合宿に行く真実を玄関まで見送った。
 「シンジ居なくなると寂しくなるねえ」
 青海くんはそう言い、寂しげな表情を浮かべながら真実の背をいつまでも見送っていた。

 ……今日から一週間2人きりだ。
 まあ少しだけ気まずいが大丈夫だろう。
 食事時以外は別行動だろうし、青海くんは変な子じゃあない。
 
 「あ、そうだ水野さん、宿題サボらずにやれって真実に言われてて、教えてほしいところがあるんだけど、いい?」

 青海くんにそう聞かれたのでOKした。

 「いいよ。それなら毎日時間決めて一緒に勉強しようか」

 勉強はおそらく1人でやるより2人でやったほうが理解度が進む気がする。

 青海くんと毎日午前中は一緒に勉強する約束をした。

 
 キッチンにある食卓で2人で勉強を始める。
 いつもだったらこの場には真実もいるはずなのだが今日は2人。
 なんだか少し緊張する。
 
 とりあえず今日は数学から。
 青海くんは公式を覚えるのが苦手なようで……。
 
 青海くんに教えながら宿題を進め、あっという間にお昼になった。






 「水野さん今日はお昼焼きそばにしない?ちょうど麺もあるし、オレ作るよっ」

 「うん、じゃあ一緒に作ろうか。私野菜切るよ」

 青海くんと並んでキッチン立ち、昼飯作りを始める。

 ……青海くんって不思議な子だなあ。
 男の子だけど、全然いやじゃない。
 余り気を使わなくて済むし……一緒にいても自然だ。

 
 「すっごく美味しいねえっ!」
 ニコニコ焼きそばを食べている青海くんはすっごく可愛い。
 「野菜にしっかり火を通すとしんなりして、甘くなる気がする……」
 青海くんは料理の事を勉強している最中のようで、味付けの事をよく聞きたがった。
 
 「私も最近お母さんに習いはじめたばかりだから、そんなには分からないんだけど……」
 そう前置きをすると青海くんは微笑む。
 「水野さんが作ってくれるご飯はいつもすごく美味しいよっ、この前夜中にお腹空いちゃって、真実と夜中にチャーハン作ったんだけど、失敗しちゃってさ。しょっぱくなっちゃって……それでも2人で我慢して食べたんだけど。……今度はもうちょっと上手く作りたいなあ」

 失敗したとは言っても青海くんはすごく楽しそうだ。
 「青海くんならすぐに上手くなるよ。真実が帰ってくるまでまだ時間あるから、一緒に練習しようか」
 そういうと青海くんは照れたように笑った。
 「うん、よろしくお願いします。とりあえずは真実にウマイって言って貰えるように頑張りたいなあっ」
 「……そうだね、でも真実が美味しいって言ったら多分もう充分上達したことになると思うよ。そしたら次はご両親だね」
 いつか美味しいご飯を作って恩返ししたいと言っていた青海くん。
 ……そんな日はそう遠くないだろう。

 「うん、すごく……感謝してるんだ。オレの事引き取ってくれた事……一生掛けて返していかないと……」
 
 青海くんはそう言って笑った。

 

 
 
 
 
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