◆青海くんを振り向かせたいっ〜水野泉の恋愛事情

青海

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海に行こうっ!

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 テレビの旅行番組を見ていたら、ちょうど海辺を散策するシーンを放送していた。

 海か……夏って感じだな。

 来週からは山に行くことになってはいたが、やっぱり海も見たいなあ。

 「海に遊びに行きたい」

 夕飯の時にそう言うと真実は面倒臭そうな顔をした。

 「ただでさえ暑いのに、嫌だぜ。お前らで行ってこいよ」

 そう言いながら颯爽と食事を済ませて部屋に戻って行ってしまった。

 ……やっぱり嫌がられたか。

 毎年夏休みにおじいちゃんに海から山の別荘に招待されたが真実は毎年暑いからと山に行きたがった。

 ……確かに暑いのも分かるが、山は……虫が多いから苦手だった。

 去年はお父さんが見兼ねたのかその後海に遊びに連れて行ってくれたが、今年はそれは期待できないし……。

 でも海を見に行きたいなあ。

 泳がなくても見るくらいはしたい。

 ……一人で行って来ようかな。

 「オレでよければ一緒に行こうか?」

 真実にフラれて憐れんでくれたのか青海くんが遠慮がちにそう言ってくれた。

 「……でも、あっついし、イヤじゃない?」

 気を遣わせて悪いなあと思いながらそう言うと青海くんは楽しそうに笑う。

 「オレ暑いの得意なんだ、行ってみようよ。水野さん行きたいんでしょ?」










 更衣室で着替えて外に出ると青海くんは既に着替えて待っている。

 「水野さんすごく似合ってるね。かわいいよっ」
 青海くんは水着姿の私を見てそう言ってくれた。
 嬉しくって、でもなんだか気恥ずかしい。

「そういえばオレ泳げないんだ……」 

 青海くんは困ったような顔をする。

 「泳げないんなら私が教えてあげるから心配しないでっ、ゆっくり覚えよう」
 そういうとホッとしたように青海くんが微笑んだ。

 

 青い海水パンツに大きめのtシャツを着た青海くんを見てハッとした。
 身体に残る跡を人目に晒したくなかったのだろう。

 ……そこまで考えてあげられなかった。

 幸いなことに海だったから肌焼け防止代わりのtシャツを着ることができたが、プールに誘ってしまっていたら場所によってはそれもできない。
 青海くんを困らせてしまうところだった。

 



 浜辺で準備運動をしながら海を眺める。

 今日は海日和らしいとてもよく晴れたいい天気だった。

 青くキラキラと輝く海を眺めているだけで来れてよかったと思える。

 「海も……空も綺麗だね」

 青海くんが私を見て微笑む。

 「うん、今日は来てくれてありがとう」

 


 夏とはいえまだ海水は冷たかった。

 しかし一度浸かってしまえば慣れたものですぐに海に入っている楽しさに我を失ってしまう。

 「水野さん待ってっ」

 青海くんが楽しそうに追いかけてくるので嬉しくなって2人で海中を走り回った。

 「青海くんこっち来てっ」

 人気のまばらな場所まで歩き、立ち止まる。

 青海くんの手を取ると少し照れた様に笑う。

 「今日中に泳げる様になりたいんだ」

 

 午前中は体を水に浮かせる練習をする。
 手を引いてあげれば青海くんは身体を浮かせることはできたし、おそらくそんなに時間はかからないだろう。

 お昼ご飯を海の家で食べる。
 焼きイカに焼きそば、フランクフルトなどを一緒に食べる。

 「フランクフルトすっごい美味しいっ!オレこんなの食べるの初めてっ!形は似てるのにウインナーとはまた違うね」

 青海くんが嬉しそうに食べるのを眺める。

 「私のお好み焼きも少し食べてみて。美味しいよっ」

 少し切り分けて青海くんのお皿に乗せると一口食べ

 「ウマイっ!ソースが堪らないねえ」

 青海くんがそう言いながら食べてくれた。

 ちゃんと青海くんが食事をするのを見ると安心する。

 しっかり食べて、大きくなってね……そう思ってしまう。

 


 お昼の後はしばらく波打ち際で遊んだ。

 砂のお城を作ってみたり、青海くんを砂に埋めてみたり。

 「ふふっ、じょりじょりするっ」

 そう言いながらも青海くんは楽しそうにしてくれたので安心した。

 

 少し身体を休めて再び泳ぐ練習だ。

 浮き輪をビート板代わりに少し泳いでいるとすぐに青海くんは泳げそうなところまできた。

 次はしばらく離れたところで待機して、青海くんが泳いでくるのを待つ。

 「青海くんこっちこっち、ウマイねっ!あとちょっと頑張ってっ」

 バタバタと足で水を蹴り、少しずつだが確実に泳いでくる。

 あとちょっと!

 手を伸ばして青海くんの手を取ろうとした瞬間青海くんの手がすり抜け、私の胸に当たる。

 「っ!」

 青海くんに胸を触られ、その瞬間青海くんが立ち上がり、思いっきり驚いた様で咽せ始める。

 少し海水が鼻に入ってしまった様だ。

 「んん!!ゲホっ!!っつ!!」

 慌てて青海くんの背をさする。

 「青海くん大丈夫!?」

 「っつ!!って水野さんっごめんねっ!!」

 わざとじゃ無いのが分かっているので怒るはずもないのに謝ってくれる青海くん。

 「いいから、青海くん少しあがろう。青海くんちゃんと泳げてたよ!!少し休もう?」

 青海くんを連れて浜で休む。

 そのうち波も荒くなってきてしまったので今日はこの辺で帰ることにした。

 「もうちょっと練習したかったのに……」

 残念そうな青海くん。 

 「大丈夫、ちゃんと泳げてたから。次はもっと泳げると思うよ」

 そう言うと青海くんは恥ずかしそうに笑う。

 「水野さん、お願いだから真実にはオレが泳げないこと黙っててね。なんかカッコ悪いし」

 そんな事を言い出した。

 「言わないよ。じゃあ次に真実とくる時には泳げる所見せたいね」

 頷く青海くん。

 
 帰りの電車が来るまで青海くんと海を眺めていた。

 「穏やかな海はいいね。見てて落ち着くよ」

 そう言いながら青海くんは切なそうな顔で海を眺めていた。








 「お前ら……赤くなったな」

 家に帰るなり真実は私たちを見てそう言った。

 「……そういえば今日日焼け止め持って行かなかった……肌がすっごいヒリヒリする……」

 日に焼けて時間が経つと肌が痛む。

 「ものすごい痛くなってきた……」

 青海くんはそう言いながらそっと腕を触る。

 「ヤバい痛いっ!」

 泣きそうな顔の青海くんに冷やしたタオルを差し出す真実。

 「透も泉もしばらく冷やしたほうがいいぞ?なんなら水風呂はいれよ」

 「……そうしようかな」

 青海くんは水風呂に入る様だ。

 私は……身体を冷やしながらもう寝ることにした。

 



 「うわっ!冷たいっ!シンジやめてよっ!ああっ!!」

 「逃げるなって、ほら!身体冷やすんだろ?」

 「んんっ!!そこはダメっ!!」


 お風呂場で真実に水を掛けられてるのか楽しそうな二人の声を聞きながら部屋に戻る。
 
 今日は海で遊べて本当に楽しかった。

 肌は痛むが青海くんと楽しめたし、海にも行けた。


 いい日だったと思う。

 部屋に戻り着替える。

 当分痛みそうだが仕方ない。

 
 そっとパジャマに着替える。

 たくさん陽に当たって、たくさん遊んで今日はとても疲れた。

 でも行けてよかった。

 そう思いながらベッドに入る。

 目を閉じるとあっという間に瞼が重くなり、眠りに落ちた。


 その日見た夢は何処かの海で青海くんと散歩をする夢だった。

 

 

 


 
 



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