◆青海くんを振り向かせたいっ〜水野泉の恋愛事情

青海

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花火大会の夜に…

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 別荘での涼しい生活を終え帰ってくる。

 やはりこちらは暑い。

 連日30°以上という日々が続き、暑さでついだらけてしまいそうになる。

 それでもなんとか学校からの課題を済ませて青海くんと真実の3人で楽しく生活していた。


 

 夏休みの終わり間際、青海くんと夕飯の買い出しに出た帰りに地元で行われる夏祭りのポスターが目に入る。

 基本的に人の多い場所はあまり得意ではなかったがお祭りだけは別だった。

 辺りに響く陽気な太鼓の音頭と提灯の灯り、沢山の屋台と夜空に浮かぶ花火……

 「水野さんお祭り好きなの?」

 隣にいた青海くんが楽しそうに微笑む。

 「青海くんはお祭り嫌い?」

 そう聞くと青海くんは首を振る。

 「オレも好きだよ。ただ祭り自体に参加したことは無いんだ。いつも遠くから眺めてただけで……でも花火はいいよね。デッカくて、何処にいても見られるし」

 青海くんは懐かしそうに、でも何処か切なそうな顔で話してくれた。

 昔青海くんの住んでいた地域でもこの時期になると大きなお祭りが行われていたようだ。

 「オレの住んでた町……その中でも地域ごとに分かれててさ、その地域ごとに屋台を作るんだ。その時流行りのアニメやらを題材にして。ひと月くらいかけて大人や子供が混じって屋台を作るんだけど、見てても活気があって面白かったな。……一度くらい参加してみたかったんだけどオレは……」

 寂しそうに笑う青海くん。

 その時すでに青海くんのご両親は亡くなっていたはずだ。

 青海くんは参加させてもらえなかったのだろう。

 「見てるだけでも楽しかったけどね。あ、でも一度でいいから食べてみたい物があったんだ。アレどこのお祭りでもあるものなのかなあ?」

 何だか気になって青海くんが食べたかったものについてアレコレ聞く。

 「白かったりピンクだったりするんだよ。ふわふわの雲みたいなやつで……」

 「それって綿菓子だ!!」

 青海くんと話をしながら家に帰る。

 


 青海くんのどこか切ない思い出話は尽きる事がない。

 「オレ毎年高台にある人気のない神社で花火を見るの好きだったんだ。行くとどこからともなく白い猫が来てくれてね、触らせてくれて、一緒に花火を見たんだ。可愛かったなあ……」

 ……青海くんはどうやら猫が好きなようだ。

 

 「今年は一緒に行ってみようか?」

 我慢できなくなりそう聞くと青海くんは嬉しそうに頷いてくれた。

 「うん、真実も誘ってみようよ。みんなで行けばもっと楽しいしさ」







 浴衣の着付けは何度か母に習っていたので自分で着る事ができた。

 玄関のチャイムが鳴り、少し慌ててしまう。

 どうやら真実のお友達も到着したようだ。

 真実と同じクラスの浅川唯さんは何度か話をしたことのある女の子だった。

 浅川さんは真実にも、わたしにも気さくに話しかけてくれる貴重な存在だった。

 真実と付き合ってるのかと思ったのだがそうでもないらしい。

 

 青海くんが真実を祭りの誘ったところ、浅川さんも一緒なら行ってもいいという返事だった。

 「じゃあ4人で行こうか?」

 青海くんも浅川さんを知っていたようで、二つ返事でそれをOKしていた。

 

 浴衣を着替えて階段を降りていると青海くんの声が聞こえた。

 「やっぱり女の子の浴衣姿ってかわいいね」

 青海くんの声にどきりとする。

 全然気づかなかったがもしかして青海くんは浅川さんのことが好きだったりするのだろうか?

 「あっ!!水野さんこんばんわって可愛いっ!!すっごい美人すぎるっ!!」

 浴衣姿の浅川さんは私に気づくとそばまで来て抱きついてくる。

 何だか照れ臭くて、青海くんの事が見れなかった。

 「おい、透もなんか言ってやれよ?」

 真実が揶揄うように青海くんの肩を抱く。

 「えっ、あ、そのっ……」

 青海くんはタジタジしている。

 「いいから行きましょっ!そろそろ時間よっ★」

 浅川さんに手を引かれて家を出る。








 祭りの会場までの道は人が多い。

 浅川さんに腕を組まれ、一緒に歩く。

 その後ろを青海くんと真実がついてくるという構図になってしまっていた。

 「あ、透が食いたがってたのアレだろ?」

 真実の声に振り返る。

 「そうそう!どんな味なのかなっ?」

 楽しそうな青海くんの声。

 「買ってやるから食ってみろよ」

 真実と青海くんが屋台で綿菓子を買っている。

 「うわー、青いのもあるんだね。すっごくふわふわ……うん、甘くって美味しいっ!!」

 面白そうに青海くんが綿菓子を食べるのを見ている真実。

 ……ズルいっ、私だって青海くんが綿菓子を食べるのを見たかったのに……

 不幸なことに青海くんはこちらに背を向けていたので初めて綿菓子を食べる青海くんを見ることは出来なかった。

 「浅川さん、水野さんもこれ美味しいから食べてみてよっ!」

 青海くんは私たちにも綿菓子を分けてくれた。

 「透、これがうまいって、ただ甘いだけだろ?」

 そんな事を言う真実に青海くんは笑顔で答える。

 「オレさ昔お小遣いなんて貰ってなかったから……こういうのは買ったこと無かったんだよね。でもやっとバイトも始めておじさん達からも毎月お小遣いもらってるし、やっと買えるようになってさ……」

 嬉しそうな青海くん。

 真実は一瞬そんな青海くんを切なそうな顔で眺めたと思ったら笑った。

 「じゃあ今度はかき氷食べてみようぜ?何色がいい?」

 いつになくはしゃぎ始めた真実。

 「オレ、青いのがいいっ!!」

 興奮気味の青海くんを真実が連れ回し始める。

 「あっ!!シンジってばズルいっ!!」

 思わず声を漏らすと浅川さんは気づいてくれたようだ。

 「私、水野さんのジャマしちゃってたわね。ごめんね。しばらくシンジ借りるから透クンと楽しんできてっ★」

 そう言いながら浅川さんは真実の腕を引っ張り他の屋台へと向かっていった。

 

 「あれ、シンジ?」

 青いかき氷と黄色いかき氷を持った青海くんが戻ってくる。

 「シンジはしばらく浅川さんと一緒にいるって」

 そう伝えると青海くんは困った様に笑って2つのかき氷を差し出してくる。

 「水野さん好きな方食べていいよ。シンジが買ってくれたんだ」

 私は黄色いかき氷を受け取る。

 青海くんはさっき青がいいって言ってたのを聞いていた。

 
 青海くんは青いかき氷をスプーンですくって口に入れる。

 「ん、冷たいっ!でも美味しいっ!!」

 満面の笑みを浮かべながらかき氷を食べる青海くんは本当に可愛い。

 かき氷を食べる青海くんに思わず見惚れてしまっていた。




 

 
 

 

 
 
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