23 / 70
花火大会の夜に…
しおりを挟む
別荘での涼しい生活を終え帰ってくる。
やはりこちらは暑い。
連日30°以上という日々が続き、暑さでついだらけてしまいそうになる。
それでもなんとか学校からの課題を済ませて青海くんと真実の3人で楽しく生活していた。
夏休みの終わり間際、青海くんと夕飯の買い出しに出た帰りに地元で行われる夏祭りのポスターが目に入る。
基本的に人の多い場所はあまり得意ではなかったがお祭りだけは別だった。
辺りに響く陽気な太鼓の音頭と提灯の灯り、沢山の屋台と夜空に浮かぶ花火……
「水野さんお祭り好きなの?」
隣にいた青海くんが楽しそうに微笑む。
「青海くんはお祭り嫌い?」
そう聞くと青海くんは首を振る。
「オレも好きだよ。ただ祭り自体に参加したことは無いんだ。いつも遠くから眺めてただけで……でも花火はいいよね。デッカくて、何処にいても見られるし」
青海くんは懐かしそうに、でも何処か切なそうな顔で話してくれた。
昔青海くんの住んでいた地域でもこの時期になると大きなお祭りが行われていたようだ。
「オレの住んでた町……その中でも地域ごとに分かれててさ、その地域ごとに屋台を作るんだ。その時流行りのアニメやらを題材にして。ひと月くらいかけて大人や子供が混じって屋台を作るんだけど、見てても活気があって面白かったな。……一度くらい参加してみたかったんだけどオレは……」
寂しそうに笑う青海くん。
その時すでに青海くんのご両親は亡くなっていたはずだ。
青海くんは参加させてもらえなかったのだろう。
「見てるだけでも楽しかったけどね。あ、でも一度でいいから食べてみたい物があったんだ。アレどこのお祭りでもあるものなのかなあ?」
何だか気になって青海くんが食べたかったものについてアレコレ聞く。
「白かったりピンクだったりするんだよ。ふわふわの雲みたいなやつで……」
「それって綿菓子だ!!」
青海くんと話をしながら家に帰る。
青海くんのどこか切ない思い出話は尽きる事がない。
「オレ毎年高台にある人気のない神社で花火を見るの好きだったんだ。行くとどこからともなく白い猫が来てくれてね、触らせてくれて、一緒に花火を見たんだ。可愛かったなあ……」
……青海くんはどうやら猫が好きなようだ。
「今年は一緒に行ってみようか?」
我慢できなくなりそう聞くと青海くんは嬉しそうに頷いてくれた。
「うん、真実も誘ってみようよ。みんなで行けばもっと楽しいしさ」
★
浴衣の着付けは何度か母に習っていたので自分で着る事ができた。
玄関のチャイムが鳴り、少し慌ててしまう。
どうやら真実のお友達も到着したようだ。
真実と同じクラスの浅川唯さんは何度か話をしたことのある女の子だった。
浅川さんは真実にも、わたしにも気さくに話しかけてくれる貴重な存在だった。
真実と付き合ってるのかと思ったのだがそうでもないらしい。
青海くんが真実を祭りの誘ったところ、浅川さんも一緒なら行ってもいいという返事だった。
「じゃあ4人で行こうか?」
青海くんも浅川さんを知っていたようで、二つ返事でそれをOKしていた。
浴衣を着替えて階段を降りていると青海くんの声が聞こえた。
「やっぱり女の子の浴衣姿ってかわいいね」
青海くんの声にどきりとする。
全然気づかなかったがもしかして青海くんは浅川さんのことが好きだったりするのだろうか?
「あっ!!水野さんこんばんわって可愛いっ!!すっごい美人すぎるっ!!」
浴衣姿の浅川さんは私に気づくとそばまで来て抱きついてくる。
何だか照れ臭くて、青海くんの事が見れなかった。
「おい、透もなんか言ってやれよ?」
真実が揶揄うように青海くんの肩を抱く。
「えっ、あ、そのっ……」
青海くんはタジタジしている。
「いいから行きましょっ!そろそろ時間よっ★」
浅川さんに手を引かれて家を出る。
★
祭りの会場までの道は人が多い。
浅川さんに腕を組まれ、一緒に歩く。
その後ろを青海くんと真実がついてくるという構図になってしまっていた。
「あ、透が食いたがってたのアレだろ?」
真実の声に振り返る。
「そうそう!どんな味なのかなっ?」
楽しそうな青海くんの声。
「買ってやるから食ってみろよ」
真実と青海くんが屋台で綿菓子を買っている。
「うわー、青いのもあるんだね。すっごくふわふわ……うん、甘くって美味しいっ!!」
面白そうに青海くんが綿菓子を食べるのを見ている真実。
……ズルいっ、私だって青海くんが綿菓子を食べるのを見たかったのに……
不幸なことに青海くんはこちらに背を向けていたので初めて綿菓子を食べる青海くんを見ることは出来なかった。
「浅川さん、水野さんもこれ美味しいから食べてみてよっ!」
青海くんは私たちにも綿菓子を分けてくれた。
「透、これがうまいって、ただ甘いだけだろ?」
そんな事を言う真実に青海くんは笑顔で答える。
「オレさ昔お小遣いなんて貰ってなかったから……こういうのは買ったこと無かったんだよね。でもやっとバイトも始めておじさん達からも毎月お小遣いもらってるし、やっと買えるようになってさ……」
嬉しそうな青海くん。
真実は一瞬そんな青海くんを切なそうな顔で眺めたと思ったら笑った。
「じゃあ今度はかき氷食べてみようぜ?何色がいい?」
いつになくはしゃぎ始めた真実。
「オレ、青いのがいいっ!!」
興奮気味の青海くんを真実が連れ回し始める。
「あっ!!シンジってばズルいっ!!」
思わず声を漏らすと浅川さんは気づいてくれたようだ。
「私、水野さんのジャマしちゃってたわね。ごめんね。しばらくシンジ借りるから透クンと楽しんできてっ★」
そう言いながら浅川さんは真実の腕を引っ張り他の屋台へと向かっていった。
「あれ、シンジ?」
青いかき氷と黄色いかき氷を持った青海くんが戻ってくる。
「シンジはしばらく浅川さんと一緒にいるって」
そう伝えると青海くんは困った様に笑って2つのかき氷を差し出してくる。
「水野さん好きな方食べていいよ。シンジが買ってくれたんだ」
私は黄色いかき氷を受け取る。
青海くんはさっき青がいいって言ってたのを聞いていた。
青海くんは青いかき氷をスプーンですくって口に入れる。
「ん、冷たいっ!でも美味しいっ!!」
満面の笑みを浮かべながらかき氷を食べる青海くんは本当に可愛い。
かき氷を食べる青海くんに思わず見惚れてしまっていた。
やはりこちらは暑い。
連日30°以上という日々が続き、暑さでついだらけてしまいそうになる。
それでもなんとか学校からの課題を済ませて青海くんと真実の3人で楽しく生活していた。
夏休みの終わり間際、青海くんと夕飯の買い出しに出た帰りに地元で行われる夏祭りのポスターが目に入る。
基本的に人の多い場所はあまり得意ではなかったがお祭りだけは別だった。
辺りに響く陽気な太鼓の音頭と提灯の灯り、沢山の屋台と夜空に浮かぶ花火……
「水野さんお祭り好きなの?」
隣にいた青海くんが楽しそうに微笑む。
「青海くんはお祭り嫌い?」
そう聞くと青海くんは首を振る。
「オレも好きだよ。ただ祭り自体に参加したことは無いんだ。いつも遠くから眺めてただけで……でも花火はいいよね。デッカくて、何処にいても見られるし」
青海くんは懐かしそうに、でも何処か切なそうな顔で話してくれた。
昔青海くんの住んでいた地域でもこの時期になると大きなお祭りが行われていたようだ。
「オレの住んでた町……その中でも地域ごとに分かれててさ、その地域ごとに屋台を作るんだ。その時流行りのアニメやらを題材にして。ひと月くらいかけて大人や子供が混じって屋台を作るんだけど、見てても活気があって面白かったな。……一度くらい参加してみたかったんだけどオレは……」
寂しそうに笑う青海くん。
その時すでに青海くんのご両親は亡くなっていたはずだ。
青海くんは参加させてもらえなかったのだろう。
「見てるだけでも楽しかったけどね。あ、でも一度でいいから食べてみたい物があったんだ。アレどこのお祭りでもあるものなのかなあ?」
何だか気になって青海くんが食べたかったものについてアレコレ聞く。
「白かったりピンクだったりするんだよ。ふわふわの雲みたいなやつで……」
「それって綿菓子だ!!」
青海くんと話をしながら家に帰る。
青海くんのどこか切ない思い出話は尽きる事がない。
「オレ毎年高台にある人気のない神社で花火を見るの好きだったんだ。行くとどこからともなく白い猫が来てくれてね、触らせてくれて、一緒に花火を見たんだ。可愛かったなあ……」
……青海くんはどうやら猫が好きなようだ。
「今年は一緒に行ってみようか?」
我慢できなくなりそう聞くと青海くんは嬉しそうに頷いてくれた。
「うん、真実も誘ってみようよ。みんなで行けばもっと楽しいしさ」
★
浴衣の着付けは何度か母に習っていたので自分で着る事ができた。
玄関のチャイムが鳴り、少し慌ててしまう。
どうやら真実のお友達も到着したようだ。
真実と同じクラスの浅川唯さんは何度か話をしたことのある女の子だった。
浅川さんは真実にも、わたしにも気さくに話しかけてくれる貴重な存在だった。
真実と付き合ってるのかと思ったのだがそうでもないらしい。
青海くんが真実を祭りの誘ったところ、浅川さんも一緒なら行ってもいいという返事だった。
「じゃあ4人で行こうか?」
青海くんも浅川さんを知っていたようで、二つ返事でそれをOKしていた。
浴衣を着替えて階段を降りていると青海くんの声が聞こえた。
「やっぱり女の子の浴衣姿ってかわいいね」
青海くんの声にどきりとする。
全然気づかなかったがもしかして青海くんは浅川さんのことが好きだったりするのだろうか?
「あっ!!水野さんこんばんわって可愛いっ!!すっごい美人すぎるっ!!」
浴衣姿の浅川さんは私に気づくとそばまで来て抱きついてくる。
何だか照れ臭くて、青海くんの事が見れなかった。
「おい、透もなんか言ってやれよ?」
真実が揶揄うように青海くんの肩を抱く。
「えっ、あ、そのっ……」
青海くんはタジタジしている。
「いいから行きましょっ!そろそろ時間よっ★」
浅川さんに手を引かれて家を出る。
★
祭りの会場までの道は人が多い。
浅川さんに腕を組まれ、一緒に歩く。
その後ろを青海くんと真実がついてくるという構図になってしまっていた。
「あ、透が食いたがってたのアレだろ?」
真実の声に振り返る。
「そうそう!どんな味なのかなっ?」
楽しそうな青海くんの声。
「買ってやるから食ってみろよ」
真実と青海くんが屋台で綿菓子を買っている。
「うわー、青いのもあるんだね。すっごくふわふわ……うん、甘くって美味しいっ!!」
面白そうに青海くんが綿菓子を食べるのを見ている真実。
……ズルいっ、私だって青海くんが綿菓子を食べるのを見たかったのに……
不幸なことに青海くんはこちらに背を向けていたので初めて綿菓子を食べる青海くんを見ることは出来なかった。
「浅川さん、水野さんもこれ美味しいから食べてみてよっ!」
青海くんは私たちにも綿菓子を分けてくれた。
「透、これがうまいって、ただ甘いだけだろ?」
そんな事を言う真実に青海くんは笑顔で答える。
「オレさ昔お小遣いなんて貰ってなかったから……こういうのは買ったこと無かったんだよね。でもやっとバイトも始めておじさん達からも毎月お小遣いもらってるし、やっと買えるようになってさ……」
嬉しそうな青海くん。
真実は一瞬そんな青海くんを切なそうな顔で眺めたと思ったら笑った。
「じゃあ今度はかき氷食べてみようぜ?何色がいい?」
いつになくはしゃぎ始めた真実。
「オレ、青いのがいいっ!!」
興奮気味の青海くんを真実が連れ回し始める。
「あっ!!シンジってばズルいっ!!」
思わず声を漏らすと浅川さんは気づいてくれたようだ。
「私、水野さんのジャマしちゃってたわね。ごめんね。しばらくシンジ借りるから透クンと楽しんできてっ★」
そう言いながら浅川さんは真実の腕を引っ張り他の屋台へと向かっていった。
「あれ、シンジ?」
青いかき氷と黄色いかき氷を持った青海くんが戻ってくる。
「シンジはしばらく浅川さんと一緒にいるって」
そう伝えると青海くんは困った様に笑って2つのかき氷を差し出してくる。
「水野さん好きな方食べていいよ。シンジが買ってくれたんだ」
私は黄色いかき氷を受け取る。
青海くんはさっき青がいいって言ってたのを聞いていた。
青海くんは青いかき氷をスプーンですくって口に入れる。
「ん、冷たいっ!でも美味しいっ!!」
満面の笑みを浮かべながらかき氷を食べる青海くんは本当に可愛い。
かき氷を食べる青海くんに思わず見惚れてしまっていた。
0
あなたにおすすめの小説
小さなパン屋の恋物語
あさの紅茶
ライト文芸
住宅地にひっそりと佇む小さなパン屋さん。
毎日美味しいパンを心を込めて焼いている。
一人でお店を切り盛りしてがむしゃらに働いている、そんな毎日に何の疑問も感じていなかった。
いつもの日常。
いつものルーチンワーク。
◆小さなパン屋minamiのオーナー◆
南部琴葉(ナンブコトハ) 25
早瀬設計事務所の御曹司にして若き副社長。
自分の仕事に誇りを持ち、建築士としてもバリバリ働く。
この先もずっと仕事人間なんだろう。
別にそれで構わない。
そんな風に思っていた。
◆早瀬設計事務所 副社長◆
早瀬雄大(ハヤセユウダイ) 27
二人の出会いはたったひとつのパンだった。
**********
作中に出てきます三浦杏奈のスピンオフ【そんな恋もありかなって。】もどうぞよろしくお願い致します。
**********
この作品は、他のサイトにも掲載しています。
「お前みたいな卑しい闇属性の魔女など側室でもごめんだ」と言われましたが、私も殿下に嫁ぐ気はありません!
野生のイエネコ
恋愛
闇の精霊の加護を受けている私は、闇属性を差別する国で迫害されていた。いつか私を受け入れてくれる人を探そうと夢に見ていたデビュタントの舞踏会で、闇属性を差別する王太子に罵倒されて心が折れてしまう。
私が国を出奔すると、闇精霊の森という場所に住まう、不思議な男性と出会った。なぜかその男性が私の事情を聞くと、国に与えられた闇精霊の加護が消滅して、国は大混乱に。
そんな中、闇精霊の森での生活は穏やかに進んでいく。
結婚初夜、「何故彼女が死んでお前が生きているんだ」と夫に言われました
ましゅぺちーの
恋愛
侯爵令嬢のアリサは婚約者だった王太子テオドールと結婚した。
ちょうどその半年前、アリサの腹違いの妹のシアは不慮の事故で帰らぬ人となっていた。
王太子が婚約者の妹のシアを愛していたのは周知の事実だった。
そんな彼は、結婚初夜、アリサに冷たく言い放った。
「何故彼女が死んでお前が生きているんだ」と。
完結【強引な略奪婚】冷徹な次期帝は、婚姻間近の姫を夜ごと甘く溶かす
小木楓
恋愛
完結しました✨
タグ&あらすじ変更しました。
略奪された皇后を待っていたのは、冷徹な次期帝による「狂愛」という名の支配でした。
「泣け、香子。お前をこれほど乱せるのは、世界で私だけだ」
「お前はまだ誰のものでもないな? ならば、私のものだ」
大納言家の姫・香子には、心通わせる穏やかな婚約者がいた。
しかし、そのささやかな幸福は、冷徹と噂される次期帝・彰仁(あきひと)に見初められたことで一変する。
強引な勅命により略奪され、後宮という名の檻に閉じ込められた香子。
夜ごとの契りで身体を繋がれ、元婚約者への想いすら「不義」として塗り潰されていく。
恐怖に震える香子だったが、閉ざされた寝所で待っていたのは、想像を絶するほど重く、激しい寵愛で……?
「痛くはしない。……お前が私のことしか考えられなくなるまで、何度でも教え込もう」
逃げ場のない愛に心が絡め取られていく中、彰仁は香子を守るため、「ある残酷な嘘」を用いて彼女を試す。
それは、愛するがゆえに彼女を嫉妬と絶望で壊し、「帝なしでは息もできない」状態へ作り変えるための、狂気じみた遊戯だった。
「一生、私の腕の中で溺れていろ」
守るために壊し、愛するために縛る。
冷酷な仮面の下に隠された、
一途で異常な執着を知った時、香子の心もまた甘い猛毒に溶かされていく――。
★最後は極上のハッピーエンドです。
※AI画像を使用しています。
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
皇帝陛下の寵愛は、身に余りすぎて重すぎる
若松だんご
恋愛
――喜べ、エナ! お前にも縁談が来たぞ!
数年前の戦で父を、病で母を亡くしたエナ。
跡継ぎである幼い弟と二人、後見人(と言う名の乗っ取り)の叔父によりずっと塔に幽閉されていたエナ。
両親の不在、後見人の暴虐。弟を守らねばと、一生懸命だったあまりに、婚期を逃していたエナに、叔父が(お金目当ての)縁談を持ちかけてくるけれど。
――すまないが、その縁談は無効にさせてもらう!
エナを救ってくれたのは、幼馴染のリアハルト皇子……ではなく、今は皇帝となったリアハルト陛下。
彼は先帝の第一皇子だったけれど、父帝とその愛妾により、都から放逐され、エナの父のもとに身を寄せ、エナとともに育った人物。
――結婚の約束、しただろう?
昔と違って、堂々と王者らしい風格を備えたリアハルト。驚くエナに妻になってくれと結婚を申し込むけれど。
(わたし、いつの間に、結婚の約束なんてしてたのっ!?)
記憶がない。記憶にない。
姉弟のように育ったけど。彼との別れに彼の無事を願ってハンカチを渡したけれど! それだけしかしてない!
都会の洗練された娘でもない。ずっと幽閉されてきた身。
若くもない、リアハルトより三つも年上。婚期を逃した身。
後ろ盾となる両親もいない。幼い弟を守らなきゃいけない身。
(そんなわたしが? リアハルト陛下の妻? 皇后?)
ずっとエナを慕っていたというリアハルト。弟の後見人にもなってくれるというリアハルト。
エナの父は、彼が即位するため起こした戦争で亡くなっている。
だから。
この求婚は、その罪滅ぼし? 昔世話になった者への恩返し?
弟の後見になってくれるのはうれしいけれど。なんの取り柄もないわたしに求婚する理由はなに?
ずっと好きだった彼女を手に入れたかったリアハルトと、彼の熱愛に、ありがたいけれど戸惑いしかないエナの物語。
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
【完結・BL】胃袋と掴まれただけでなく、心も身体も掴まれそうなんだが!?【弁当屋×サラリーマン】
彩華
BL
俺の名前は水野圭。年は25。
自慢じゃないが、年齢=彼女いない歴。まだ魔法使いになるまでには、余裕がある年。人並の人生を歩んでいるが、これといった楽しみが無い。ただ食べることは好きなので、せめて夕食くらいは……と美味しい弁当を買ったりしているつもりだが!(結局弁当なのかというのは、お愛嬌ということで)
だがそんなある日。いつものスーパーで弁当を買えなかった俺はワンチャンいつもと違う店に寄ってみたが……────。
凄い! 美味そうな弁当が並んでいる!
凄い! 店員もイケメン!
と、実は穴場? な店を見つけたわけで。
(今度からこの店で弁当を買おう)
浮かれていた俺は、夕飯は美味い弁当を食べれてハッピ~! な日々。店員さんにも顔を覚えられ、名前を聞かれ……?
「胃袋掴みたいなぁ」
その一言が、どんな意味があったなんて、俺は知る由もなかった。
******
そんな感じの健全なBLを緩く、短く出来ればいいなと思っています
お気軽にコメント頂けると嬉しいです
■表紙お借りしました
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる