65 / 70
触れられたいっ★
しおりを挟む
透が水野家に戻ってくれて早一週間……。
前と変わらない生活が戻ってきた。
「おはよう泉っ」
目を覚ましてキッチンに行くと既に透が起きて朝食を作ってくれている。
「おはよう透……起きるの早いね」
エプロンをつけた透はにっこりと笑う。
「なんか、目が覚めちゃって……真実は早朝のマラソンに出掛けたよ。そろそろかえってくるんじゃないかなあ?」
そう言いながら目玉焼きを焼き終えた透は壁に掛けてある時計を見上げた。
6時半……か……
今日は休日なのだからゆっくりしていてもいいのに……透は今日もバイトなのだろうか?
気になったので聞いてみる。
「今日は休みだから家にいるよ。泉、よかったら勉強見てもらっても良い?」
そう言われて、私はもちろん頷いた。
透と一緒に勉強……何かいいことでも起きるかもしれない。
★
「泉……ここって……」
良かったら私の部屋に来ない?そう言ったのだが透がなぜか困ったような顔をして……結局リビングで勉強することにした。
透の横に座って課題を解く。
時折こっそり横を見ると、すぐ近くで透が真剣な眼差しで教科書と睨めっこをしていて……なんだかとても微笑ましい。
透って……柔和な顔つきの、とってもハンサムさんだと思う。
優しげな目元に、かわいい形の耳……でももうしっかりと男の子で……いつの間にかに喉仏が目立つようになっている。
出会ったばっかりの頃は中性的で、男の子か女の子か分かりづらい体つきだったのに……ここ何か月で急に大人っぽくなった。
そんな事を考えながらついぼんやりと透に見惚れていると不意に透が振り返った。
「泉?どうかしたの?」
そう言われて慌てて透から視線を逸らす。
かあっと顔が赤くなるのがわかった。
「ううん、なんでもないよ。ちょっと考えてただけ……」
「ふうん……分からないところあったら言ってね。まあオレも分かんないかもしれないけどさっ」
透が微笑んで、再び勉強を再開したのでホッとしながら私は気を入れ直した。
……せっかく一緒に勉強してるんだから頑張らないと。
……絶対に透と同じ大学に進学したい。
お互いに分からない場所を教え合いながら進めていると、シャワーを浴び終えた真実が通りかかった。
「進んでるか?」
真実はペットボトルの水を飲みながら私たちを見つめる。
「うん……まあ。シンジも一緒にどう?」
透はそう言いながら背伸びをする。
「そうだな……折角だから一緒にやるか」
真実はそう言うと、一旦その場を離れて学校で出された課題を持ってやって来る。
……んー、どうせならこのまま二人っきりでも……
視線を上げるとちょうど真実と目があった。
真実が何を考えてるのかは分からなかったが、何か言いたげに私を見つめた後に透の正面の席に座った。
……もしかして、二人で勉強したいって考えてたことに気づかれてしまっただろうか?
……私の邪な考えを真実は見抜くのが上手いのだ。
密かにため息をつき、参考書と向き合った。
★
3人揃って宿題や課題を済ませ、ちょうどお昼頃になったので休憩する事にした。
お昼を作ろう……そう思ったところで食材が足らない事に気づき、買い物に行く事にした。
「オレ行ってくるよ?」
透はそう言ってくれたが、二人になりたかったので一緒に行く事にした。
スーパーまでの道のりはそんなに長くはない。
天気は良くはなかったが、曇り空で日差しがあまりなかったので暑くはない。
海がいた間は殆ど一緒にいられなかったので、透と二人で外を歩くのは久しぶりで嬉しかった。
どちらからともなく手を繋いで歩く。
「そういえば泉ってファンタジー小説とかも読むの?」
透がふと、そんな事を言い出して、本の趣味についての話をする。
「うん、ファンタジー小説好きで集めてたりするよ。存在しない空想の動物とか、世界観が好きなんだ」
そう言うと透は微笑む。
「あ、それは分かるかも。もし自分が今とは違う世界で生まれていたらって考えると怖いような、楽しそうな気がするよね」
「透がもし生まれ変わって、世の中を自分の好きなように変えられるとしたら、どうする?」
そう聞くと透はうーんと言って真剣に考え始めた。
「そうだなあ……苦しいこととか悲しいこととかがない世界で、誰も死なない世界……暴力とか戦争とかもなくて……みんなが幸せになれる世界……って言ったら盛り込み過ぎかなあ?」
苦笑する透。
そんな透を見ているとなんだか切なくなった。
「考えるのは自由だよ。誰にもそこまでは制限なんてできないし。……みんなが幸せになれる世界って良いね」
そう言うと透は頷いた。
「泉は?泉だったらどんな世界にする?」
逆にそう聞かれて、私は戸惑う。
「ん~。どうしようかな……」
言葉を濁しながら私は考えるふりをした。
……私が好きなようにできる世界……
私の願いが叶うなら、私は透と幸せに暮らせる世界がいいな……
そう思いながら、透と比べたら酷く小さな願いだと気づいた。
★
お昼ご飯を食べたら眠くなってしまい、午後は自由に過ごす事になった。
たまたま付けたTVでホラー映画をやっていたので観ていたら、透も興味を持ったようで一緒に観る。
真実はホラーものが苦手なのか、くだらないと思っているのかは分からないが部屋に戻ってしまった。
……日本のホラーはおどろおどろしい演出とジワリジワリと恐怖や不気味さが蔓延していくものが多い。
反対に海外のホラーは突然出てきたり、大きな音や派手な演出で恐怖を煽るものが多い気がする。
今日見ているものは日本物で、少し前に話題となった作品だった。
……そろそろ出そう……
来たっ!!
幽霊が画面一杯に現れた瞬間私は視線を落とし、TV画面が視界に入らないようにした。
隣に座っていた透がビクッとし、隣に座っていたわたしにもそれが伝わってくる。
「……い、今のすごかったね……」
透が私に同意を求めてくるが、私は画面を見なかったので分からなかった。
「……うん……」
とりあえず返事はしたが……しかし画面を見ていなくても恐怖は伝わってくる。
……これは……幽霊が画面に出るのを見ちゃうと後で怖くなるやつだ……そう実感した。
ホラー映画を見るのは好きだが、私は幽霊そのものを見るのは嫌いだ。
作り物だとしても見てしまったらそれが脳裏に焼き付いて、きっと後になって夢に出てくるだろう。
そんなに怖いなら見るのをやめたらいいと思うのだが、なぜかやめられない。
物語は進み、音と演出で再び幽霊が出るのだと分かる。
隣にいた透の腕にしがみつき、幽霊が出る直前に視線を落とす。
女の子達の悲鳴がTVから聞こえ、透が再びビク付いた。
やっぱり……今幽霊が出ているのだろう。
物語は佳境に入り、どうやら幽霊と対決しているようだ。
気づけば透にピッタリとくっついて、震えていた。
★
「んっ……泉……」
透の声で目を覚ます。
どうやら映画を見ながらソファーで寝落ちたようだ。
ソファーの背もたれに寄りかかりながら眠っている透に抱きつくようにして、私は寝ていた。
……透……あったかい……
まだ眠り続ける透の胸に顔を押し付ける。
ゆっくり深呼吸すると、胸いっぱいに透のにおいが入り込んできて、とても幸せな気分になれた。
……さっきまであんなに怖い思いをしていたのが嘘みたいだ。
付けっぱなしになっていたTVをそっと消して、再び透に抱きつく。
……大好きっ……
ひとりでにやにやしながら透に抱きついていると、なんだか身体が熱くなっていく。
この前はもう少しのところで真実のジャマが入ってしまったし……
正直……透を独占したい気持ちは治まってはいない。
透に触れられたいし、抱きしめられたい……
この前は……キスだけでも気持ち良かった……
透にもっと触れて……触って貰いたい……
そう思ってしまう自分がいた。
前と変わらない生活が戻ってきた。
「おはよう泉っ」
目を覚ましてキッチンに行くと既に透が起きて朝食を作ってくれている。
「おはよう透……起きるの早いね」
エプロンをつけた透はにっこりと笑う。
「なんか、目が覚めちゃって……真実は早朝のマラソンに出掛けたよ。そろそろかえってくるんじゃないかなあ?」
そう言いながら目玉焼きを焼き終えた透は壁に掛けてある時計を見上げた。
6時半……か……
今日は休日なのだからゆっくりしていてもいいのに……透は今日もバイトなのだろうか?
気になったので聞いてみる。
「今日は休みだから家にいるよ。泉、よかったら勉強見てもらっても良い?」
そう言われて、私はもちろん頷いた。
透と一緒に勉強……何かいいことでも起きるかもしれない。
★
「泉……ここって……」
良かったら私の部屋に来ない?そう言ったのだが透がなぜか困ったような顔をして……結局リビングで勉強することにした。
透の横に座って課題を解く。
時折こっそり横を見ると、すぐ近くで透が真剣な眼差しで教科書と睨めっこをしていて……なんだかとても微笑ましい。
透って……柔和な顔つきの、とってもハンサムさんだと思う。
優しげな目元に、かわいい形の耳……でももうしっかりと男の子で……いつの間にかに喉仏が目立つようになっている。
出会ったばっかりの頃は中性的で、男の子か女の子か分かりづらい体つきだったのに……ここ何か月で急に大人っぽくなった。
そんな事を考えながらついぼんやりと透に見惚れていると不意に透が振り返った。
「泉?どうかしたの?」
そう言われて慌てて透から視線を逸らす。
かあっと顔が赤くなるのがわかった。
「ううん、なんでもないよ。ちょっと考えてただけ……」
「ふうん……分からないところあったら言ってね。まあオレも分かんないかもしれないけどさっ」
透が微笑んで、再び勉強を再開したのでホッとしながら私は気を入れ直した。
……せっかく一緒に勉強してるんだから頑張らないと。
……絶対に透と同じ大学に進学したい。
お互いに分からない場所を教え合いながら進めていると、シャワーを浴び終えた真実が通りかかった。
「進んでるか?」
真実はペットボトルの水を飲みながら私たちを見つめる。
「うん……まあ。シンジも一緒にどう?」
透はそう言いながら背伸びをする。
「そうだな……折角だから一緒にやるか」
真実はそう言うと、一旦その場を離れて学校で出された課題を持ってやって来る。
……んー、どうせならこのまま二人っきりでも……
視線を上げるとちょうど真実と目があった。
真実が何を考えてるのかは分からなかったが、何か言いたげに私を見つめた後に透の正面の席に座った。
……もしかして、二人で勉強したいって考えてたことに気づかれてしまっただろうか?
……私の邪な考えを真実は見抜くのが上手いのだ。
密かにため息をつき、参考書と向き合った。
★
3人揃って宿題や課題を済ませ、ちょうどお昼頃になったので休憩する事にした。
お昼を作ろう……そう思ったところで食材が足らない事に気づき、買い物に行く事にした。
「オレ行ってくるよ?」
透はそう言ってくれたが、二人になりたかったので一緒に行く事にした。
スーパーまでの道のりはそんなに長くはない。
天気は良くはなかったが、曇り空で日差しがあまりなかったので暑くはない。
海がいた間は殆ど一緒にいられなかったので、透と二人で外を歩くのは久しぶりで嬉しかった。
どちらからともなく手を繋いで歩く。
「そういえば泉ってファンタジー小説とかも読むの?」
透がふと、そんな事を言い出して、本の趣味についての話をする。
「うん、ファンタジー小説好きで集めてたりするよ。存在しない空想の動物とか、世界観が好きなんだ」
そう言うと透は微笑む。
「あ、それは分かるかも。もし自分が今とは違う世界で生まれていたらって考えると怖いような、楽しそうな気がするよね」
「透がもし生まれ変わって、世の中を自分の好きなように変えられるとしたら、どうする?」
そう聞くと透はうーんと言って真剣に考え始めた。
「そうだなあ……苦しいこととか悲しいこととかがない世界で、誰も死なない世界……暴力とか戦争とかもなくて……みんなが幸せになれる世界……って言ったら盛り込み過ぎかなあ?」
苦笑する透。
そんな透を見ているとなんだか切なくなった。
「考えるのは自由だよ。誰にもそこまでは制限なんてできないし。……みんなが幸せになれる世界って良いね」
そう言うと透は頷いた。
「泉は?泉だったらどんな世界にする?」
逆にそう聞かれて、私は戸惑う。
「ん~。どうしようかな……」
言葉を濁しながら私は考えるふりをした。
……私が好きなようにできる世界……
私の願いが叶うなら、私は透と幸せに暮らせる世界がいいな……
そう思いながら、透と比べたら酷く小さな願いだと気づいた。
★
お昼ご飯を食べたら眠くなってしまい、午後は自由に過ごす事になった。
たまたま付けたTVでホラー映画をやっていたので観ていたら、透も興味を持ったようで一緒に観る。
真実はホラーものが苦手なのか、くだらないと思っているのかは分からないが部屋に戻ってしまった。
……日本のホラーはおどろおどろしい演出とジワリジワリと恐怖や不気味さが蔓延していくものが多い。
反対に海外のホラーは突然出てきたり、大きな音や派手な演出で恐怖を煽るものが多い気がする。
今日見ているものは日本物で、少し前に話題となった作品だった。
……そろそろ出そう……
来たっ!!
幽霊が画面一杯に現れた瞬間私は視線を落とし、TV画面が視界に入らないようにした。
隣に座っていた透がビクッとし、隣に座っていたわたしにもそれが伝わってくる。
「……い、今のすごかったね……」
透が私に同意を求めてくるが、私は画面を見なかったので分からなかった。
「……うん……」
とりあえず返事はしたが……しかし画面を見ていなくても恐怖は伝わってくる。
……これは……幽霊が画面に出るのを見ちゃうと後で怖くなるやつだ……そう実感した。
ホラー映画を見るのは好きだが、私は幽霊そのものを見るのは嫌いだ。
作り物だとしても見てしまったらそれが脳裏に焼き付いて、きっと後になって夢に出てくるだろう。
そんなに怖いなら見るのをやめたらいいと思うのだが、なぜかやめられない。
物語は進み、音と演出で再び幽霊が出るのだと分かる。
隣にいた透の腕にしがみつき、幽霊が出る直前に視線を落とす。
女の子達の悲鳴がTVから聞こえ、透が再びビク付いた。
やっぱり……今幽霊が出ているのだろう。
物語は佳境に入り、どうやら幽霊と対決しているようだ。
気づけば透にピッタリとくっついて、震えていた。
★
「んっ……泉……」
透の声で目を覚ます。
どうやら映画を見ながらソファーで寝落ちたようだ。
ソファーの背もたれに寄りかかりながら眠っている透に抱きつくようにして、私は寝ていた。
……透……あったかい……
まだ眠り続ける透の胸に顔を押し付ける。
ゆっくり深呼吸すると、胸いっぱいに透のにおいが入り込んできて、とても幸せな気分になれた。
……さっきまであんなに怖い思いをしていたのが嘘みたいだ。
付けっぱなしになっていたTVをそっと消して、再び透に抱きつく。
……大好きっ……
ひとりでにやにやしながら透に抱きついていると、なんだか身体が熱くなっていく。
この前はもう少しのところで真実のジャマが入ってしまったし……
正直……透を独占したい気持ちは治まってはいない。
透に触れられたいし、抱きしめられたい……
この前は……キスだけでも気持ち良かった……
透にもっと触れて……触って貰いたい……
そう思ってしまう自分がいた。
0
あなたにおすすめの小説
小さなパン屋の恋物語
あさの紅茶
ライト文芸
住宅地にひっそりと佇む小さなパン屋さん。
毎日美味しいパンを心を込めて焼いている。
一人でお店を切り盛りしてがむしゃらに働いている、そんな毎日に何の疑問も感じていなかった。
いつもの日常。
いつものルーチンワーク。
◆小さなパン屋minamiのオーナー◆
南部琴葉(ナンブコトハ) 25
早瀬設計事務所の御曹司にして若き副社長。
自分の仕事に誇りを持ち、建築士としてもバリバリ働く。
この先もずっと仕事人間なんだろう。
別にそれで構わない。
そんな風に思っていた。
◆早瀬設計事務所 副社長◆
早瀬雄大(ハヤセユウダイ) 27
二人の出会いはたったひとつのパンだった。
**********
作中に出てきます三浦杏奈のスピンオフ【そんな恋もありかなって。】もどうぞよろしくお願い致します。
**********
この作品は、他のサイトにも掲載しています。
「お前みたいな卑しい闇属性の魔女など側室でもごめんだ」と言われましたが、私も殿下に嫁ぐ気はありません!
野生のイエネコ
恋愛
闇の精霊の加護を受けている私は、闇属性を差別する国で迫害されていた。いつか私を受け入れてくれる人を探そうと夢に見ていたデビュタントの舞踏会で、闇属性を差別する王太子に罵倒されて心が折れてしまう。
私が国を出奔すると、闇精霊の森という場所に住まう、不思議な男性と出会った。なぜかその男性が私の事情を聞くと、国に与えられた闇精霊の加護が消滅して、国は大混乱に。
そんな中、闇精霊の森での生活は穏やかに進んでいく。
結婚初夜、「何故彼女が死んでお前が生きているんだ」と夫に言われました
ましゅぺちーの
恋愛
侯爵令嬢のアリサは婚約者だった王太子テオドールと結婚した。
ちょうどその半年前、アリサの腹違いの妹のシアは不慮の事故で帰らぬ人となっていた。
王太子が婚約者の妹のシアを愛していたのは周知の事実だった。
そんな彼は、結婚初夜、アリサに冷たく言い放った。
「何故彼女が死んでお前が生きているんだ」と。
皆に優しい幸崎さんは、今日も「じゃない方」の私に優しい
99
ライト文芸
奥手で引っ込み思案な新入社員 × 教育係のエリート社員
佐倉美和(23)は、新入社員研修時に元読者モデルの同期・橘さくらと比較され、「じゃない方の佐倉」という不名誉なあだ名をつけられてしまい、以来人付き合いが消極的になってしまっている。
そんな彼女の教育係で営業部のエリート・幸崎優吾(28)は「皆に平等に優しい人格者」としてもっぱらな評判。
美和にも当然優しく接してくれているのだが、「それが逆に申し訳なくて辛い」と思ってしまう。
ある日、美和は学生時代からの友人で同期の城山雪の誘いでデパートのコスメ売り場に出かけ、美容部員の手によって別人のように変身する。
少しだけ自分に自信を持てたことで、美和と幸崎との間で、新しい関係が始まろうとしていた・・・
素敵な表紙はミカスケ様のフリーイラストをお借りしています。
http://misoko.net/
他サイト様でも投稿しています。
皇帝陛下の寵愛は、身に余りすぎて重すぎる
若松だんご
恋愛
――喜べ、エナ! お前にも縁談が来たぞ!
数年前の戦で父を、病で母を亡くしたエナ。
跡継ぎである幼い弟と二人、後見人(と言う名の乗っ取り)の叔父によりずっと塔に幽閉されていたエナ。
両親の不在、後見人の暴虐。弟を守らねばと、一生懸命だったあまりに、婚期を逃していたエナに、叔父が(お金目当ての)縁談を持ちかけてくるけれど。
――すまないが、その縁談は無効にさせてもらう!
エナを救ってくれたのは、幼馴染のリアハルト皇子……ではなく、今は皇帝となったリアハルト陛下。
彼は先帝の第一皇子だったけれど、父帝とその愛妾により、都から放逐され、エナの父のもとに身を寄せ、エナとともに育った人物。
――結婚の約束、しただろう?
昔と違って、堂々と王者らしい風格を備えたリアハルト。驚くエナに妻になってくれと結婚を申し込むけれど。
(わたし、いつの間に、結婚の約束なんてしてたのっ!?)
記憶がない。記憶にない。
姉弟のように育ったけど。彼との別れに彼の無事を願ってハンカチを渡したけれど! それだけしかしてない!
都会の洗練された娘でもない。ずっと幽閉されてきた身。
若くもない、リアハルトより三つも年上。婚期を逃した身。
後ろ盾となる両親もいない。幼い弟を守らなきゃいけない身。
(そんなわたしが? リアハルト陛下の妻? 皇后?)
ずっとエナを慕っていたというリアハルト。弟の後見人にもなってくれるというリアハルト。
エナの父は、彼が即位するため起こした戦争で亡くなっている。
だから。
この求婚は、その罪滅ぼし? 昔世話になった者への恩返し?
弟の後見になってくれるのはうれしいけれど。なんの取り柄もないわたしに求婚する理由はなに?
ずっと好きだった彼女を手に入れたかったリアハルトと、彼の熱愛に、ありがたいけれど戸惑いしかないエナの物語。
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
【完結・BL】胃袋と掴まれただけでなく、心も身体も掴まれそうなんだが!?【弁当屋×サラリーマン】
彩華
BL
俺の名前は水野圭。年は25。
自慢じゃないが、年齢=彼女いない歴。まだ魔法使いになるまでには、余裕がある年。人並の人生を歩んでいるが、これといった楽しみが無い。ただ食べることは好きなので、せめて夕食くらいは……と美味しい弁当を買ったりしているつもりだが!(結局弁当なのかというのは、お愛嬌ということで)
だがそんなある日。いつものスーパーで弁当を買えなかった俺はワンチャンいつもと違う店に寄ってみたが……────。
凄い! 美味そうな弁当が並んでいる!
凄い! 店員もイケメン!
と、実は穴場? な店を見つけたわけで。
(今度からこの店で弁当を買おう)
浮かれていた俺は、夕飯は美味い弁当を食べれてハッピ~! な日々。店員さんにも顔を覚えられ、名前を聞かれ……?
「胃袋掴みたいなぁ」
その一言が、どんな意味があったなんて、俺は知る由もなかった。
******
そんな感じの健全なBLを緩く、短く出来ればいいなと思っています
お気軽にコメント頂けると嬉しいです
■表紙お借りしました
お前が欲しくて堪らない〜年下御曹司との政略結婚
ラヴ KAZU
恋愛
忌まわしい過去から抜けられず、恋愛に臆病になっているアラフォー葉村美鈴。
五歳の時の初恋相手との結婚を願っている若き御曹司戸倉慶。
ある日美鈴の父親の会社の借金を支払う代わりに美鈴との政略結婚を申し出た慶。
年下御曹司との政略結婚に幸せを感じることが出来ず、諦めていたが、信じられない慶の愛情に困惑する美鈴。
慶に惹かれる気持ちと過去のトラウマから男性を拒否してしまう身体。
二人の恋の行方は……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる