◆青海くんを振り向かせたいっ〜水野泉の恋愛事情

青海

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ガマンできない

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 「透……どうかしたの?」

 私を見つめる透は何故か顔を赤らめ、視線を逸らす。

 「んっ、いや別に……さ、さっきの続き……やっちゃおうか」

 透は慌てたように教科書に視線を落とす。




 

 寝る前に少し勉強をしようと思い、躓いたところがあったので透に教えて貰おうと部屋を訪ねていた。

 透はそろそろ寝ようとしていたようだったが、二つ返事で引き受けてくれたので透の隣に座った。

 「泉、どこがわからないの?」

 そう聞かれ、教科書を開きながら透が見やすいように身を寄せる。

 「あのね、ここの……」

 指差しながら分からない場所を説明して、ふと顔を上げると至近距離にいた透と目があった。
 
 ……ん……

 なんとなく視線を逸らすことが出来ずにそのまま透を見つめる。

 ……キス出来そうな距離だな……

 そう思い、そっと透の腕に触れる。

 このまま……キスしたい……

 ……

 そっと目を閉じて……

 
 
 「っ!ごめんっ!!」

 不意に透に謝られ、目を開けると透が真っ赤な顔をしながら私から視線を逸らせるところだった。

 なんだかキスするのを避けられてしまったような形になり、密かにショックを受ける。

 「せっかく分からないところを聞きに来てくれたのに……なんかごめんねっ……」

 透はそう言いながらほんの少し私から離れた。

 「……ううん、私はぜんぜん……」

 気まずくなってしまうのが怖くて、なんとか微笑んで勉強の続きをすることにした。

 


 「で、こっちは……」

 勉強を教えてもらいながらも、時折透の視線を感じた気がして……

 
 穏やかで低い透の声が耳をくすぐる。
 
 隣にいるだけで、ドキドキして……

 胸が熱くなる。



 
 「透……」

 ついにガマンできなくなり、透の手に触れる。

 「泉っ……」

 ほぼ同時に名前を囁かれ、顔を上げると透が私を見下ろしていた。

 なんだか気恥ずかしくなり、視線を逸らしたが、透の手を握る。

 「っ、その……パジャマ……夏用のに変えたんだね。かわいいね……」

 唐突に透にそう言われ、胸元に視線を落とす。

 新しい夏用のパジャマには、胸元に白い猫が刺繍されているものだったのでその事を言ってるのだろう。

 「うんっ、この猫ちゃんに一目惚れして買ったんだっ。かわいいよね」

 そう言いながら視線を胸元に下ろして……パジャマの下にブラジャーを付けていなかったことに気づく。

 基本的に、お風呂の後は部屋の一人でいたり、すぐに寝ることが多かったのでブラジャーをつけないことが多かった

 ついいつものくせで今日も……付けていなかった。

 そして、夏用パジャマは布地が薄くなっているために、乳首の位置がうっすらとわかるくらいになってしまっていた。

 「っ……」

 それに気づき、勝手に顔が赤くなっていくのがわかった。

 透は……気づいたのだろう。
 
 だから私から視線を逸らして見ないようにしてくれたりしてくれてたのだと思う。

 平静を装って、自然に見えるように胸に手をやり、なんとか隠そうとした。

 「泉……これ掛けてな……」

 ベッドに置かれていたタオルケットを肩に掛けられて、胸元を隠すことができた。

 恥ずかしかったがホッとしながら顔を上げると、赤い顔をした透は困ったような顔で微笑んだ。

 「泉ってば無防備すぎだよ」

 照れたように笑う透を至近距離で見上げていると、不意にガマンができなくなってしまっていた。

 ……透の喉仏……

 思わず手を伸ばして、そっと口付ける。

 「あっ……いずみっ……!?」

 驚いている透をそっと床に押し倒す。

 透の喉元に何度もキスをして、何か言おうとする透の唇を塞いだ。

 「んっ……」

 声を漏らした透に手首を掴まれたので、逆に手を握る。

 透の指と、私の指を絡ませる。

 ……反対の手も……

 キスをしながら透の手を握ると、透の身体から力が抜けていくのを感じた。

 「んっ……あっ……」

 透の声を聞きながら唇に舌を這わせると、そっと口を開けてくれたので優しく透の舌を舐める。

 「んっ……いずみっ……」

 ……透の色っぽい低い声は私の欲望を掻き立てていく。



 「……透っ……大好きっ……」

 唇を離すと透と目が合い、好きで好きでたまらない気持ちが溢れていく。

 ……このままこの前の続き……したいっ……

 自然と透のお腹に跨っていたのだが、さっきからお尻の辺りに当たっているのは透の……

 ……透も私と同じ気持ちになってくれている……

 ……嬉しくなって、透にもう一度キスをした。

 握った透の手がキュッと握り返される。

 ……透と一つに……

 
 


 
 「透、ちょっといいか?」

 不意にドアをノックする音と同時に真実の声がした。

 間髪入れずにドアが開き、真実が部屋に入ってくる。

 「っと……悪い、取り込み中だったか」

 透を押し倒して跨っている私と目が合った真実は、謝りながら透に視線をやる。

 「……真実……どうしたの?」

 気まずそうに透が真実に話しかける。

 「辞書借りるぞ……」

 真実は慣れた様子で本棚に行くとお目当てのものらしい本を一冊抜き取る。

 私と透はその間微動だに出来ず、固まっていた。

 真実はそのまま颯爽と部屋を出て行きかけ、ドアを閉める間際に振り返り、わたしたちに言った。

 「お前ら、ちゃんと付けろよ?」




 
 静かにドアが閉められて、足音が遠ざかっていった。

 
 気が抜けてしまい視線を落とすと透と目が合う。

 透も驚いていたようで……

 我にかえり、不意にとても恥ずかしくなる。

 「……なんだかごめんね?」

 慌てて透から離れると、透がこまったように苦笑した。

 「……いや、オレこそ……」

 お互い謝りあって、なんだか可笑しくなって二人で笑う。

 
 「もう真実ってば2回も私たちの邪魔して……」

 そう言うと透はそっと首を振った。

 「まあ、オレにはまだこういうことは早いってことだよ」

 微笑んだ透は起き上がると机の上の教科書を閉じた。

 「今日はこの辺にしようか。もう遅いし」

 残念だな……そう思いながらわたしも教科書を片付けた。



 
 
 

 

 

 
 
 

 
 

 

 
 

 
 
 
 
 
 
 

 
 
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