◆青海くんを振り向かせたいっ〜水野泉の恋愛事情

青海

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もうすぐ修学旅行

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 5月の終わり、ホームルームの時間に修学旅行について担任の教師から話をされた。

 ……そういえば来月は修学旅行だった。

 今年は栃木に行くことになったらしい。

 ……修学旅行……

 教師は修学旅行の班を決めておくように言い、旅行の栞を配り始める。

 ……四人で一つ班になるように……とのことだった。

 私は隣の席の透を見る。

 透は修学旅行には興味がないのか、栞を机の端に寄せて、頬杖をつきながら目を閉じていた。

 ……お昼の後だから眠くなってきたのだろう。

 「ねえ水野さん、私たち同じ班にしよう?真実と透クンの4人でいいわよね?ついでに同じ部屋にしようよ?」

 修学旅行の部屋割りは2人でひと部屋だ。

 ……友達が少なく、一緒の部屋になってくれそうな人のアテも無かったので正直ありがたかった。

 ホッとしながら頷くと、浅川さんも笑ってくれた。

 浅川さんはお隣の真実に声をかけていたし、真実もまんざらではないというふうに頷いていた。

 ……透も……

 そう思って目を閉じていた透に声をかける。

 「透、ねえ透……」

 「んっ?」

 ハッとしたように透は目を開け、眠たそうに私を見た。

 「修学旅行、同じ班にしよう?真実と浅川さんと4人で」

 そう言うと透は少しこまったような顔をする。

 「ああ……ごめん泉……修学旅行ってみんなとお風呂に入ったり、同じ部屋に泊まったりするんでしょ?……オレ……そういうのはちょっと……今回もやめようと思ってるんだけど……」

 「えっ!?」

 驚いて透を見つめる。

 ……でも確かに……大浴場のお風呂にと言ったら、透は身体の傷跡を他の男子に見られてしまうことになる。

「オレのことは気にしないで行って来なよ。その間オレは勉強しなきゃな……泉と同じ大学行けるように……」

 そう言われて……ショックを受けていると浅川さんの隣から真実が声を掛けてくる。

 「おい、学生時代の集団行動はなあ、勉強のひとつだぞ?まあ無理にとは言わないけど……そういえば透、中学の時も参加してなかったよな?」

 真実の言葉に透は頷く。

 「あの頃はまだ……普通の生活に慣れて無かったから……」

 「小学校のは行ったのか?」

 透は首を振った。

 「……あんまりその頃の記憶ってないんだ……」

 そう言いながら透は下を向いた。

 ……小学校の頃の透……その頃はまだきっと透が親戚から虐待を受けていたはずだ。 

 真実はそんな透をなんとも言えない顔で見つめるが、不意に笑顔になった。

 「だったら今回はなおのこと行こうぜ?部屋割りは俺と一緒にすればいいだろ?今回のホテルは部屋に風呂が備えついてるし、なんの心配もないって!」

 そう言いながら透に旅の栞を見せている。

 「……そうなの?だったらまあ……行ってみてもいいかなあ」

 少し安心したように透は真実と栞を眺め始めた。

 

 ……透……一緒に行けるといいなあ……

 そう思いながら栞を眺める。

 ……今回の旅行先は何度か訪れたことのある場所も含まれていたため、目新しさはないかもしれないが、透が一緒ならば絶対に楽しいはずだ。

 

 班申請の用紙にメンバーを記入した真実と視線がぶつかった。

 真実は私に気づくとふっと笑う。

 ……透のこと説得してくれてありがとう。

 そう思いながら私は微笑む。

 
   
 「でもなんだか真実と同じ部屋で泊まりって……そんなにいつもと変わらない気がするね」

 ふっと透はそんなことを言った。

 「え?」

 聞き返すと透は苦笑する。

 「だって割と真実ってばオレの部屋で泊まってくこと結構あるしさ。まあでもホテルの部屋はベッドなり布団がちゃんと二人分あるからゆったりと寝れそうだね」

 透の言葉に驚く。

 真実ってばそんなにしょっちゅう透の部屋でお泊まりしてるの!?……それに今の透の言い方からすると……透のベッドで一緒に寝てたり……するの!?

 思わず真実を睨んでしまう。

 真実は私に気づかない素振りで班の申請用紙を提出しに行ってしまい、それ以上追求することができなかった。

 

 ……真実ってば……透と付き合ってる私でさえそんなに透の部屋にお泊まりなんかしたことないのに……。

 ズルい……!!

 私は密かに真実への対抗心を抱いたのであった。





 


 
 
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