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第2章 ライムの酸味とあの日のこと
第8話 一通の手紙と、残されたグラス
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高校の卒業式の翌日。
私は、駅前のカフェにいた。
早朝にもかかわらず落ち着かず、何度もバッグの中を探っては、指先が折れかけた便箋に触れる。
「今日、会えますか」
前日に送った短いメッセージに、律希からの返事はなかった。
けれど、約束の時間を過ぎても私は帰ることができなかった。
彼に伝えたかった。
あの時言えなかった想いも、モヒートの味も、これからどうしたらいいかも、全部――。
待ち続けるうちに、ぬるくなった紅茶を一口だけ飲んで、私は手紙を取り出した。
便箋には、何度も書き直した文字で、こう綴られていた。
> 突然でごめんなさい。
> 卒業おめでとう。そして、ありがとう。
> もし少しでも、私のことを覚えていてくれたら嬉しいです。
本当は「好きでした」と書きたかった。でも、どうしても言葉にできなかった。
校閲の仕事をする今の私なら、「書けていないこと」の重大さに赤を入れるだろう。
けれど、そのときの私は、それで精一杯だった。
結局、律希は来なかった。
私はその手紙を封筒に入れて、グラスの下にそっと差し込んだ。
彼が見つけてくれたら――そう願いながら。
そして、何も言わずにその場を去った。
グラスの中には、紅茶の琥珀色と、伝えられなかった想いだけが残されていた。
私は、駅前のカフェにいた。
早朝にもかかわらず落ち着かず、何度もバッグの中を探っては、指先が折れかけた便箋に触れる。
「今日、会えますか」
前日に送った短いメッセージに、律希からの返事はなかった。
けれど、約束の時間を過ぎても私は帰ることができなかった。
彼に伝えたかった。
あの時言えなかった想いも、モヒートの味も、これからどうしたらいいかも、全部――。
待ち続けるうちに、ぬるくなった紅茶を一口だけ飲んで、私は手紙を取り出した。
便箋には、何度も書き直した文字で、こう綴られていた。
> 突然でごめんなさい。
> 卒業おめでとう。そして、ありがとう。
> もし少しでも、私のことを覚えていてくれたら嬉しいです。
本当は「好きでした」と書きたかった。でも、どうしても言葉にできなかった。
校閲の仕事をする今の私なら、「書けていないこと」の重大さに赤を入れるだろう。
けれど、そのときの私は、それで精一杯だった。
結局、律希は来なかった。
私はその手紙を封筒に入れて、グラスの下にそっと差し込んだ。
彼が見つけてくれたら――そう願いながら。
そして、何も言わずにその場を去った。
グラスの中には、紅茶の琥珀色と、伝えられなかった想いだけが残されていた。
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