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第2章 ライムの酸味とあの日のこと
第10話 そして私は、大人になってしまった
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あの日の想いを、やっと口にできたのに。
それでも胸の奥に、すっきりしない何かが残っていた。
私はグラスを見つめたまま、小さく息をついた。
「……ねえ、律希。あのとき“好きだった”って言われてたら、私、どうしてたと思う?」
彼はグラスを拭く手を止めて、しばらく黙っていた。
そして、迷いのない目でこちらを見た。
「きっと、笑って“私も”って言ってた。そうでしょ?」
「うん……そうだったと思う。」
その“たられば”が、何年も心の底に沈んでいた。
だけど今なら、その過去を正面から見られる気がした。
「昔の私は、いつも“今じゃない”って自分に言い訳してた。
本当はずっと、こわかったんだよね。自分の気持ちが伝わらなかったらどうしようって。」
「それは……俺も同じだったよ。」
律希の言葉が、ふわりと夜風に溶けていく。
もう高校生じゃない私たちの声は、どこか少し低くて、静かだった。
「それで、今は?」
律希がやさしく問いかける。
私はグラスの中に残った氷を見つめた。
すっかり薄まったモヒートが、透明な層を作っている。
「今の私は……ちゃんと、大人になったんだと思う。
誰かに想いを伝えることが、こわいだけじゃなくなった。」
「それなら……」
彼の言葉に、私はそっと顔を上げる。
「うん。今度はちゃんと、伝えられると思う。」
律希が少し目を伏せて、静かに笑った。
私たちが大人になった証は、たぶん、想いをため込まずに伝えられること。
たとえそれが過去からやってきた気持ちでも――今、向き合えるなら、遅くなんかない。
私はそっと、グラスを差し出した。
「ねえ。もう一杯だけ、いい?」
「もちろん。」
律希が再びハバナクラブのボトルを手にした。
あのときと同じレシピで、でも今の私たちのための一杯を。
夜風が吹いて、ミントの葉がふわりと揺れた。
それでも胸の奥に、すっきりしない何かが残っていた。
私はグラスを見つめたまま、小さく息をついた。
「……ねえ、律希。あのとき“好きだった”って言われてたら、私、どうしてたと思う?」
彼はグラスを拭く手を止めて、しばらく黙っていた。
そして、迷いのない目でこちらを見た。
「きっと、笑って“私も”って言ってた。そうでしょ?」
「うん……そうだったと思う。」
その“たられば”が、何年も心の底に沈んでいた。
だけど今なら、その過去を正面から見られる気がした。
「昔の私は、いつも“今じゃない”って自分に言い訳してた。
本当はずっと、こわかったんだよね。自分の気持ちが伝わらなかったらどうしようって。」
「それは……俺も同じだったよ。」
律希の言葉が、ふわりと夜風に溶けていく。
もう高校生じゃない私たちの声は、どこか少し低くて、静かだった。
「それで、今は?」
律希がやさしく問いかける。
私はグラスの中に残った氷を見つめた。
すっかり薄まったモヒートが、透明な層を作っている。
「今の私は……ちゃんと、大人になったんだと思う。
誰かに想いを伝えることが、こわいだけじゃなくなった。」
「それなら……」
彼の言葉に、私はそっと顔を上げる。
「うん。今度はちゃんと、伝えられると思う。」
律希が少し目を伏せて、静かに笑った。
私たちが大人になった証は、たぶん、想いをため込まずに伝えられること。
たとえそれが過去からやってきた気持ちでも――今、向き合えるなら、遅くなんかない。
私はそっと、グラスを差し出した。
「ねえ。もう一杯だけ、いい?」
「もちろん。」
律希が再びハバナクラブのボトルを手にした。
あのときと同じレシピで、でも今の私たちのための一杯を。
夜風が吹いて、ミントの葉がふわりと揺れた。
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