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列車は二十六時にしか来ない
第六章 記憶の“欠片”
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無音は裂け目のように訪れた。車輪の振動が消え、蛍光灯の水銀が揮発する匂いさえ途切れる。二:〇六を指す見えない針が空間を貫き、列車は重さを失って滑空した。
照人は座席に押し留められながら、心臓だけが鼓動を打つのを感じた。茅乃はすぐ隣で目を閉じ、イヤホンコードを両手で結び直している。耳たぶの青光は、ほとんど灰色へ褪せていた。
■ ■ ■
衝撃。列車が停止し、扉が開く。そこはホームではなく、薄青い靄の海だった。足を踏み出すと床は無く、しかし沈まない。光が足裏で波を打ち、記憶の底へ戻る映写幕のように景色を映した。
「あそこ……見て」
茅乃が指さす先、靄の波紋に家族写真が浮かぶ。父、母、兄、幼い照人。だが顔が溶けかけ、部分的に白いノイズが走っていた。写真がフィルムから剝がれ、記憶からも剝落しかけているのだ。
「これは“欠片”。巻戻しで削れた記憶の断面だよ」
茅乃は説明しながら膝を突き、指先で光の海へ触れた。波紋が大きく広がり、次の映像が浮上する。兄が高校の昇降口で後輩にカメラを向け、笑われている場面。しかし兄の笑顔は輪郭を保てず、ピントが背景へ逃げる。
「回数を重ねるほど写真の整合性が壊れていく。核心を押さえられなければ、最終的に“欠片”だけになってしまう」
「兄さんの存在ごと、記憶から消えるってこと……?」
茅乃は肯いた。「それが線路守の清算率。忘れ去られた時間は、帳簿へ最短距離で堆積する」
照人はカメラを構えた。ファインダーには靄が映るだけで焦点が定まらない。三枚の核心写真がメモリーの奥で蒸発する音がした。残る一枚の欠片が、ここで姿を見せるはずだ。
「静寂の中で音を探すんだよ」
茅乃の声が遠い川のせせらぎのように揺れる。照人は耳を澄まし、無音の底で微細なクリックを探した。カメラのシャッター・カウントダウンが、どこかで高い金属音を鳴らした気がする。
突然、靄の中に影が立った。中学生ほどの背丈、ランドセルを背負い、右手で古い銀塩カメラを握っている。自分だ。十三歳の照人が兄の文化祭で撮影を頼まれた日の姿だ。しかし影は色を欠き、輪郭がノイズで欠けている。
―あの日。兄は自分にだけ秘密を打ち明けた。二:〇六の列車に乗る計画。父の遺したネガを現像する場所がそこにあると――。
記憶が靄を透過し、影が口を動かす。だが言葉は聞こえず、写真の破片が次々と剝がれ落ちて靄へ溶けた。
茅乃がメトロノームの殻を掲げる。割れ目から滲む青光が、揮発ガスに似た匂いを放つ。
「最後の共鳴。欠片を一つに束ねれば、核心へ届く」
振り子は失われたまま。それでも彼女は殻を叩き、内部の水晶を震わせた。「カチ」。無音に響く孤独な一拍。
影の兄が現れた。高校生の姿、肩越しに虹を見上げる横顔。腕時計はまだ動き、二:〇六を示し続けている。だが虹の帯は半分欠損し、空に穴が開いて暗黒が覗く。
照人はファインダーを兄へ合わせた。ピントリングが妙に軽く、無限遠へ滑る。影像はぼけ、シャッターは固く閉ざされたまま。
「記憶が拒んでる……!」
茅乃が声を上げる。「残り回数を私に譲って。君はシャッターに全てを乗せて」
彼女の耳たぶの粒が、灰色にフェードアウトし始めている。照人は首を振る。
「君が消えたら意味が無い!」
「私は記録係。欠片を紡ぐ糸になれればいいんだよ」
涙のような青光が彼女の目尻から滴り、靄に落ちて星を散らす。
照人は叫んだ。「俺の時間を持っていけ! 兄さんと君を同じフレームに入れる。それが核心だ!」
靄が渦を巻き、白黒フィルムの粒子が逆流する。影の兄の虹と、現在の茅乃の青光がぶつかり、色相環が一瞬で展開した。全色が混ざる白。無音が完全な無へ落ち込む。
〈シャッター〉
押下音は骨伝導のように体内へ響く。ファインダーは光で飽和し、露光オーバーの警告が液晶に流れた。
やがて靄が晴れる。ホームの形が戻り、列車の外壁が現れた。時の海はもう無い。足元に小さなガラス破片が落ちている。茅乃の青光の結晶だった。彼女は座席にもたれ、息を整えている。粒は完全には消えていない。
カメラの液晶に一枚の新画像。兄が虹を指し、隣で茅乃がファインダーを覗く――時系列を越えた矛盾の写真。それなのに輪郭は鮮明で、背景の空には虹と星と月が同時にかかっている。
「撮れた……?」
「核心、越境したみたい」茅乃は微笑んだ。「でも私の時間、ほとんど残ってない」
照人は首を振る。「兄さんの時計が動き出せば、君の欠損も返ってくる。九条の仕上げに賭けよう」
列車が静かに動き出す。ホームの時計塔が瞬き、短針は二、長針がゆっくりと進む。二:〇七。時間が動いた。
九条の懐中時計が通路に浮かび、文字盤いっぱいに花火のような歯車が咲く。
〈欠片は揃った。時計店へ帰還せよ〉
メッセージは光で刻まれ、車内灯が温かな白へ変わる。
照人は茅乃の手を取った。指は冷たいが脈はまだある。
「あと少し。一緒に帰る」
「うん……家族写真の続きを撮らないとね」
列車は二:〇七を越え、二:〇八へ。ガラスに映る星の河が一本の軌道を指し示す。記憶の“欠片”は織り上がり、最後の大判写真へ焼き付けられる準備を整えた。
沈黙を破るように車両後方でドアが開き、柔らかな足音が近づいた。振り向くと、毛織の外套をまとった九条が立っている。
「検品に来た。核心の素子が正しく刻まれたかをね」
九条はカメラを受け取り、新画像をじっと眺めた。目の奥で歯車が回る静かな熱が揺れる。
「露光は成功。でも代償がいる」
彼は茅乃へ視線を投げ、照人へ告げた。兄を救う交換条件は君の未来七十二時間だと。
線路守の影が現れ、白い名札が宙を舞う。異議の無い取引を確認すると、名札は雪のように融け、茅乃の青光がわずかに戻る。
九条は外套を翻し、ドアへ向かった。「時計店で最後の磨きを施そう。二十六時の扉は開いている」
列車は加速し、窓外の銀河が虹を描く。照人は茅乃に笑いかけた。「終点で、みんなで写真を撮ろう」
茅乃は青い瞳で応えた。「シャッターを切るのは君だよ」
車輪がリズムを高め、二:〇八の時刻が列車を前へ押す。最後のフレームが、光と影の狭間で待っている。
照人は座席に押し留められながら、心臓だけが鼓動を打つのを感じた。茅乃はすぐ隣で目を閉じ、イヤホンコードを両手で結び直している。耳たぶの青光は、ほとんど灰色へ褪せていた。
■ ■ ■
衝撃。列車が停止し、扉が開く。そこはホームではなく、薄青い靄の海だった。足を踏み出すと床は無く、しかし沈まない。光が足裏で波を打ち、記憶の底へ戻る映写幕のように景色を映した。
「あそこ……見て」
茅乃が指さす先、靄の波紋に家族写真が浮かぶ。父、母、兄、幼い照人。だが顔が溶けかけ、部分的に白いノイズが走っていた。写真がフィルムから剝がれ、記憶からも剝落しかけているのだ。
「これは“欠片”。巻戻しで削れた記憶の断面だよ」
茅乃は説明しながら膝を突き、指先で光の海へ触れた。波紋が大きく広がり、次の映像が浮上する。兄が高校の昇降口で後輩にカメラを向け、笑われている場面。しかし兄の笑顔は輪郭を保てず、ピントが背景へ逃げる。
「回数を重ねるほど写真の整合性が壊れていく。核心を押さえられなければ、最終的に“欠片”だけになってしまう」
「兄さんの存在ごと、記憶から消えるってこと……?」
茅乃は肯いた。「それが線路守の清算率。忘れ去られた時間は、帳簿へ最短距離で堆積する」
照人はカメラを構えた。ファインダーには靄が映るだけで焦点が定まらない。三枚の核心写真がメモリーの奥で蒸発する音がした。残る一枚の欠片が、ここで姿を見せるはずだ。
「静寂の中で音を探すんだよ」
茅乃の声が遠い川のせせらぎのように揺れる。照人は耳を澄まし、無音の底で微細なクリックを探した。カメラのシャッター・カウントダウンが、どこかで高い金属音を鳴らした気がする。
突然、靄の中に影が立った。中学生ほどの背丈、ランドセルを背負い、右手で古い銀塩カメラを握っている。自分だ。十三歳の照人が兄の文化祭で撮影を頼まれた日の姿だ。しかし影は色を欠き、輪郭がノイズで欠けている。
―あの日。兄は自分にだけ秘密を打ち明けた。二:〇六の列車に乗る計画。父の遺したネガを現像する場所がそこにあると――。
記憶が靄を透過し、影が口を動かす。だが言葉は聞こえず、写真の破片が次々と剝がれ落ちて靄へ溶けた。
茅乃がメトロノームの殻を掲げる。割れ目から滲む青光が、揮発ガスに似た匂いを放つ。
「最後の共鳴。欠片を一つに束ねれば、核心へ届く」
振り子は失われたまま。それでも彼女は殻を叩き、内部の水晶を震わせた。「カチ」。無音に響く孤独な一拍。
影の兄が現れた。高校生の姿、肩越しに虹を見上げる横顔。腕時計はまだ動き、二:〇六を示し続けている。だが虹の帯は半分欠損し、空に穴が開いて暗黒が覗く。
照人はファインダーを兄へ合わせた。ピントリングが妙に軽く、無限遠へ滑る。影像はぼけ、シャッターは固く閉ざされたまま。
「記憶が拒んでる……!」
茅乃が声を上げる。「残り回数を私に譲って。君はシャッターに全てを乗せて」
彼女の耳たぶの粒が、灰色にフェードアウトし始めている。照人は首を振る。
「君が消えたら意味が無い!」
「私は記録係。欠片を紡ぐ糸になれればいいんだよ」
涙のような青光が彼女の目尻から滴り、靄に落ちて星を散らす。
照人は叫んだ。「俺の時間を持っていけ! 兄さんと君を同じフレームに入れる。それが核心だ!」
靄が渦を巻き、白黒フィルムの粒子が逆流する。影の兄の虹と、現在の茅乃の青光がぶつかり、色相環が一瞬で展開した。全色が混ざる白。無音が完全な無へ落ち込む。
〈シャッター〉
押下音は骨伝導のように体内へ響く。ファインダーは光で飽和し、露光オーバーの警告が液晶に流れた。
やがて靄が晴れる。ホームの形が戻り、列車の外壁が現れた。時の海はもう無い。足元に小さなガラス破片が落ちている。茅乃の青光の結晶だった。彼女は座席にもたれ、息を整えている。粒は完全には消えていない。
カメラの液晶に一枚の新画像。兄が虹を指し、隣で茅乃がファインダーを覗く――時系列を越えた矛盾の写真。それなのに輪郭は鮮明で、背景の空には虹と星と月が同時にかかっている。
「撮れた……?」
「核心、越境したみたい」茅乃は微笑んだ。「でも私の時間、ほとんど残ってない」
照人は首を振る。「兄さんの時計が動き出せば、君の欠損も返ってくる。九条の仕上げに賭けよう」
列車が静かに動き出す。ホームの時計塔が瞬き、短針は二、長針がゆっくりと進む。二:〇七。時間が動いた。
九条の懐中時計が通路に浮かび、文字盤いっぱいに花火のような歯車が咲く。
〈欠片は揃った。時計店へ帰還せよ〉
メッセージは光で刻まれ、車内灯が温かな白へ変わる。
照人は茅乃の手を取った。指は冷たいが脈はまだある。
「あと少し。一緒に帰る」
「うん……家族写真の続きを撮らないとね」
列車は二:〇七を越え、二:〇八へ。ガラスに映る星の河が一本の軌道を指し示す。記憶の“欠片”は織り上がり、最後の大判写真へ焼き付けられる準備を整えた。
沈黙を破るように車両後方でドアが開き、柔らかな足音が近づいた。振り向くと、毛織の外套をまとった九条が立っている。
「検品に来た。核心の素子が正しく刻まれたかをね」
九条はカメラを受け取り、新画像をじっと眺めた。目の奥で歯車が回る静かな熱が揺れる。
「露光は成功。でも代償がいる」
彼は茅乃へ視線を投げ、照人へ告げた。兄を救う交換条件は君の未来七十二時間だと。
線路守の影が現れ、白い名札が宙を舞う。異議の無い取引を確認すると、名札は雪のように融け、茅乃の青光がわずかに戻る。
九条は外套を翻し、ドアへ向かった。「時計店で最後の磨きを施そう。二十六時の扉は開いている」
列車は加速し、窓外の銀河が虹を描く。照人は茅乃に笑いかけた。「終点で、みんなで写真を撮ろう」
茅乃は青い瞳で応えた。「シャッターを切るのは君だよ」
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